筋トレすると脳が若返るぞ!って論文をチェックしてみよう
「筋トレが脳の老化を遅らせるかも!」って研究(R)がいい感じでした。
この研究は、62〜70歳の健康な男女309名を対象にしたもので、実験の期間は1年間で、さらに2年にわたってフォローアップをしております。実験ではグループを3つに分けてまして、
- 週3回ジムに通ってもらい、ハードな筋トレ
- 中程度の強さの運動をしてもらう(こちらも週3回で、うち一部は自宅)
- 何もしないグループ
って感じで運動を指示したんだそうな。その上で、みんなに「fMRI(脳の活動を測るスキャン)」と「筋力テスト」なども実施して、かなり丁寧にデータを取っております。
で、この研究のポイントは、ちゃんと参加者の脳全体の年齢をチェックしているところです。どういうことかと言いますと、まず前提として「運動が脳に良い」ってのは昔からよく知られていることで、
- 記憶力が上がる
- 思考力が改善する
- 認知症リスクが下がる
といった効果が数多くの研究で確認されてるんですな。ここらへんは当ブログでも何度か取り上げてますな。
ただし、これまでの研究にはちょっとした問題がありまして、実は多くが「脳の一部」しか見ていなかったんですよ。たとえば、海馬(記憶に関係)や特定の神経ネットワークだけを調べたうえで、「部分的に脳が改善してるから、やっぱ運動は脳にいいんだ!」みたいに結論してたわけです。なので、「運動って本当に脳全体の老化を遅らせるの?」という肝心な部分は、意外とよくわかってなかったんですよ。
そこで今回の研究で使われたのが、「ブレインクロック(脳時計)」という概念でして、これはざっくり言うと、脳の状態から「何歳くらいに見えるか?」を推定するモデルであります。具体的には、fMRIなどで得られた脳の活動パターンなどを大量のデータと照らし合わせて、「この脳は平均的に何歳のパターンに近いか?」を統計的に予測する仕組みなんですな。いわば「脳の健康度を年齢という形で可視化するツール」って感じでして、単にサイズや一部の機能を見るのではなく、脳全体のバランスやネットワークの状態をまとめて評価できるわけです。
でもって、1年間ほどの筋トレでどんな結果が出たかと言いますと、
- 筋トレしたグループは脳年齢が 1.4〜2.3歳若返り、しかもその効果は 2年後も維持された
- 運動しなかったグループは変化なし
って感じだったそうな。というと「たった2年ぐらいしか若返らないの?」と思う方もいるかもしれませんが、研究者いわく、
脳の老化はゆっくり進むため、この差はかなり意味がある
とのこと。これぐらいのレベルの差でも、認知機能を長く維持できたり、将来の認知症リスクを下げられる可能性があるそうで、こいつは素晴らしいですね。
あと、個人的に興味深かったのが、「脳のどこが改善したのか?」という話であります。従来の研究では「海馬が良くなった」みたいに細かいエリアの改善が強調されてたんですが、今回のデータを見てみると、特定の部位ではなく、脳全体のネットワークが改善してたっぽいんですね。つまり、筋トレはピンポイントではなく、システム全体を底上げする可能性があるってことでして、これは非常に素晴らしいですな。
ここまで筋トレが良い理由として、研究チームは、血流の改善、代謝の向上、炎症の低下といった「全身的な変化」を挙げております。まあ、筋トレってそもそも全身に効きますから、脳も例外ではないのでしょうな。
さらに、もうひとつ重要なのが、中程度の運動でもしっかり効果が出ているとこですね。たとえば、自重スクワットや軽めのダンベル運動ぐらいの、割と軽めの運動でも脳機能は改善するわけでして、「ガチ勢じゃなくても筋トレの恩恵は得られる!」と示してくれたのも、この研究のナイスなところじゃないでしょうか。
ということで、この研究を現実に応用するなら、だいたいこんな感じになるでしょう。
- 週2〜3回の筋トレを習慣化しよう!:いきなりハードにやる必要はないんで、とりあえず継続が大事。
- 中強度でOK:筋トレ強度の目安としては、「10〜15回でキツい負荷」&「息が少し上がるレベル」くらいを目指せば十分であります。
- 大筋群を優先する:特に効果が出やすいのは、脚、背中、胸の筋トレなので、ここらへんを集中して鍛えられる種目を選ぶのがベター。
- 「長く続ける」が最優先:今回の研究では、筋トレを1年ほど継続したら効果が出ていて、その効果が2年後も維持されてる感じなんで、短期の追い込みより長期の習慣化が大事だと考えたほうがよさげ。
とりあえず、ここらへんを押さえておけば、筋トレで脳年齢が1〜2年若返る可能性がありますんで、いつまでも脳を健やかに保ちたい方は、ぜひ筋肉を鍛えることも視野に入れていただけるといいんじゃないでしょうか。



