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今週半ばの小ネタ:マインドフルネス vs. 呼吸訓練、女性の運動に効くサプリ、ニキビのメンタル悪化問題


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

  

 

 

マインドフルネス vs. 呼吸訓練 勝つのはどっちだ?

マインドフルネス瞑想呼吸法トレーニングは、どちらもメンタルに良いことがわかっていますが、両者を比べた場合にどちらのほうが効果が高いのかを調べたデータ(R)が出ておりました。

 

 

念のため、両者の違いをはっきりさせておきますと、

 

  • 呼吸法トレーニング:呼吸のペースを意図的にコントロールすることで、身体の生理的状態を変化させていく。
  • マインドフルネス瞑想:呼吸を積極的に変えようとせず、自分の呼吸などを観察することに焦点を当て、現在の瞬間への認識を高める。

 

みたいになります。呼吸トレーニングが身体の変化に焦点を当ててるのに対し、マインドフルネスは意識のコントロールに焦点を当ててる感じですね。

 

 

では、どちらが優れているのかってことで、研究チームは108名の参加者を集めて4つのトレーニングを指示してます。

 

  1. マインドフルネス瞑想
  2. 一定のペースで深呼吸
  3. タクティカルブリージング(「米軍が戦場のストレス解消に使う最強の呼吸法」を参照)
  4. 一定のペースで過呼吸

 

実験の期間は1ヶ月で、そのあいだ参加者は毎日5分間、割り当てられたトレーニングを実践した。そのうえで、研究の開始時と終了時に、みんなの不安、心拍数、呼吸数、睡眠の質の変化をチェックしたんだそうな。

 

 

その結果、なにがわかったかと言いますと、

 

  • 4つのグループともネガティブな感情が減り、ポジティブな感情の量が有意に改善された。

 

  • ただし、マインドフルネス瞑想と呼吸トレーニングを比べると、ポジティブな感情については一定のペースで深呼吸したグループが最も増加し、マインドフルネス瞑想グループの増加度は最下位だった。

 

ということで、この研究を見る限りは、一定のペースで深呼吸をする方法が、気分と生理の両方に最も大きな効果をもたらしそうな感じですね。

 

 

まー、この研究は、データをリモートで集めたため、参加者がどれぐらいトレーニングを実践したかは不明だし、サンプルサイズもかなり小さいので、正味な差異は断定しづらいところです。個人的には、呼吸法だろうがマインドフルネスだろうが好きな方法を使えばよいかと思うわけですが、今回の結果に沿うならば、「よりポジティブ感情を高めたい人は呼吸法トレーニングがいいのかも?」みたいな印象になりますね。

 

 

 

女性の運動に効くサプリはどれだ?

「女性の運動に効くサプリはどれだ?」を調べまくったメタ分析(R)が出ておりました。女性アスリートが運動のパフォーマンスを高めるためには、どんな成分を使うのがいいのかってことですな。

 

 

これは43件の研究をまとめたメタ分析で、参加者の合計は710人の女性。その半数はチームスポーツをやってる人がメインで、ほかにはマラソンをやってる人、筋トレをやってる人などもふくまれております。

 

 

で、参加者の運動パフォーマンスと、それぞれのサプリの効果を確かめたところ、結果はこんな感じになりました。

 

  • ダッシュの能力については、カフェインとリン酸ナトリウム(食品添加物に使われるやつ)が、もっとも効果が高い可能性がある。

 

  • 男性にはクレアチンが効くのはほぼ証明されているが、女性への研究はいまいちデータがないので判断が難しい。

 

  • 心肺能力に関しては、タウリン、カフェイン、β-アラニンで有酸素運動のパフォーマンスが上がるかも。

 

  • ポリフェノールで有酸素運動のパフォーマンスが上がるかどうかは謎。

 

ということで、毎度おなじみカフェインはやっぱ万能で、タウリンとベータアラニンなども併用していくと、女性の運動パフォーマンスアップが望めそうであります。クレアチンがまだ判定不能なのが残念ですけども、個人的には、女性にも大いに意味があるだろうと思ってますが。

 

 

 

ニキビのメンタル悪化問題を食事で改善?

ニキビの原因(のひとつ)は食事だ!ってのは常識でして、このブログでも、

 

 

なんて話をまとめてきたわけです。ざっくり言えば、カロリーが多いわりに栄養が少なく、GI値が高く、飽和脂肪酸が多い食事はニキビが増える傾向があり、逆に地中海食やパレオ系の食事をしている人たちは、ニキビの発症率が少ない(というか、狩猟採集民にはニキビがまったくないという報告も多い)とされております。

 

 

でもって、新しいデータ(R)もまたニキビと食事に関する内容で、1329人のニキビ患者を対象に調査を実施。ニキビに悪い食事はもちろん、ニキビとメンタルの悪化問題も掘り下げていて良い感じです。

 

 

分析の結果をまとめると、ざっくりこんな感じです。

 

  • 女性の70%と男性の67%が、ニキビによるメンタルの不調や怒り、不快感を感じていた。

 

  • ニキビに良くない食品は、ファストフード、チョコレート、塩、牛乳などが挙げられた。これらの食品を食べると、ニキビの重症度は有意に改善し(r=0.79)、ついでに幸福感のアップとも相関していた(r=0.76)。

 

ということで、ニキビに良くない食品の具体例は周知のとおりですが、これらの食品を減らすことでメンタルにも良い影響があることを示したのが、今回の研究の新味ですね。

 

 

ちなみに、ニキビを治療しているあいだに、上記の食品を1年以上にわたって減らしまくった患者さんほど、症状の改善レベルが高かったそうなので、お悩みの方は除去食に挑んでみるのもアリかもしれません。

 

 

また、重度の抑うつ症状に悩んでいる人ほど、牛乳・乳製品の摂取量が多かったって報告も出てまして、これも気になるところではあります。乳製品はニキビを引き起こしやく、そのせいで抑うつにつながりやすいってことなのかもしれませんが。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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