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「自信過剰」で問題を起こす人は、そのように生まれついているのか?問題

 

  

生きる上である程度の「自信」は必要なんだけど、実際の能力を上回る「自信」を持っちゃうとトラブルの種になりがちでございます。たとえば、

 

  • 「この企画書は1時間ぐらいでできるな」と思ってたら、実際には3日かかった

  • 「これは凄いニュースだ!間違いない!」と思ったらフェイクニュースだった

  • 料理にくわしくないのに「まあ感覚でいける」と考えて塩を入れすぎる

 

みたいな問題を引き起こしがちですよね。こうした“やたら自信がある状態”をほっとくと、地味に大きなトラブルにつながりかねないので、どうにかしておきたいところなんですよね。

 

そこで、近ごろ出た研究(R)では、自信過剰は「状況」で決まるのか、それとも生まれ持った「性格」なのか?みたいな疑問を掘り下げてくれてて有用でした。要するに、企画書の時間見積もりが甘い人は、たまたまその作業に慣れているから自信過剰になったのか、それとも生まれつき自信過剰な性格だから見積もりを間違えたのであり、それゆえにフェイクニュースや料理の腕前についても同じように過大評価しがちになるのか?という問題を調べたわけですね。

 

 

“運ゲー”でみんなの自信を計測してみた

この実験は942名の男女を対象にしたもので、みんなに以下のような「運ゲー」をやってもらったんだそうな。

 

  • 写真の人物が32歳か33歳かを当てる

  • ある人の顔写真を見て、その人の「へそが出べそかどうか」を当てる

  • ぼやけた画像に何が写っているか当てる

 

どのゲームも個人の能力は関係せず、ほぼ運だけで勝敗が決まるようなデザインになっております。その上で、各回答ごとに自信度(0〜100%)を申告してもらい、テスト後には 「何問正解したと思うか」「他の参加者より上か下か」も報告させたんだそうな。こういうゲームを使うことで、参加者が「どのような自信を持っているか?」をはっきりさせられるわけですな。

 

その結果は、どんな傾向が明らかになったかと言いますと、

 

  • 課題間の平均相関:0.63
  • 得点自己評価の相関:0.40

 

だったそうです。といわれても「なんのこっちゃ」って感じかもですが、ここで研究チームは事前に、異なる課題間で自信の相関が0.4以上なら「自信過剰は性格特性っぽいだろう」と合意しております。相関が1.0だと完全一致なので、0.4は「中程度」の効果ってことでして、つまり自信過剰は、ある程度『性格特性』と言えそう!」って結論が導かれたわけですね。

 

より簡単に言えば、ある人はどのゲームでも自信満々だったのに対し、また別の人はどのゲームでも慎重さを貫いたってことです。「自分がどれぐらいの能力を持っているか?」とは無関係に、常に自信満々な人は一定数いるんだって話でして、なかなか怖い結論ですな。

 

 

 

「ナルシストだから自信過剰」ってわけでもないらしい

ちなみに、一般的には「ナルシストほど自信過剰なはずだ」みたいに思われがちでしょう。「自分が大好きな人ほど、自分の能力まで過大評価するだろう」みたいな考え方です。

 

が、この研究では、ナルシシズムと 「自信過剰にならずに別の可能性を探す傾向」の関係も測定してまして、これらと自信度の明確な関連は見つからなかったと報告されております。 つまり、自信過剰だからと言って、必ずしもナルシストってわけではないってことですな。

 

まぁ、とはいえこのデータにも問題点はありまして、

 

  • これは「運ゲー課題」に限った話である
  • 現実世界ではフィードバックがある
  • 能力がある分野では過信しない可能性もある
  • 楽観性と自信過剰の相関は測っていない

 

みたいなところは今後の課題でしょう。自信過剰で痛い目を見たことがある人は、その後はより慎重な態度を取るかもしれないですからね。ただし、研究チームが出した「能力とは無関係に、一貫して自信が高い人は存在する」って結論は、それなりに受け止めるべきかなーとか想っております。

 

 

 

 

じゃあ、自信過剰はどうすればいいのか

では、もし自分に自信過剰の兆候があったらどうすりゃいいのかって話になりますけども、自信そのものを減らすのは難しいので、現実的には 「自信の暴走を止める仕組み」を作るのが現実的でしょう。たとえば、

 

  1. 外部フィードバックを強制的に入れる判断を一晩寝かせたり、第三者に必ず確認してもらったり、反対意見を最低1つ探すってルールを決めたりしておく。


  2. 予測を数値化して、後で答え合わせする:「多分うまくいく」ではなく、成功確率は何%?と自問するクセをつける。そして結果が出たら「実際はどうだったか」を記録する。これは、「予測力が高い」と言われている人が実践している手法なので、取り入れてみて損はなし。


  3. “自信”と“能力”を切り離す:自信は感情で能力はデータなので、この区別を意識するだけでも、思考の暴走は減るはず。

 

みたいなものがありましょう。個人的にも、「反対意見を最低1つ探す」ってのと、「予測の数値化」はよくやってまして、「こりゃ効果あるなー」とか思ってたりします(これもまた自信過剰なのかもしれませんが)。とりあえず、日々のなかで「この確信、本当に根拠あるっけ?」と疑うクセをつけるのは、特に現代では有効な方法かなーと思う次第ですね。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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