「毎日のカロリーをちょっとだけ減らせば体の酸化が減る!」はどこまで本当なんでしょうかねぇ
アンチエイジングの世界には「カロリーリストリクション」ってテクニックがあるわけです。ざっくり言えば「毎日の食事量をちょっとだけ減らすこと」で、だいたい普段の食事の60〜80%ぐらいまでカロリーを減らすのが定番のやり方になっております。
ただ、その効果については賛否がありまして、アカゲザルには効果が出てるものの、まだ「人間の長生きに効くの?」とか「本当に健康にいいの?」ってのは未知数。なにせ、ヒトと猿って意外と代謝が違ってたりするもんで、現時点で最良のデータをチェックしても、「よくわからんなぁ」ってのが正直なところなんですよね。
で、新しく出たデータ(1)では、「カロリーリストリクションで酸化ダメージは減るの?」ってところを深掘りしてていい感じでした。ご存じのとおり細胞の酸化ダメージは老化の大きな原因のひとつなんで、マイルドなカロリー制限が効くならすばらしい話なんですよね。
これはPBRCの実験で、CALERIEプロジェクトっていうデータセットを使っておリます。これは2年にわたってカロリーリストリクションの効果を調べた研究で、参加者はずーっとマイナス25%の食事量で暮らし続けたというからすごいもんです。
ここで扱った参加者の数は73人で、年齢は20〜50歳ぐらいがメイン。BMIは22〜28ぐらいで、肥満体型な人はいなかった模様。
そのうえで、全員の変化をチェックしたところ、こんな結果が出ております。
- 体型と代謝の変化
- 体重が1年で9.4キロ減り、2年目もその体重をキープした
- 減った体重の70%は体脂肪だった
- 安静時の代謝が10%ほど減った(だいたい1日160kcalぐらい
- ホルモンの変化
- 甲状腺ホルモンが大きく減った(=代謝が下がった)
- レプチンも結構減った(=食欲は増えた)
- インスリンやアドレナリンには変化がなかった
- 大事なポイント
- 酸化ダメージのマーカーが22%ぐらい減った(ただし、これはオシッコの話で、血中の酸化ストレスには変化なし)
ってことで、体脂肪と代謝の変化は予想どおりでしたが、酸化ダメージが減ったのはうれしいポイントですね。
もっとも、残念ながら血中の酸化マーカーが変わってないんで、証拠としてはかなーり弱め。また、以前の実験だと「安静時代謝には変化がなかった」って結論も出てるんで、そこらへんはご注意ください。
いまんとこ言えるのは、
- カロリーリストリクションで長生きできるかは不明
- ただし目立った弊害も出てないし、もちろん体重も減るので、毎日のカロリー制限が苦じゃない人なら試すのもありかも
ってぐらいでしょうか。まぁ個人的には、狩猟採集民のデータをもとに「いっぱい食べていっぱい動く方がいいんじゃないかなぁ」と考えてますが、このあたりは好みでお選びくださいませ。