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あなたの幸福感を高める「ネイチャー・コネクテッドネス」を判断する14問


  

「自然とのつながりが大事だぜ!」って話は、このブログでもさんざん書いております。「最高の体調」でも結構な分量を割いて自然の素晴らしさを強調してまして、私も定期的にキャンプやトレイルランニングにいそしんでおります。

 

自然とのつながりがメンタルに良いって話はいくつも出ていて、たとえば最近の2024年の調査(R)では、公園や緑地に頻繁にアクセスする人たちは、ストレスや不安、うつ症状のスコアが明らかに低かったという結果が出てたりします。

 

とはいえ、「自然に触れよう」と言われても、現代の都市生活のなかではなかなか難しいのも事実。そのまま自然とのつながりを感じられないままだと、メンタルはいよいよ沈んでいくばかりであります。

 

そこで、心理学の世界でよく使われるのが「ネイチャー・コネクテッドネス」って考え方であります。これは「自分の一部」として感じる感覚のことで、自然と自分との「心理的なつながり」を意味してるんですな。

 

  • 森にいると落ち着く
  • 草木や動物に親近感を覚える
  • 自然を破壊する行為を見ると、自分も傷ついたように感じる

 

といった感覚があるなら、それは自然とつながっているんだと申せましょう。これまでの研究でも、ネイチャー・コネクテッドネスが足りていない人ほど、実際にメンタルを病みやすいことがわかってまして、精神の状態を判断する指標として使えるんじゃないかと思う次第です。

 

ということで今回は、心理学の世界でよく使われる尺度(Connectedness to Nature Scale)」って指標をチェックしてみましょう。これは「自然と一体感を感じるかどうか」を1〜5段階で測るもので、このテストの数値が高い人ほど、幸福度スコアも高いことが知られているんですな。

 

では、CNSを試してみましょう。以下の14の文章について、「まったくそう思わない(1)」〜「非常にそう思う(5)」の5段階で回答してください。直感的な回答でOKです。

 

  1. 私はしばしば、周囲の自然界との一体感を感じることがあります。
  2. 私は自然界を、自分が属しているコミュニティとして考えています。
  3. 私は他の生き物たちの知性を認識し、尊重しています。
  4. 私はしばしば、自然から切り離されているように感じます。(R)
  5. 自分の人生について考えるとき、私はより大きな「生の循環プロセス」の一部だと感じます。
  6. 私はしばしば、動物や植物と親しみを感じます。
  7. 私は地球が私に属するのと同じように、私も地球に属していると感じます。
  8. 自分の行動が自然界にどのような影響を与えるかについて、深い理解があります。
  9. 私はしばしば、生命のネットワークの一部であると感じます。
  10. 私は、人間もそうでない存在も、すべての地球上の生命が共通の「生命力」を共有していると感じます。
  11. 木が森の一部であるように、私は広い自然界の中に埋め込まれていると感じます。
  12. 地球上の自分の位置を考えると、私は自然の中で最上位にいる存在だと思います。(R)
  13. 私はしばしば、自分が周囲の自然界の中でほんの小さな存在であり、地面の草や木の上の鳥と同じように重要なのだと感じます。
  14. 私自身の幸福は、自然界の幸福とは関係がないと思います。(R)

 

 

採点方法

各項目を1〜5点でスコアづけ。逆転項目(4, 12, 14)はスコアを反転(1→5、2→4、3→3、4→2、5→1)。14項目すべてのスコアを合計し、平均を計算してください。最終スコア(1.00~5.00)があなたの「自然とのつながり度」になります。これは以下のように判断してください。

CNSスコア範囲評価傾向・特徴
4.5〜5.0非常に高い自然との一体感が強く、自然保護への関心も高い。環境への行動も積極的。
3.5〜4.4やや高い日常的に自然を身近に感じており、心の安定や幸福感との結びつきも見られる。
2.5〜3.4中程度(平均的)自然を感じることはあるが、都市的な生活が中心でつながりがやや希薄。
1.5〜2.4やや低い自然との心理的距離があり、意識的に関わろうとしない傾向がある。
1.0〜1.4非常に低い(切断的)自然との関係性がほとんど意識されておらず、環境への関心も乏しい可能性がある。

 

 

どうすれば自然とのつながりを取り戻せるのか?

「自然とのつながり」が低かったら、意識して自然との「心のつながり」を回復させてみましょう。これはどんな方法でも構いませんが、ざっくり以下のような方法を試すのが代表的であります。

 

  1. 意味のある自然との接触を増やす:「1日5分でもいいから、公園を歩いてみる」など、ただ自然に触れるだけでなく“意味のある接触”を意識することが大切。たとえば、森の中で呼吸に集中する「マインドフル・ウォーキング」や、花や葉の質感に手で触れてみるみたいに、“感覚を通したふれあい”を意識すると、自然との一体感が高まりやすくなりますんで。


  2. 自然に対する「感情」を呼び起こす:特に効果があるのは、畏敬や感謝といった「自己を超えた感情」であります。たとえば、登山で頂上に立った瞬間に、「この世界って、でかいなぁ……」と感じるようなあの感覚は、自然との心理的なつながりを深める絶好のチャンスなんですよ。

    その際は、できれば、その時の気持ちを日記やスマホのメモに記録しておくと効果的でしょう。こういった記録は、後から読み返すことで「自然とのつながり」を脳内で再体験する手助けになりますんで。

 

まあ、あんま難しいことを考えずに、1日の終わりにスマホやPCの電源を切って、公園に行ってみるぐらいで良いです。裸足で芝生を歩いたり、波の音に耳をすませたり、ただ空を見上げる時間を増やすだけでも、それなりに違ってきますんで。

 

こうした小さな習慣の積み重ねが、

 

  • 慢性的な疲労感の軽減
  • 不安やイライラの緩和
  • 他者とのつながりの感覚の回復

 

といった形で、心と身体にじわじわ効いてくるはずであります。どうぞお試しあれー。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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