ホエイプロテインの成分で睡眠は本当に改善するのか?みたいな実験の話
「α-ラクトアルブミン(ALAC)でぐっすり眠れるかも?」というデータ(R)が面白かったんで、内容をチェックしておきましょう。「なんかうまく眠れないんだよなぁ」みたいな方には、なにがしかの参考になるかもしれません。
まず前提を押さえておくと、α-ラクトアルブミンってのはホエイプロテインに含まれる成分で、母乳にも豊富に含まれることで知られております。その特徴は、トリプトファンっていうアミノ酸の含有量が高いこと。トリプトファンは、セロトニンやメラトニンといった「眠気ホルモン」の材料になりまして、
- セロトニン:気分を安定させる
- メラトニン:眠気を引き起こす
って感じで、2段構えで睡眠にアプローチしてくれる、まことにありがたい成分なんですな。そう考えるとα-ラクトアルブミンも、いかにも睡眠の改善に効きそうな気がするわけです。
では、その効果やいかにってことで、この研究では、睡眠に問題を抱えるアスリート19名(平均25歳)を対象に、以下のようなクロスオーバーデザインの実験を採用しております。
- 実験期間は2日間で、α-ラクトアルブミン(40g) vs コラーゲン(40g)のどちらかを寝る2時間前に飲んでもらう
- 就寝時にはポータブルEEG(脳波測定バンド)で睡眠の質をチェックしてもらう
- 翌朝には、反応時間や認知パフォーマンステストも実施する
こんな感じで、α-ラクトアルブミンの効果をチェックしてみたところ、結果は「良いとこ」と「微妙なとこ」の2つが確認されたんだそうな。
- α-ラクトアルブミンの良いとこ
- α-ラクトアルブミンを飲んだ日、多くの参加者の認知パフォーマンスが上がったとのこと。ざっくり言うと、「反応速度が速くなった」「集中力が上がった」「タスク効率も改善」って結果が出ていて、これはなかなか面白いポイント。α-ラクトアルブミンのおかげで睡眠が改善し、頭がスッキリしたのかもですな。
- α-ラクトアルブミンの微妙なとこ
- α-ラクトアルブミンを飲んだ日、多くの参加者は主観的な睡眠の質が低下したそうな。ざっくり言うと、「眠りの満足度はむしろ下がった(ALAC:3.3点 vs プラセボ:3.7点)」「寝る直前の緊張感が高くなった」「翌朝の筋肉痛やストレスも高くなった」って結果が出てまして、これはかなり意外っすね。
- α-ラクトアルブミンを飲んだ日、多くの参加者はREM睡眠が減ったとのこと。脳波データによると、「REM(夢を見る眠り)が減少」した上に、「浅いノンレム睡眠(ステージ2)が増加」したって傾向があったらしい。これは必ずしも「微妙なこと」と捉えるかどうかは議論の分かれるところですが、REMは記憶の統合や感情の調整に不可欠なフェーズなんで、それが減るのはやや心配ですな。
というわけで、これを見ると「α-ラクトアルブミンって微妙なのかなー」って気もするわけですけども、ここで注意しておきたいのが、過去のα-ラクトアルブミン研究ではポジティブな効果しか報告されていないケースも多いってところです。たとえば、
- 2021年の研究(R)では、α-ラクトアルブミンを飲んだ女性アスリートは、入眠までの時間が短くなり、全体的な睡眠の質が向上したよ!と報告されている。
2024年に発表されたシステマティックレビュー(R)では、過去の8つの研究をまとめた結果、そのうち5つの研究で、ALACが睡眠の開始(入眠潜時)を改善したと報告され、ネガティブな副作用はひとつもなかった
みたいな感じっすね。にも関わらず、今回の研究ではα-ラクトアルブミンに微妙な結果が出ているのが不思議ですけども、個人的には「プラセボに使ったのがコラーゲンだったからでは?」という気がしております。というのも、実はコラーゲン自体にも「深部体温を下げて入眠を促してくれるんじゃない?」って考え方はありまして、「α-ラクトアルブミンが微妙なんじゃなくて、コラーゲンが思ったより良かっただけなんじゃ?」という可能性もあるんじゃないかと思うんですよね。
なので、現時点でα-ラクトアルブミンのサプリを使うべきかってのは判断しづらいんで、私としては以下の成分のほうがオススメですかね。
- L-トリプトファン
- メラトニン
- グリシン
- タルトチェリージュースやキウイ
とくにメラトニンやグリシンは作用機序も明確なので、まずはこちらから試すのが無難かもしれませんなぁ。もうちょい調査が進んだら、α-ラクトアルブミンを試してみるかもしれませんが、それまでは寝る数時間前にホエイプロテインを飲んでみるぐらいでもいいかもですね。



