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眠れない夜は“自分磨き”でグッスリ眠れるようになるかもだ!という実験の話 ※自分磨きは「マスターベーション」のことです

 
 

寝る前の“自分磨き”で睡眠が改善するぞ!」って研究(R)が出ておりました。ちなみに、“自分磨き”ってのは、自己啓発の世界では「自己成長」や「自己改善」みたいな意味ですが、このブログでは“マスターベーション”のことです。

 

で、まずは先に本論の結論から申し上げますと、

 

  • 寝る直前に自分磨きを行った日は、主観的な睡眠の質が高かった。
  • 翌朝の気分も、ややポジティブだった。

 

みたいになります。自分磨きでリラックス感を得られる人は多いでしょうが、これで睡眠が改善するってのは、なかなか面白いところですね。

 

これはオーストラリアの研究チームが行った調査で、18〜72歳の成人301人を対象に「自分磨きした夜」と「自分磨きをしなかった夜」を比べてもらいまして、それぞれの日で以下のポイントにどんな違いがあったのかをチェックしたんだそうな。

 

  • 寝つくまでにどれぐらいかかったか
  • 眠りの質はどう感じたか
  • 睡眠時間はどうだったか
  • 就寝前と翌朝の気分はどうだったか
  • 性的な夢をどの程度見るか

 

ここで研究チームが定義する「自分磨き」ってのは、単なる自慰行為よりも広い意味でして、たんなる性器への刺激だけでなく、空想、官能的な音声や小説、非性的な身体への触れ方なども含めた、「自分の身体と感覚を心地よく扱う行為」全般として定義されております。だいぶ幅広いっすね。

 

でもって、すべてのデータをひっくるめて分析したところ、こんな結果になったんだそうな。

 

  • 自分磨きを行った夜は、「寝つきが早い」「眠りの質が高い」「少し長く眠れた」と感じる人が多かった。
  • 特に目立ったのは入眠時間で、自分磨きをした夜は、しなかった夜より平均で約9分早く眠りにつけた。

 

入眠までの時間が9分短縮と聞くと微妙に思えるかもしれませんが、毎晩「眠れん……」と20〜30分ほど悶々としている人にとっては、けっこう無視できない差でしょう。実際のところ、睡眠の世界では、入眠までに30分以上かかる状態が続くと、それだけで問題視されることがありますしね。

 

まぁ過去の研究でも、「オーガズムの後は疲れるから眠くなるんじゃない?」みたいな話はあったんで、個人的には今回の結果も納得なんですけど、今回の研究は、そこにもう少し広い見方を加えていて、そこが面白かったですね。というのも、このデータを見てみると、

 

  • 参加者の感情を追跡したところ、自分磨きの直後にはポジティブな気分が大きく上がり、その効果は就寝時まで続き、翌朝にも多少残っていた。
  • 一方で、身体の覚醒度は、自分磨きの直後にはそれほど変わらないものの、眠る直前にはガクッと下がっていた。

 

って傾向が確認されたんですよ。要するに、自分磨きのおかげで気分が良くなり、身体と脳の興奮は眠るタイミングで落ちたってメカニズムが見て取れたわけですな。この結果を見るかぎり、自分磨きで睡眠が改善するのは、単に体が疲れたからってわけではなく、「自分磨きには、不安や緊張から意識を切り替える効果あるのかも?」と言えるんじゃないでしょうか。

 

もうちょい詳しく言いますと、私たちが「寝つきが悪い!」と感じるときって、たいていは身体の問題というより、頭の中でネガティブな思考が渦巻いたり、未来の心配ごとが止まらなかったりするのが原因であることが多いじゃないですか。「あのとき、あんな言い方をしなきゃよかった……」とか、「明日の会議で変なことを言ったらどうしよう」とか、「このまま仕事がうまくいかなかったらどうなるんだ……」みたいな考えが止まらず、目がガンガンに冴えちゃうような状態ですね。が、そんなときに自分磨きをすると、自分の意識を身体感覚や心地よいイメージに向けることができて、脳内のネガティブな思考が弱まり、結果として眠りのモードに移行しやすくなるんじゃないの?ってのが、今回の研究が示すところなわけです。

 

でもって、もうひとつ面白いのが夢に関する話で、このデータによると、

 

  • 寝る前に自分磨きをする頻度が高い人ほど、性的な夢を思い出す頻度も少し高い傾向があった。

 

とも報告されてるんですよ。なので、淫夢を見たい人は、寝る前に自分磨きをしてみるのもありでしょう。

 

このような結果が出たのはわかりやすい話で、心理学の世界では「起きている間に気にしていたことや体験したことは、夢にも混ざりやすい」って現象が昔から知られてますからね。なので、怖い映画を見たあとに悪夢を見たり、あるいは大事な予定の前日に遅刻する夢を見たりするのと同じように、寝る前のエロいイメージが夢に流れ込むことはあるんでしょうな。

 

ただし、この研究には限界もありまして、すべては参加者の自己申告なので、入眠までの時間は不正確だろうし、夢の記憶も起床後すぐに消えたものも多いはず。「9分早く眠れた」という数字も、実際の脳波や睡眠トラッカーで確認されたものじゃないので、ここはだいぶ実際とはズレが出そうな気がしております。あと、みんなのストレスや飲酒、カフェインなどの影響も細かく統制されてないんで、自分磨きそのものが睡眠を改善したのか、それとも「その夜はそもそも気分がよく、余裕があったから両方できた」のかは、まだ断定できないとこです。

 

なので、「不眠には自分磨きが効く!」とは結論できないものの、

 

  • 寝る前に、頭の中の問題からいったん離れ、自分の身体感覚や心地よさに注意を戻す時間を作るために自分磨きをするのはアリかも!

 

ぐらいのノリで試してみるのがいいんじゃないかと。自分磨きでネガティブな思考が減るタイプの人なら、それをリラックスの選択肢に入れてもいいでしょうし、自分磨きが合わない人なら、軽いストレッチ、肌触りのいい寝具、温かい飲み物、官能とは関係のない読書、ゆっくりしたセルフマッサージを使えばOKでしょう。おそらく、脳の焦りを減らすことができれば、手段はなんでもいいはずなんで。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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