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腸内環境を整える!ブラックカラントとPHGGが腸の乱れに激しく効くかもしれない件

 
 

腸内環境は大事!」って話はさんざん書いてますが、新しい研究(R)は「ブラックカラント(黒スグリ)とPHGG(部分加水分解グァーガム)でお腹の調子が改善だ!」って話になってて面白かったです。

 

これは日本の大学で行われた実験で、ラグビー部員を対象に腸内環境を改善する方法を調べたものになります。腸内環境の問題は、住んでる国によって傾向が違ったりするんで、日本人を対象にしてるのはありがたいっすね。

 

なんでラグビー選手を対象にしたのかと言いますと、もともとアスリートは腸内環境が悪化しやすい傾向があるからです。それと申しますのも、

 

  • 食生活の偏り:アスリートはエネルギー補給と筋肉回復のために、炭水化物とタンパク質を大量に摂取する。一方で、試合中のガス腹を避けるために食物繊維は減らしがちなので、善玉菌のエサが減り、腸内の多様性が低下しやすい。

 

  • 高強度の運動による腸ストレス:激しい運動をすると、腸の血流が低下し、腸のバリア機能低下することがわかっている。そのせいで、腸内に炎症性のバクテリアが増えてしまう。

 

みたいな問題があるからです。アスリートってのは、運動のパフォーマンスを高めるためにライフスタイルを特化させ、それによって腸がボロボロになりやすいわけです。なかなか難儀ですな。

 

そこで研究チームは、「ブラックカラント抽出物(150mg/日)」と「部分加水分解グァーガム(6g/日)」の2つをラグビー部員さんに摂取してもらい、どんな変化が出るかを調べたんだそうな。それぞれがどんなものかと言いますと、

 

  • ブラックカラント:アントシアニンがめっちゃ豊富な黒い果実。抗酸化・抗炎症作用が高く、一部の腸内細菌にとっては良いエサになりやすい。
  • PHGG(部分加水分解グァーガム):水溶性の食物繊維で、プレバイオティクスとして機能することがわかっている。酪酸を産生する菌のエサになることが分かっている。

 

みたいな特徴を持っております。どちらもサプリの世界では耳なじみがないですが、実はどちらも腸内環境の改善効果に定評があるわけですね。

 

実験の期間は4週間で、ラグビー部員を4グループに分けたんだそうな。

 

  1. プラセボ(偽薬)を飲む
  2. ブラックカラント単独で飲む
  3. PHGG単独で飲む
  4. ブラックカラント+PHGG併用して飲む

 

その結果、参加者にどんな違いが出たのかと言いますと、

 

  • ブラックカラントを単独で飲んだときが一番効果があり、腸内環境を整えてくれるSCFA(酢酸、プロピオン酸、酪酸)が大幅に増加していた(p<0.001)。特にMegasphaera属やPhascolarctobacterium属といった善玉菌が増えていた。

 

  • PHGGも悪くはなく、Faecalibacterium属の増加が見られた(炎症を抑えると言われている菌)。SCFAの増加傾向は見られたが、統計的にギリギリな感じ(p<0.10)。

 

  • 併用は意外と微妙で、一部でSCFAの増加が見られたものの、単独で飲んだグループほど強い効果は見られなかった。これは、一緒に飲んだことで、作用が競合しちゃった可能性が示唆されている。

 

  • 上記の効果は、腸内環境が悪い選手ほど顕著に見られた。この研究では、便中のSCFA濃度が100mM未満の人を「腸内環境が乱れている」と定義しているが、そのような人たちに限定して効果をチェックしてみると、以下の結果になっている。

    • ブラックカラント → SCFAが劇的に増加(特に酢酸・プロピオン酸)
    • PHGG → Faecalibacterium属とVeillonella属が増加
    • 併用 → Lachnospiraceaeがやや減少しつつもSCFAは増加

 

ってことで、腸内環境の乱れが“そこそこ”の人はブラックカラントを単独で摂取するのがよく、腸内がめっちゃ乱れている人はブラックカラントとPHGGを併用すると良いかもよーって感じですかね。

 

まー、ここらへんの解釈は難しいところなんだけど、結論から言えば、どちらを摂ってもある程度の効果は見込めそうなんだけど、目的に応じて選ぶのが良いんじゃないでしょうか。ざっくりしたガイドラインを申し上げますと、

 

  • 腸内環境を守ってくれるSCFA増やしたい → ブラックカラントで善玉菌を増やしてみるのがいいかも。
  • いま腸内で炎症が起きているのを抑さえたい → PHGGでFaecalibacterium属を増やして、抗炎症効果を狙ってみると良いかも。

 

みたいになりますかね。特にブラックカラントは、腸内の善玉菌にエサをあげてない人にとってはかなり効果的な素材と言えるんじゃないかと。逆にブラックカラントとPHGGの併用は、競合作用で効果が打ち消される可能性があるんで注意っすね。

 

実践したいと思った方は、とりあえず以下の目安量をまとめておいてくださいませ。

 

  • ブラックカラント抽出物:サプリで150〜300mg/日を摂取する。朝食後や運動後のタイミングが良いかも。スワンソンの「ブラックカラントエキス200mg」がおすすめ。
  • PHGG(グァーガム分解物):5〜10g/日を水に溶かして摂取(プレーンヨーグルトやプロテインに混ぜてもOK)。NOW Foodsの「リアルフード グアーガム」がおすすめ。

 

注意点としては、最初は少量からスタートすることっすね。いきなり多く摂るとお腹が張る可能性があるので、どちらも下限の量から様子を見て、1週間ほどで増やしていくといいかもしれません。個人的にも、ブラックカラントには「ポテンシャルがありそうだなー」って印象を受けましたんで、使ってみようかと思った次第です。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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