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科学的に正しくポジティブシンキングを使うには「予想」と「空想」を区別せよ


以前にも「ポジティブシンキングで人生をムダにしないための5つのポイント」なんて話を書きましたが、防御型キャラなせいでいまいちポジティブシンキングが苦手なわたし。



 

 

調べ物をしてたら、2002年の心理学研究(1)に、ポジティブシンキングの危険性を上手くまとめてあって面白かったのでメモ。



これは、ニューヨーク大の学生たちに、卒業後の仕事をポジティブにイメージしてもらうという実験。2年後にふたたび調査をしたところ、ポジティブなイメージをした学生ほど企業からの求人が少なくて給料も低かったそうな。



といっても、ポジティブなイメージがすべて悪いわけじゃなくて、研究者いわく、大事なのは「予想」と「空想」の使い分けらしい。

未来に関する思考は、2種類に分けられる。「予想」と「空想」だ。 ポジティブな予想(可能性が高くて望ましい未来を判断すること)は、大きな努力と高い成果に結びつく可能性が高い。しかし、ポジティブな空想(望ましい未来のイメージを思い描くこと)は、逆の効果をもたらす


とのこと。たんに空想しただけだと、実際に目標を達成するエネルギーが逆に減って、計画もズサンになっちゃうのが原因らしい。



予想と空想の違いをハッキリさせておくと、


  • 予想:過去の記憶にもとづいて未来の可能性を判断すること。例えば、過去にカロリー制限でダイエットに成功したから、どれだけ食事の量をけずれば体重が減るかを把握できている状態。あくまで現実がベース。
  • 空想:希望する未来を、いま頭の中で体験していること。例えば、過去にダイエットをしたことがないので、すでに痩せた自分の姿を思い描いている状態。現実にはもとづかない。


といった感じ。ちなみに、この実験では、ネガティブな「予想」をした学生のデータも取ったんですが、ポジティブな「空想」のほうが将来の成功率は低かったそうで。成功度の高い順にならべると、

  1. ポジティブな「予想」
  2. ネガティブな「予想」
  3. ポジティブな「空想」


のようになります。ビジネス書では「大きく成功した姿をイメージしろ!」なんてよく言いますが、そのイメージが現実から離れていた場合は、ネガティブシンキングにも負けちゃうわけですね。気をつけたいところです。



photo credit: sirwiseowl via photopin cc


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。