ビタミンC誘導体は本当に美肌に効くのか?「顔のシワに効くクリームって、科学的には結局ビタミンAとビタミンCの2択ですよね その2」
こないだ書いた「美肌にはビタミンAかビタミンC系のクリーム2択だ!」の続きです。
ざっくりおさらいしますと、科学的に「美肌に効く!」ことが確認された成分は、いまのところビタミンAかビタミンCしかないって話でした。他にもビタミンB3やシステインなど、有望な成分はいろいろあるものの、いまいち決め手に欠けております。
そんなわけで、今回はビタミンC系の化粧品について。
ビタミンCクリームが肌に良いのは間違いない
ビタミンCが肌に効く理由としては、
- コラーゲンを作るために必要
- 肌のバリア機能をアップさせる
- 抗酸化作用で紫外線のダメージをやわらげる
といった効果があるから。このあたりは多くのデータで確認されてまして(1)、なかなか信頼度が高い話かと思います。
本当にビタミンCは誘導体は優秀なの?
ただしビタミンCには大きな弱点がひとつ。なにせビタミンCは光と酸素のダメージに弱く、効果を保ったまま肌に届けるのが激しく難しいんですね。
そこで多くの化粧品メーカーが売り出したのが、「ビタミンC誘導体」であります。肌のなかでビタミンCに変化する物質で、そのままビタミンCを肌に塗るよりも浸透力が高いと言われてるんですな。
が、ひとくちにビタミンC誘導体と言っても7〜8種類ぐらいありまして、それぞれに科学的なデータの量が大きく違っておます。幸いにも2012年に「効果的なビタミンCは何か?」について調べた研究が出てますんで(2)、これを参考にくわしいところを見ていきましょう。
- アスコルビン酸:ビタミンCの基本状態。乾燥状態では安定しているが、水に溶かした場合はpHが3.5以下でないと効果が消えやすい。ただし、紫外線やコラーゲン、色素沈着への効果はすべてヒトで確認されている。
- リン酸アスコルビルNa:ビタミンC誘導体。pHが7ぐらいで安定する。肌の浸透力については動物実験しかない。紫外線やコラーゲンアップの効果は高い。
- リン酸アスコルビルMg:ビタミンC誘導体。pHが7ぐらいで安定する。肌の浸透力については動物実験しかなく、紫外線の実験データもない。コラーゲンアップの効果は試験管でのデータしかない。
- パルミチン酸アスコルビル:ビタミンC誘導体。アスコルビン酸と同じぐらい安定性が低く、そもそも本当にビタミンCに変化するという証拠がない。肌の浸透力と紫外線については動物実験のみ。コラーゲンアップの効果はありそう。
- テトラヘキシルデカン酸アスコルビル:ビタミンC誘導体。pHが5ぐらいで安定する。肌の浸透力はヒトの培養組織で確認されている。紫外線とコラーゲンの効果については試験管でのデータしかない。
- アスコルビルグルコシド:ビタミンC誘導体。どのpHでも安定する。肌の浸透力は試験管でのデータしかない。紫外線の効果についてはヒトで確認されている。コラーゲンは試験管でのデータのみだが、効果は確認されている。
メジャーなビタミンC誘導体は以上です。いずれもデータ不足な印象は否めませんが、なんだかんだで「ビタミンC誘導体って意味なさそう」って印象ですねぇ。根拠があいまいな誘導体を選ぶよりは、ちゃんとヒトで効果が確認されてるアスコルビン酸(普通のビタミンC)を選ぶのが、いまのところは賢い選択かと思います。
良いビタミンCクリームの条件とは?
以上のデータをふまえて、最適なビタミンCクリームの選び方を考えてみると、
- ビタミンCの含有率が20%ぐらい:もっとも効率よく肌に吸収される濃度はだいたい20%と考えられております。ただし、肌質によっては高濃度のビタミンCでかゆみが出るケースも多いので、10%ぐらいからスタートするといいかも。
- できるだけ水分量が少ないものを選ぶ:ビタミンCは水に溶けた瞬間から劣化していくんで、できるだけ水分が少ないほうが吉。といっても水分量が書いてある化粧品は少ないんで、酸化を防ぐ成分が入ってる商品を探したほうが速いかも。具体的には、トコフェロールやフェルラ酸あたりがメジャーなところ。
- パッケージが厳密なもの:なんせ光と酸素に弱いので、1回の使用ごとにカプセルにパッケージされているのが理想。プラスチックチューブなどは、酸化防止の処理をしてないとかなりツラいかと。
といったところ。いやー、かなり厳しいですねぇ。で、この条件に当てはまる商品を探してみたところ、よさげなものがいくつかありましたんで最後に並べておきます。「Mad Hippie Skin Care Products」あたりが安くて良さそうですねー。