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少量の酒でも脳はダメージを受けるのか?“ちょい飲み”の長期リスクを見てみよう!

   

ご存じのとおり「適量の飲酒なら健康にいい!」って話は、ここ数年でだいぶ立場が怪しくなっております。近年の大規模研究では「少量でもリスクはゼロではない」とするデータがどんどん増えてきているんですよね。


で、最近の研究(R)も「酒と健康」の関係を調べていて、まず結論から言っちゃうと、

 

  • 酒はちょっとだけでも脳にダメージが出るかも!

 

みたいになります。しかもその影響は、長年の積み重ねでじわじわ効いてくるタイプだということで、なんとも恐ろしいですねぇ。

 

ということで今回は、低レベルの飲酒が脳にどんな影響を与えるのかをチェックしてみましょう。この研究は、22歳から70歳までの健康な成人を対象にしたもので、「これまでの人生でどれくらいお酒を飲んできたか?」と「脳の状態」の関係を調べたんですよ。具体的には、参加者にアンケートを行って過去1年・3年・生涯にわたる飲酒量を調べ、そのデータをもとにみんなの平均の飲酒量を算出。その後、MRIを使って脳の構造を測定して、大脳皮質の厚さや体積を評価したんだそうな。また、一部の参加者(27名)については、脳への血流も測定してまして、これにより「飲酒量」「年齢」「脳の血流」「皮質の厚さ」との関連を統計的に分析しております。

 

で、この研究のポイントは、「ヘビードリンカー」ではなく、あくまで低〜中程度の飲酒者を対象にしている点です。つまり「普通に生活している人たち」を対象にしているわけで、ゆえに我々の暮らしの参考にもなりそうな気がするわけです。

 

さて、すべてのデータを分析した結果、ざっくり以下のような傾向が見られました。

 

  • 生涯の飲酒量が多いほど、脳の血流が低下する
  • それと同時に、脳の皮質(いわゆる思考を担う部分)が薄くなる
  • 特に「年齢 × 飲酒量」の組み合わせにより、さらにダメージが強くなる


ということで、若い頃は問題なくても、年齢とともにダメージが一気に表面化する可能性があるという、なんとも恐ろしい話になっております。しかも「年を取るほど、これまで飲んできたお酒の影響が効いてくる」可能性があるわけですね。

 

では、どのあたりの機能が落ちるのか?といいますと、なかでも影響が強く出ていたのは、主に以下の領域であります。

 

  • 前頭葉(思考・意思決定・感情コントロール)
  • 頭頂葉(感覚処理など)


ここは主に脳の「実行機能」と呼ばれる能力を担う場所でして、こいつは集中力、計画力、感情のコントロールといった、日常生活の質に直結するスキルに関わっております。つまり、ざっくりした話ですが、たとえ「ちょい飲み」レベルの飲酒でも長年にわたって続けていると、

 

  • なんとなく集中できない
  • 判断ミスが増える
  • イライラしやすくなる

 

みたいな問題がじわじわ出てしまうかもしれないわけです。こいつは怖いぜ……。

 

さほどに酒が脳に良くない理由として、研究者たちは「酸化ストレス」を挙げておられます。酸化ストレスってのはざっくり言うと、体内で細胞がサビつく現象みたいなもので、こいつがやっかいなのは、

 

  • アルコール → 酸化ストレスを増やす
  • 加齢 → これまた酸化ストレスを増やす


という問題がダブルで発生するからです。酒と年齢の2つが組み合わさることで、脳細胞へのダメージが積み上がりやすくなるわけっすね。

 

ここで重要なのが、「じゃあどれくらいなら安全なの?」という話でして、今回のデータを見ていると、

 

  • 飲めば飲むほどリスクは上がる(少量でもゼロではない)

 

という傾向が見て取れるんですよ。実際、WHOも「少量の飲酒でも複数のがんリスクが上がる」と指摘してまして、今回の研究もそれを補強する形になってますね。

 

とはいえ、「今日から完全禁酒!」ってのも現実的じゃない方が多いはずなので、現実的な落としどころとしては、以下のあたりがおすすめです。

 

  1. 「頻度」をまず減らす:量よりもまず回数のほうが効いてるっぽいので、いま毎日飲んでいるような人は、ぜひ週2〜3回に減らしてくださいませ。これだけでも生涯の摂取量はかなり変わるはずなんで。

  2. 年齢が上がるほど慎重になる:今回の研究のキモはここで、どうやら若い頃と同じ飲み方を続けるのが一番まずいみたいなんですよね。なので、40代以降は「半分ぐらいにする」ぐらいの意識でもいいかもしれません(私もそうしてます)。

  3. 代替行動を用意する:お酒の問題は「習慣」なので、ノンアル飲料、炭酸水、軽い運動みたいな置き換えを用意しておくとラクであります。

 

ということで、今回の話をまとめると、

 

  • 少量の飲酒でも、長期的には脳に影響が出る可能性がある
  • 特に「年齢 × 酒の累積量」がポイントになる
  • このダメージはじわじわと蓄積していく


という感じ。もちろんお酒を飲んですぐに問題が出るってことはないんだけど、それでずっと飲み続けていたら、気づいたときには「なんか昔より頭が回らないな……」みたいな状態になっている可能性があるわけっすね。この手のリスクは、早めに対処しておくに越したことはないんで、「酒を完全にやめる」までいかなくても、

 

  • 飲む回数を減らす

 

  • 年齢に応じて調整する


って2つを実践するだけでも、長期的な差はかなり大きくなるはずです。どうぞご参考までに。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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