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自己開示は人に好かれるだけじゃなくて、自分も健康にしてくれるぞ!みたいな研究の話

 
 

「良い人間関係は健康の維持にも大事」って話は当ブログでも死ぬほど書いてまして、事実、過去の研究でも「良いパートナーがいる人は慢性疾患にかかりにくいし寿命が長くなる」なんてデータもたくさん出ております。ここらへんはかなりデータも豊富なんで、なかなか疑いづらいところです。

 

とはいえ、ここでまだよくわかってなかったのが「じゃあ、なぜ恋人や配偶者がいると体まで元気になるのか?」ってポイントです。「良い人間関係」と言っても、そこにはいろんな要素が含まれるわけでして、たとえば「相手からのサポートの量」とか「一緒に過ごす時間の長さ」とか「お互いへの信頼感」とか多岐にわたりますからね。この中で、最も健康状態の改善に効いているのは何か?ってとこはよくわかっていなかったんですな。

 

ということで、新たに出たセントルイス大学の論文(R)では、「自己開示の多さが健康に良い影響を与えているんじゃない?」って説を提示してておもしろかったです。「自己開示」ってのは、ご存じのとおり「自分の感情や悩みを他者に正直に打ち明けること」でして、こいつが「良いパートナーを持つ人は長生き」の原因になってるんじゃないかってことですな。

 

この研究では、平均40歳の成人385名を対象にアンケートを行いまして、パートナーとの関係が平均で9年ぐらいの人を選んだんだそうな。でもって、研究チームは、すべての参加者に以下のような項目を評価してもらっております。

 

  • パートナーに「悲しい時や落ち込んだ時の話」をどれくらい共有するか?(つまり、みんなの自己開示レベルを調べた)

  • 信頼、愛情、満足度、自己肯定感などのレベル

  • 自分の身体的な健康状態(運動能力や日常生活での支障の有無)

 

そのうえで、すべてのデータを比べたところ、以下のような結果が出たんだそうな。

 

  • パートナーに自己開示をたくさんしている人ほど、身体的な健康状態が良好だった。

  • 自己開示の健康メリットは、特に女性で顕著に見られた。

  • 自己開示で健康になるのは、これによってパートナーとの「信頼・満足度」が上がり、それがストレスを下げて健康が向上するってメカニズムがあるからだと考えられる

 

ってことで、やはり研究チームの読みどおり「自己開示」と「健康」には密接な関係があり、そこには「感情をさらけ出す」ことで関係が強くなり、その関係がまた身体の状態にまで良い影響を与える……って流れが確認されたわけですな。やっぱ人間、言いたいことを黙ってるのは良くないんですねぇ。

 

となると、皆さま「よし!自分のことを話すぞ!」と思ったことでしょうが、この研究によれば、「ちょっとした日常の報告」ぐらいだとあんま意味がなさそうなんで、そこはご注意くださいませ。重要なのは「感情に踏み込むレベルの深い話」をすることでして、たとえば、

 

  • 最近、自分が不安に感じていることや、将来について悩んでいること

  • 過去に傷ついた経験や、それにどう向き合ってきたか

  • 今の仕事や人間関係で感じているプレッシャーやモヤモヤ

  • 「本当はこう思ってたけど言えなかった」みたいな本音トーク

  • 幸せや喜びを感じたエピソードと、それがなぜ自分にとって意味があったか

 

 

みたいな話の量を増やすことができると、親密感が増したり、信頼関係が強まったり、コミットメント(関係に対する本気度)が高まったりして、最終的に体の健康にも波及してくると考えられるわけですな。

 

 

が、「そう言われても、自分いま恋人も配偶者もいないんだけど……」という方もいるでしょうが、そこも研究チームはちゃんと考慮してまして、こんな提案をしておられます。

 

「恋愛関係でなくても、親しい友人や家族に自己開示をすることで、同様の効果が得られる可能性がある」

 

ってことなんで、別に特定のパートナーがいなかったとしても、周囲の人に自己開示をするだけでもストレスがやわらいで、自律神経が整っていくみたいっすね。自己開示というと、「他人に好かれるためのテクニック」として持ち出されることが多いですけども、健康の改善にもつながるってのは新しい知見ですなぁ。

 

ということで、ここまで読んで「じゃあ、自分もやってみるか……」と思った方は、以下のような行動を心がけていただくと良さそうであります。

 

  • 1日1回、「今日はどんな気分だったか?」を誰かに話す:メールでもLINEでもOK。ポイントは“感情の動きが伴うこと”を話題にすることっすね。

  • 「これ、ちょっと恥ずかしいけど……」という話をあえてしてみる:恥ずかしい話は「深い自己開示」の基本。相手との関係を深めるには最適であります。

 

ってことで、今回の研究でわかったのは「話すことで体も元気になる」っことですんで、つらいことや悩みをため込みすぎて風邪を引く前に、周囲に勇気を出して話をしてみるのがおすすめであります。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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