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体にいい食事はメンタルにもいい!では、具合的にどれぐらい心を改善してくれるのか?

 

メンタルがへこんだら食事で治すのがいいんじゃない?って考え方があるわけです。事実、食べ物で気分が改善するってデータは増えていて、

 

 

みたいな話が出てたりします。こういった研究が進むようになった理由としては、

 

  • 抗うつ剤の効果が出ない人が結構いる(R)
  • プラシーボと比べて抗うつ薬の効果がとても低い(R)
  • ついでに副作用もそこそこある(R)

 

といった問題がありまして、薬のほかにもっといい対策はないのかねぇ……ってのが課題になってたんですよ。

 

ってことで、新しい研究(R)は「食事によるメンタルの改善効果ってどれぐらいなの?」って問題を調べたメタ分析になっております。似たようなデータは過去にもあったんですけど(R)、いずれも観察研究だけをまとめたものばっかなんで、食事改善による正味の実力はわからないんですよ。

 

 

そこで、今回の研究ではRCTだけに的を絞って16件の実験を集めまして、21〜85歳の参加者45,826人分のデータをまとめてくれております。もちろん参加者は鬱や不安の症状に悩んでいる人ばかりで、実験の期間は10日から3年までバラバラ(中央値は12週間)。

 

 

さらに、どのような食事の改善法が使われたかと言いますと、

  1. 栄養状態の改善(いわゆる「カロリーの質を高める」って発想に近い)n=9
  2. 脂肪を減らす(低脂肪食っすね)n=4
  3. カロリー制限(体重の減少と鬱病の減少には相関がある)n=4

 

みたいになってます。パレオダイエットや地中海式みたいな食事法は、当然ながら1番の「栄養状態の改善」にあたるわけですね。

 

 

結果、どんな傾向があきらかになったかと言いますと、

 

  • 食事の改善は鬱症状にまぁまぁの効果がある!(Hedges g = 0.408)

 

って感じです。この数値をどう判断するかは難しいんですけど、例えば認知行動療法(現時点でもっとも定評がある心理療法)はHedges g = 0.53ぐらいなんで(R)、それよりはちょっと劣るぐらいのレベルっすね。

 

 

まぁ全体的に見れば、

 

  • 認知行動療法 > 薬物治療 > 食事

 

といった感じでコンスタントに良い効果が出てますんで、食事の改善は心理療法と薬のサポートぐらいに使うのが良さそうではあります。

 

 

また、この論文には、鬱症状を緩和しやすい食材などもリストアップされておりました。書くまでもないことかもですが、いちおうメモっとくと、

 

  • フルーツ
  • 緑の野菜
  • 緑茶
  • 豆製品
  • 全粒穀物
  • ナッツ類
  • 魚(脂肪が多いものほど良い)
  • 貝類

 

などがあがっておりました。数あるいんりょうのなかで、緑茶だけが特にピックアップされているのがおもしろいですね。

 

 

ってことで、個人的には「あー、思ったより食事改善の効果は低いのかもなー」といった印象でしたが、健康的な食事がメンタルにいいのは確実なので、もし気分がへこんだ時は認知行動療法を中心に実践しつつ体に良いものを食べていくのがよさげです。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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