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人生満足度の80%は性格で決まる? 最新研究が示すアレな事実

 



性格が人生の満足度の80%を占める!」という、恐ろしいようなありがたいような研究(R)が出ておりました。人生の満足を左右する要素としては、お金、健康、環境など複数のものがありますが、実際には「どのような性格を持っているか?」が大半を占めているんじゃないか、と。

 

まず研究チームの結論から引用すると、

 

私たちの人生満足度は、いままで考えていた以上に、その人の性格に関係していることがわかった。

 

とのこと。これまでも「性格が人生の満足を左右する」って報告は多かったものの、実際には、従来の推定値よりもかなり影響が大きいんじゃないかってのが、この研究の大きな結論であります。

 

これはおよそ22,000人の男女(大半がエストニア人)を対象にした調査で、198項目からなるテストを使って、みんなのパーソナリティ特性と人生満足度をまとめて評価。この調査は、被験者本人だけでなく、彼ら彼女らをよく知る友人や同僚なども回答してまして、かなり包括的な内容になってます。これまでの調査ってのは、本人の自己申告のみでデータをまとめてたんで、どうしても誤差が出やすかったんですよねー。

 

ちなみに、ここで言う「人生満足度」ってのは、その名の通り、自分の人生にどれだけ満足しているかという評価のことです。自分の人生全体を大きく見て「良い人生を送れているな」と思えれば、人生の満足度は高いと言えます。

 

では、分析の結果を見てみましょうー。

 

  • 性格と人生の満足度は強く相関しており、神経症傾向の低さ(ストレスや不安に対してあまり敏感でない性格)が、人生満足度の高さと最も密接に関わっていた。

    誠実性(コツコツとマジメにやる性格)は仕事の満足度と相関していた。

    外向性(社交的で活発な性格)と協調性(他人と仲良くやる性格)は社会的な満足度と相関していた。

 

  • 開放性(好奇心が高いかどうか)と人生満足度の相関はわずかだったが、高齢者で開放性のスコアが高かった人は、人生満足度が上昇していた。

 

  • 生活満足度と性格との関係は長期にわたって安定しており、性格が人生満足度に及ぼす影響は長期にわたって一貫して持続していた。

 

ということで、性格と人生満足度は密接に結びついており、感情の安定、社交性、勤勉さといった性格の予測力が特に強かったらしい。これらの性格は、人生満足度に一貫して影響力があり、開放性や協調性といった他の特性はほとんど影響を示さなかったそうな。

 

このデータだと、感情の安定、社交性、勤勉さといった性格は人生満足度の80%を占めていて、これは従来の推定値の約2倍だったりします。こりゃまたずいぶんな違いが出たもんですね。

 

さらに別の分析を見てみると、またおもしろい知見が出ておりました。

 

  • 「私は誤解されている」という感情、興奮の欠如、優柔不断、嫉妬などの感情は、人生満足度の低下と強く関連していた。

 

  • 逆に、自分の能力に対する自信や、「努力は報われる!」という信念のような特徴は、人生満足度と関連していた。

 

「ネガティブな感情が人生満足度の低下につながる」という当たり前の話なんですが、被害者意識や優柔不断などは誰にでも起きる問題ですから、注意しておいたほうがよさそうですね。

 

再び研究チームいわく、

 

ほとんどの人にとって、そしてほとんどの場合、人生の満足度は、情緒の安定、外向性、誠実性といった性格特性と一致する傾向がある。

 

性格から人生の満足度をここまで正確に予測できるとは思っていなかったので驚いた。 この研究を行う前に、パーソナリティ研究者の意見を尋ねてまわったが、みんなもっと精度が低いと考えてたからだ。

 

つまり、私たちの人生満足度は、自分の身に起きた経験にはさほど左右されない。経験の影響は、よく考えられているよりも小さいのだ。もしあなたが幸運に恵まれたとしても、より幸せな人生を送れるとは限らない。

 

とのこと。私たちの人生満足度は“人生経験そのもの”ではなく、“人生経験の解釈”で決まるので、当人の性格が大きく影響するのは当然なんだって意見ですね。まぁ同じような経験をしても、そこから得るものは人によって大きく違ったりしますから、性格のほうが大事なのは当たり前かもしれません。

 

つまりこの研究ってのは、良いニュースでも悪いニュースでもあって、

 

  • 生まれつき情緒の安定、外向性、誠実性が高い人は、仕事が上手くいこうが上手くいくまいが、金を儲けようが儲けまいが、社会的に高い地位につこうがつくまいが、関係なく満足度の高い人生を送れるかもしれない。

 

  • 逆に、生まれつき情緒の安定、外向性、誠実性が低い人は、仕事が上手くいこうが上手くいくまいが、金を儲けようが儲けまいが、社会的に高い地位につこうがつくまいが、関係なく満足度が低い人生になってしまうかもしれない。

 

みたいな話になっちゃうんですよね……。とはいえ、まぁ人間の性格はある程度まで後から変えられるって知見もありますんで、性格の遺伝クジに恵まれなかった人は、コツコツセルフ介入していくのが良いでしょうな。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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