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ながら食いは本当に太るのか?をガッツリ調べた最新のメタ分析を見てみようー

 
 

「スマホを見ながらご飯を食べると太る!」みたいな話は、昔からよく言われております。「テレビを見ながらポテチを食べていたら、気づいたら袋が空になっていた」とか「YouTubeを見ながら弁当を食べていたら、食べ終わった記憶がほとんどない」みたいな現象ですな。

 

実に直感的にもわかりやすい話ですが、果たしてこの考え方は正しいのかってことで、近ごろこの問題をまとめたメタ分析(R)が出ておりました。この研究は『「ながら食い」は本当に食事量を増やすのか?』をテーマにした研究で、テレビ、スマホ、ゲームなどをしつつ食事をしたらどうなるのかを調べた実験を分析していて、過去50件のデータを精査したんだそうな。

 

で、分析の結果がどうだったかと言いますと、

 

  • ながら食いが、トータルの食事量を必ずしも増やすわけではない

 

という感じだったそうです。個人的には「ながら食いは注意散漫になるから、まぁ普通に食べすぎるんだろうなぁ」みたいに思ってたんで、この結果は意外でしたねぇ。

 

ただし、ここで注意したいのが、このデータでは「ながら食いの種類」によって結果が異なるとしてるとこです。研究チームは、注意散漫の種類をざっくり以下のように分けつつ、それぞれが食事に与える影響をこうまとめております

 

ながら食いの種類食事中の影響
受動的な注意散漫テレビ、動画、映画摂取量が増えやすい
認知的に負荷が高い作業頭を使う課題、集中が必要な作業明確には増えない
身体的に負荷がある作業手や体を使う作業明確には増えない

 

ということで、スマホやテレビのような「ぼーっと見られる刺激」を浴びつつ食事をしてしまうと、食事の量は増えてしまうってことですね。なので、世間的によく言われる「スマホを見ながらご飯を食べると太る!」って説は、それなりに正しいのだと言えましょう。一方で、逆に「頭を使う作業」や「身体的に忙しい作業」には食事量が増える働きが見られなかったそうで、「仕事をしながらつまみ食い」みたいな場面では、そこまで大きな悪影響は出にくいかもですな。

 

とはいえ、この研究では、もうひとつ面白い知見が出てまして、

 

  • ながら食いをしても、食べている最中の食事量は一貫して増えるわけじゃなかったものの、その後の食事で摂取量が増えやすかった

 

って感じだったそうな。これはかなり重要な発見でして、もっと簡単に言えば、

 

  • ながら食いの問題は、「いま食べすぎること」よりも「あとで余計に食べたくなること」にある!

 

みたいになるんでしょうな。

 

では、なぜこのような現象が起きるのかと言いますと、そもそも人間の食欲ってのは胃袋の満腹感だけで決まっているわけではないからです。具体的には、「自分はさっきちゃんと食べた」という記憶も、次の食欲を抑える重要な材料になってるんですが、テレビやスマホを見ながら食べると、どうしても「食事をした」って記憶が薄くなっちゃうんですよ。

 

たとえば、スマホを見ながら昼食を食べたとしましょう。このとき、目と脳の大部分はスマホのほうに向かっているので、そのぶん食事の味、香り、食感、量、満足感などが記憶に残りにくくなるんですね。すると、夕方になったときに、「なんか今日はあんまり食べてない気がする」という感覚が生まれてしまい、実際にはちゃんと食べているのに、脳内の食事ログがうまく保存されなくなっちゃうんですな。結果として、体はカロリーを摂っているのに脳は満足しておらず、食事量は増えてしまいまして、いつの間にか摂取カロリーだけが積み上がっていくわけです。家計簿をつけずに買い物していたら、月末に「え、なんでこんなにお金が減ってるの?」となるようなもんですね。

 

ということで、今回のデータをもとに『「ながら食い」は本当に食事量を増やすのか?』って問題をあらためて考えてみると、

 

  • 「ながら食い」の本当の問題は、食事の記憶を薄くすることにある!

 

って感じになるんじゃないでしょうか。ながら食いってのは、私たちの食欲を暴走させるんじゃなくて、脳の計測システムにダメージをおよぼす行為なのだ!って感じですね。なので、やはり食事の時はマインドフルなほうが良いのだと申せましょう。特に減量中の人、食欲が暴走しやすい人、夜に間食が止まらない人は、食事中のスクリーンを減らすだけでかなり変わるかもなんで。

 

まぁ、だからといって「食事中はスマホもテレビも完全禁止!」だとは個人的には思ってなくて、毎回の食事を完全にマインドフルにするのもめんどいですからねぇ。なので、個人的には「ながら食いをゼロにする」よりも、以下のような対策をしとくのがいいんじゃないかと。

 

  • 食べる量を先に決める:ナッツなら20g、チョコなら2〜3個、ご飯なら茶碗1杯みたいに、あらかじめ量を決めとくやり方。めっちゃシンプルながら、行動科学では割と基礎的なやり方なんで、とりあえずやっといたほうがいいでしょう。逆に、食べながら判断するのが最悪なんで。

 

  • ながら食いOK食品を作る:ながら食いのときは「これなら食べていい!」って食品リストを作るのもアリ。たとえば、味噌汁、サラダ、ギリシャヨーグルト、ゆで卵、果物とかは、ながら食いしても被害が少ないんで、ここらへんを試すのがいいんじゃないでしょうか。

 

  • 最初の3口だけ集中する:最初の3口だけ、食事に集中するって方法も使いやすくてよき。食事中ずっとマインドフルでいる必要はないので、最初の3口だけ「香り」「温度」「食感」「味の濃さ」「噛んだときの変化」などに意識を向けてみるのも有効であります。これだけでも、食事の記憶が残りやすくなりますんで。

 

  • 食後に10秒だけ「食べたもの」を思い出す:食べ終わったら「今日の食事は何を食べたっけ?」と軽く思い出してみるのもあり。たとえば、「玄米、鶏むね、サラダを食べたなー。味も満足できたなー」みたいな感じでOKであります。

 

ということで、今回の話をまとめると、「ながら食いは、食べている最中の摂取量を必ず増やすわけではないが、その後の食欲を増やす可能性があるので注意してねー」って感じですんで、上記の対策で適度な「ながら」を実践していただければと。お試しあれー。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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