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知らずに自分を責めまくる「習慣的なダメ思考」はどうすれば修正できるんですかねぇ……みたいな話



 

つい自分を批判しちゃったり、無駄にいろんなことを心配しちゃったりする!」ってのは、人間なら誰しも抱えやすい問題ではあります。この問題のことを「無(最高の状態) 」では「悪法」と表現してまして、簡単に言えば「無駄な心配や自分を痛めつけるような思考が習慣化しちゃった状態」のことです。これは現代人の不安症やら鬱の大きな原因のひとつになっていて、心当たりがある方はどうにかしておきたいとこなんすよね。

 

 

で、そこで気になるのは、このような「習慣化したダメ思考」にはどのような特徴があるの?ってとこです。このタイプの思考ってのは、自分でも気づかぬうちに頭をグルグルまわっていて、知らぬ間に自分のメンタルを痛めつけてるケースが多いんで、その実態を把握するのは意外と難しいもんなんですよね。

 

 

ってことで、オタワ大学などの先生方が、「そもそもこういった無駄な思考とはどのようなものなのか?」を調べるスコーピングレビュー(R)を行なってくれておりました。スコーピングレビューってのは、系統的レビューなどと違って過去の研究を要約するのではなく、既存の文献を調べて「みんなどんな定義で調査してるの?」とか「どんな概念を使ってるの?」ってのを掘り下げるのが目的になってます。

 

 

研究チームは、過去の20の文献から24の個別の研究結果を調べたうえで、「習慣的なダメ思考」のことを「習慣レンズ」と名づけて掘り下げてます。要するに、レンズのように特定の思考の形をゆがめて投射する脳の働きのことで、「無(最高の状態) 」の「悪法」に近い概念っすね。

 

 

この調査でとりあつかわれている「習慣的なダメ思考」のパターンをざっと紹介しとくと、

 

 

などが挙がっておりました。このブログでも定番の問題ポイントばっかですね。

 

 

ここで話題にされてる論点は複数あるんですが、私たちのメンタル改善においてもっとも関連が強いのは、「習慣化された思考の特徴」を12の項目にまとめたチェックリストでしょう。習慣化された思考のパターンはいろいろあるものの、基本的には以下の12の特徴を備えていることが多いんだそうな。

 

  1. 頻繁に考えてしまう。
  2. 自動的に考えてしまう。
  3. 意識的な記憶がなくても考えてしまう。
  4. それを考えないと気持ちが悪い。
  5. 何も意識せずに考えてしまう。
  6. 考えるのをやめようと努力しないとやめられない。
  7. 考えることが(毎日/毎週/毎月の)ルーチンになっている。
  8. 自分でも気づかないうちに考えてしまう。
  9. 考えないのは難しいと思う。
  10. 考えようと思う必要がなく考えてしまう。
  11. それは“私”を表す典型的な思考である。
  12. ずっと前から考えている。

 

ということで、無意識のうちに脳内に発動してどうにも止められないのが「習慣化された思考」の特徴なんだ、と。なんだか当たり前の話をしているようですが、あらためてチェックリストとして見てみると、ダメな思考習慣を変えるためのアプローチがぼんやりと見えてくるんじゃないでしょうか。

 

 

どういうことかと言いますと、

 

 

  • 自動性に対処する:習慣ってのはすなわち「自動性」のことでして、リストの2〜6、8〜10までの項目はすべて思考のオートマ化が問題にされてます。ただし、このあたりは、いったん気づくことさえできれば対処は可能でして、まずはチェックリストのなかから「自分の心の癖に当てはまるものはどれだ?」と考えるだけでも対策になったりします。

    たとえば、「考えるのをやめようと努力しないとやめられない」のが自分の問題なのだと気づくことができれば、次に自動で自己批判的な考えが出てきたときに「あー、いつもの『考えるのをやめようと努力しないとやめられない』パターンね」と自分に言い聞かせることができるでしょう。これだけでもダメな思考の連鎖を断ち切ることができますんで。

 

 

  • 頻度を減らす:ダメな思考習慣を持つ人は、長期間にわたって頻繁にこの行動をとっているのが特徴であります(項目1、7、12)。なので、まずは「この思考ってそう何度も考える必要なくない?」と考えてみるのも対策として有効。たとえ3回目までは批判的な思考が自動でわきあがったとしても、4回目で気づくことができれば、「おっと、これはすでに今日で4回目だから、わざわざ考える必要はないな……」と思えるはずであります。

 

 

  • 代替のアイデンティティを探す:チェックリストの項目11と12あたりは、アイデンティティの問題を扱っております。要するに、ダメな思考が自己の一部になっちゃってる状態で、「私は自分に厳しい人間だから自分を批判するのだ」とか「私は怠け者だから自分を責めて当然だ」みたいなことっすね。

    これについては、そのアイデンティティの反証を探すのが一番で、「私ってそんな自分に厳しいか?優しい時も結構ないか?」とか「いつも怠けてる人間か?仕事でほめられたこともあるのでは?」といった感じで自分を再定義する必要が出てきます。

 

 

みたいな感じですね。いずれも「言うはやすく」って感じですけど、なんもなしにダメな思考に流されるよりは取っかかりができてよろしいのではないかと。私の場合、思考の自動性についてはかなり対処できるようになってますが、言われてみりゃ「頻度」って指標をベースに考えたことはあんまないなーとか思いましたね。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。