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今週の小ネタ:オメガ3でストレスは減るのか?発酵食品は本当に腸にいいのか?果糖ぶどう糖液糖は本当に危険なのか?


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

オメガ3でストレスは減るのか?

ストレス対策のサプリとして、よく名前が出てくるのがオメガ3脂肪酸(EPA・DHA)。魚に多く含まれる脂肪として有名で、

 

  • メンタルヘルスに良い
  • 炎症を減らす
  • 脳機能をサポートする

 

みたいな話を聞いたことがある方も多いでしょう。実際、オメガ3とメンタルの関係はそこそこ研究されておりまして、うつ症状や不安の改善を示すデータもいくつか出ております。

 

そんな中で最近、かなりストレスが強い人を対象にしたランダム化比較試験(RCT)が出ていたので(R)、内容をチェックしてみましょう。この研究は、サウジアラビアの若い成人64名を対象にしたもので、「強いストレスと不安を抱えている!」と答えた人だけを選んだんだそうな。

 

研究では参加者を次の2グループに分けまして、

 

  • オメガ3グループ:毎日「EPA:500mg」と「DHA:250mg」をふくむサプリを飲む。
  • プラセボグループ:オメガ3の代わりに、偽のサプリメントを飲む。

 

って感じで、これを3ヶ月間続けてもらい、メンタルや睡眠などの変化を測定したとのこと。そこで何がわかったかと言いますと、オメガ3を摂取したグループでは、以下の項目が改善したらしい。

 

  • ストレス
  • 不安
  • 抑うつ症状
  • 睡眠の質
  • 日常記憶

 

しかも、研究者によれば、全体の効果量は大きく、臨床的にも意味のあるレベルだったとのこと。こいつはかなり良さげな結果じゃないでしょうか。

 

とはいえ、この研究には問題もありまして、メンタル研究としてはまだサンプル数が少ないのと、すべての結果が自己申告なので客観的な睡眠測定が行われないのが欠点だったりします。なので結果は慎重に解釈すべきなんですけども、オメガ3とメンタルの関係自体は昔から研究されてますんで、とりあえずサバやイワシ、サーモンの摂取量を増やしてみるのはアリでしょう。魚をあまり食べない人なら、EPA+DHAで1g前後ぐらいのサプリを飲むのも悪くない選択肢ですな。

 

 

 

発酵食品は本当に腸にいいのか?

ヨーグルト、キムチ、納豆、ザワークラウト、ケフィアなど「発酵食品は腸に良い」という話はもはや健康界の定番。「腸内環境を整えるには発酵食品!」「毎日ヨーグルトを食べると便通が改善する!」みたいなフレーズを、誰でも聞いたことがあるでしょう。

 

そこで新たに出た研究(R)では、「発酵食品によってお腹の調子はどこまで改善するか?」ってところをチェックしていて勉強になりました。これは19本のランダム化比較試験(RCT)を統合し、4,328人のデータをまとめたものでして、参加者には以下のような発酵食品を食べてもらったんだそうな。

 

  • 牛乳(発酵乳)
  • ヨーグルト
  • チーズ
  • ケフィア
  • 豆乳
  • キャベツ(ザワークラウトなど)
  • キュウリ(発酵ピクルス)

 

摂取期間は2週間〜24週間で、発酵食品がどこまで腸の改善に影響するのかを調べております。その結果、なにがわかったかと言いますと、

 

  • 発酵食品を食べたグループは
    • 便の回数が増えた
    • 膨満感が減少した
    • ガスが減少した
    • 便秘が改善した

 

といった効果が見られたらしい。つまり簡単に言えば、「発酵食品によってお腹の動きは少し良くなる」って結果であります。

 

一方で、効果が見られなかった症状もありまして、

 

  • 腹痛には変化が見られなかった

 

とのこと。つまり、お腹の張りや便秘は改善するが、腹痛には効果がないという、やや限定された結果になってるわけっすね。

 

ってことで、私としては「やっぱり発酵食品は腸に良いんだなー」って気がするんですけども、このメタ分析は証拠の質がかなり低めなのでご注意ください。この研究では、実験に使われた発酵食品の種類がバラバラだし、菌の種類と量が統一されていないので、まだまだ「発酵食品がどこまで良いか?」について決定的なことは言えない感じなんですよね。なので、いまのところヨーグルト、納豆、キムチなどは、「好きなら普通に食べる!」ぐらいのノリでいいんじゃないかと。

 

 

 

果糖ぶどう糖液糖は本当に危険なのか?

清涼飲料水や加工食品に入っている成分が「果糖ぶどう糖液糖(HFCS)」。健康系の話題では、だいたい悪役として登場してまして、

 

  • 「HFCSは脂肪肝の原因になる」
  • 「インスリン抵抗性を悪化させる」
  • 「普通の砂糖よりヤバい」

 

みたいな話がよく出回っているわけです。では、HFCSは実際に悪いのかってことで、近ごろHFCSと肝臓の健康をまとめたレビュー(R)が出てました。

 

これは非ランダム化試験を1つだけ扱ったレビューでして、研究では若い成人85名を集めて4グループに分けております。

 

  1. HFCS 0%のドリンクを飲むグループ(人工甘味料を使った飲料を飲む。甘さはHFCSドリンクと同じ)
  2. HFCS 10%のドリンクを飲むグループ
  3. HFCS 17.5%のドリンクを飲むグループ
  4. HFCS 25%のドリンクを飲むグループ

 

ここで言う「10%」ってのは、1日の総カロリーの何%をHFCS飲料から摂るか、みたいな意味です。なので、25%グループの場合は、かなりの量の甘い飲み物を飲むことになるわけです。でもって、参加者にはそれぞれの飲料を12日間毎日飲んでもらい、肝臓脂肪やインスリン感受性を測定したんだそうな。

 

その結果がどうだったかと言いますと、

 

  • 肝臓脂肪:HFCS 25%グループだけ肝臓脂肪が増加した
  • インスリン抵抗性:すべてのHFCSグループで増加した
  • 体重:変化がなかった

 

みたいになります。全体として、HFCSを多く摂ると肝臓脂肪やインスリン抵抗性が悪化する可能性を示してまして、「やっぱりHFCSヤバいじゃん!」って気がするわけです。

 

しかし、このレビューには大きな問題がありまして、

 

  • 実質的に研究が1本しかない:レビューといっても、非ランダム化試験が1本しかないんで、証拠としてはかなり弱いとしか言いようがないっすね。普通は複数のランダム化比較試験(RCT)が必要なんで。

 

  • 都合の悪い研究が除外されている:さらにややこしいことに、HFCSの影響を調べた別の試験では、肝臓脂肪や筋肉の異所性脂肪がどちらも増えなかったって結果が出ていることっすね。ところが、この研究は今回のレビューに含まれてないんで、つまり、検索方法が微妙だし、研究の選び方にバイアスの可能性があるよなーって気がするわけです。

 

ってあたりは割と致命的な感じがするんですよね。なので、現時点では「HFCSには気をつけつつも、大規模RCTが出るまで判断は保留!」ってのが妥当でしょう。というか、個人的には「HFCSはドリンクによく使われる」ってとこのほうが大きいような気がしてますんで、HFCSが特別にヤバいって話ではないんじゃないかなーとか思ってますが。

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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