このブログを検索




今週の小ネタ:明るいところで寝てると心臓病に?タウリンは本当に健康にいいのか?


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

明るいところで寝てると心臓病に?

夜のスマホが睡眠に良くないのは周知の事実ですが、新しいデータ(R)では「夜のちょっとした光が、心臓や血管の病気リスクとガッツリ関係している!」って結論になっててビビりました。

 

これは平均62歳の男女88,905人を対象にしたもので、以下のように研究を進めております。というか参加者の数がハンパないですね。

 

  1. 参加者の手首に光センサーを1週間装着してもらう。これにより、いつも寝る時にどれぐらいの光を浴びているかを測定

  2. 英国の医療記録から、心臓や血管まわりの病気の発症データを取得

  3. みんなを約9.5年ほど追跡して、夜間の光と病気の関係を調べる

  4. ついでに、年齢・性別や運動習慣、喫煙・飲酒の有無だけでなく、睡眠時間・睡眠の質、シフトワーク、クロノタイプ(朝型・夜型)、遺伝的リスクスコアで統計を調整する

 

参加者の数がすごいだけでなく、調整のレベルもヤバいですね。研究チームの本気がうかがえる内容っすな。

 

でもって、夜間の光の量を4段階に分けて分析したところ、もっとも光を浴びていたグループ(上位10%)は、以下のリスク増加が見られたんだそうな。

 

  • 冠動脈疾患:+23%
  • 心筋梗塞:+42%
  • 心不全:+45%
  • 心房細動:+28%
  • 脳卒中:+28%

 

この数値だけでも「やはり夜間の光は怖い!」って感じですが、さらにここで大事なのは用量反応関係が出ていることでしょう。要するに、夜間に浴びる光の量が増えるほど、病気になるリスクも段階的に上がるってことでして、かなりデータとして説得力がありますな。

 

となると、当然「睡眠が短い人が光を浴びてるだけでは?」って疑問もわくんですけども、この研究では睡眠時間・睡眠の質を調整しても結果はほぼ変わってないですからねぇ。つまり「単なる睡眠不足」では説明できず、おそらく夜の光は直接的に体のリズムを狂わせている可能性が高いと判断できるわけです。

 

ちなみに、夜の光で病気のリスクが上がる理由は、ご存じ「概日リズム」が乱れるからであります。概日リズムってのは、血圧や心拍数、ホルモン分泌、自律神経バランス、血糖・脂質代謝などをコントロールしてるんですが、夜に光を浴びると以下のような変化が起きちゃうんですよ。

 

  • 血圧の夜間低下が起きない

  • 交感神経優位

  • インスリン抵抗性の悪化

  • 炎症・酸化ストレスの増加

 

こんだけの問題が起きるのなら、病気になっても不思議じゃないですわな。しかも今回の研究で扱っている光レベルは、スマホや枕元ライト、街灯など「普通の家庭環境レベル」なので、わりと多くの人に関係する問題だと言えましょう。

 

ということで、このデータを日々の生活に活かすなら、

 

  1. 就寝1時間前は照明を落とす(部屋全体を暗めに)
  2. スマホはナイトモード+明るさ最低(できればベッドに持ち込まない)
  3. 遮光カーテン(街灯が入るならほぼ必須)
  4. 足元灯は暖色系で超弱光

 

ぐらいはやっときたいところです。まぁ要するに「夜は暗くしろ」ってことなんですが、これで心筋梗塞や心不全リスクが40%前後違う可能性が出てくるならやるしかないっすね。

タウリンは本当に健康にいいのか?問題

栄養ドリンクの定番「タウリン」が、実際どこまで体に良いのかを調べたメタ分析(R)がいい感じでした。

 

こいつは過去のタウリン研究から34件のランダム化比較試験(RCT)をピックアップし、計1,394人のデータを分析。だいたいの実験は1週間〜6か月で、1日500mg〜6,000mgのタウリンを飲んでもらったそうな。

 

ちなみに、前提をおさらいしておくと、タウリンってのはアミノ酸に似た「含硫アミノ酸様物質」のこと。体内では胆汁酸の合成、抗酸化、カルシウム調整などに関わってまして、加齢や体調で体内濃度が下がる可能性も指摘されてたりします。とにかく体内でいろんな働きをするので、代謝や自律神経を幅広くサポートする栄養素と考えられてるわけっすね。

 

で、分析の結果、タウリンには以下のメリットがあることがわかったそうな。

 

  • 中性脂肪(トリグリセリド)と総コレステロールが下がる
  • 収縮期血圧と拡張期血圧が、どちらも下がる
  • 空腹時血糖、インスリン、HbA1c、HOMA-IRがすべて下がる
  • 肝機能に関わるASTとALTが下がる
  • 体内の炎症・酸化ストレスを示すCRP(炎症マーカー)、TNF-α、MDA(酸化ストレス指標)も低下する

 

ということで、こうして見ると「タウリンなかなかいいじゃない!」って気がしてきますな。なんでもタウリンってのは、インスリン感受性を改善したり、抗酸化作用が高かったり、交感神経を抑制したり、胆汁酸代謝を調整したりといった効果が少しずつあるので、単発でドカンと効くというより、ベースラインを底上げする方向で働いてくれるみたいなんですな。

 

まぁ、とはいえ「いますぐタウリンを飲もう!」って話ではなく、全体的にエビデンスの質は「中程度」だし、実験は最長でも6か月なので長期の結果は不明だしって感じなので、いまのところは「そこそこ信頼できるが決定打ではない」ぐらいに考えておくのがおすすめですね。

 

なので、まだ「必須サプリ」とまでは言える段階ではありませんが、

 

  • 軽度の高血圧
  • 中性脂肪がやや高い
  • 空腹時血糖がじわっと高め
  • 肝機能数値が微妙
  • 慢性炎症が気になる

 

みたいな人は、ちょっとした底上げを狙って使うにはアリかもしれません。もしサプリを使ってみたいなら、1日1.5〜3gあたりからお試しあれ。

 

 



スポンサーリンク

スポンサーリンク

ホーム item



search

ABOUT

自分の写真
1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

INSTAGRAM