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現代人にありがちな「眠ろうとするほど眠れない!」問題を改善する方法はこれだ!って本を読んだ話

 

考えすぎず、もっと眠ろう(Think Less, Sleep More)』って本を読みました。著者のステファニー・ロミゼフスキーさんは睡眠生理学者で、BBCのドキュメンタリーなどにも出演している睡眠の専門家らしい。

 

で、本書のテーマは、「眠ろうと努力するほど、睡眠はうまくいかなくなるのでは?」というもの。世の中には、寝る前のストレッチ、呼吸法、サプリ、アロマ、睡眠計測デバイスなど、睡眠を改善するためのテクニックが大量にありますけども、こうした方法を試しすぎると、いつの間にか睡眠が「マストな課題」に変わり、その結果、かえって脳が覚醒しちゃうことがあるんですよ。

 

そこで本書は、睡眠を管理する技術を増やすよりも、「身体を信頼するところから始めよう!」と提案しておられます。これはちょっと新しい切り口ですな。

 

というわけで、今回も本書から勉強になったところをチェックしてみましょうー。

 

  • 睡眠の問題を抱えると、多くの人は「自分は眠れなくなったのではないか?」と考えてしまう。しかし、睡眠は自転車や料理のように、練習して上達する技術ではない。赤ちゃんは誰かに眠り方を教えられるわけではないし、私たちも普段は意識的な操作をせずに眠っている。

 

  • 睡眠は呼吸や消化と同じ生物学的なプロセスであり、体にはもともと眠る力が備わっている。人間が永久に眠らずにいることはできず、覚醒が長く続けば、体はどこかで必ず睡眠を取ろうとする。希望する時間に、希望する長さだけ眠れるとは限らないが、睡眠を生み出す仕組みそのものがなくなるわけではない。

 

  • ところが、眠れない夜が続くと、私たちは「もっと頑張って眠ろう」としてしまう。早く布団に入り、呼吸を整え、筋肉を緩め、眠れているかどうかを確認し続ける。しかし、睡眠は意識的に努力して起こすことができないため、頑張るほど「まだ眠れていない」という監視が強まりやすい。

    実際のところ、「眠ってはいけない」と言われたときに眠気が増すことがある一方で、「いますぐ眠れ」と命令されたせいで、かえって眠れなくなることもある。睡眠とは、それぐらい直接的なコントロールが難しい現象である。

 

  • そのため、睡眠に悩んだときは、「どうすれば自分を眠らせられるか?」と考えるよりも、「何が自然な睡眠を邪魔しているのか?」と考えたほうがいい。睡眠を発生させようとするのではなく、睡眠が起きる条件を邪魔しないようにするわけである。

 

  • 睡眠問題を悪化させる大きな要因のひとつが、睡眠への不安である。もちろん、不眠のきっかけ自体は、生活上の問題であるケースが多い。仕事が忙しかった、風邪をひいた、育児で夜中に起こされた、旅行で生活時間がずれた、人間関係のストレスがあった、などである。このような事情で数日ほど眠りが乱れるのは珍しいことではない。

    しかし、問題はその後で、一度眠れない夜を経験すると、私たちは「今日も眠れなかったらどうしよう」と考え、睡眠を細かく監視し始めてしまう。夜中に時計を見て、残りの睡眠時間を計算し、「あと4時間しかない」「明日の仕事は終わった」と予測する、といった行動である。

    すると、布団は休息の場所ではなく、「自分が眠れるかどうかを試される場所」になってしまう。そして、寝室に入っただけで緊張し、目を閉じても頭の中では時間を計算し、少し目が覚めただけで「また失敗した」と判断するようになる。

    このような状態では、最初の不眠を引き起こしたストレスがなくなったあとも、睡眠への不安だけが残り続ける。もともとは仕事や病気が原因だったのに、いつの間にか「眠れないことへの恐怖」が、新たな不眠の原因になる。

 

  • さらに現代では、「睡眠を最適化せよ!」という情報が増えており、これも問題のタネになる。現代では、何時間眠ったか、深い睡眠が何分あったか、夜中に何回起きたか、睡眠スコアが何点だったかなどを、毎朝チェックできるようになり、たしかにこうしたデータが役立つ場合もある。しかし、数値を気にしすぎると、本人の感覚よりもデバイスの判定を優先するようになってしまう。

    そのせいで、朝起きたときは普通に元気だったのに、アプリに「睡眠の質が低い」と表示されたせいで、「今日は体調が悪いに違いない」と思い始めることがある。睡眠を良くするために始めた計測が、逆に睡眠への不安を増やすことになりかねない。

 

  • 睡眠を改善したい人は、たいてい夜の行動を変えようとする。寝る前にハーブティーを飲む、入浴する、照明を落とす、ストレッチをする、呼吸法を行う、リラックス音楽を聴くなどである。しかし、本書が重視するのは、夜よりも朝である。

    睡眠は、おもに「睡眠圧」と「体内時計」という2つの仕組みに影響されている。睡眠圧とは、起きている時間が長くなるほど高まる眠気のようなもので、朝から活動を続けることで、少しずつ蓄積していく。

    もうひとつの体内時計は、光や活動時間などを手がかりにして、いつ目を覚まし、いつ眠るべきかを調整している。この2つの仕組みを安定させるうえで重要なのが、起床後の行動である。

 

  • 朝にある程度決まった時間に起き、光を浴び、体を動かし、一日の活動を始めることで、脳は「いまは覚醒する時間だ」と学習する。そして、起きている時間が十分に長くなれば、夜には自然と睡眠圧が高まる。つまり、夜の睡眠は、寝る直前の30分だけで決まるものではない。むしろ、朝に何時に起きて、その後どのように一日を過ごしたかによって、かなりの部分が決まると言ってよい。

    たとえば、前夜に眠れなかったからといって昼近くまで寝てしまうと、その日の睡眠圧が十分に蓄積しにくくなる。その結果、次の夜も眠気が来ず、「また眠れない」という循環が起きやすい。

    もちろん、だからといって朝のルーティンを完璧にする必要はない。毎朝5時に起き、冷水シャワーを浴び、瞑想と運動をこなし、朝日を30分浴びなければならない、といった対策を増やすと逆効果になりかねない。ここでやるべきは、起床時刻を大幅にずらさず、起きたら光を浴び、日中にある程度活動する……ぐらいで十分である。

 

  • また、私たちは「良い睡眠」に対して、かなり非現実的なイメージを持っている。布団に入ったら数分で眠り、一度も目を覚まさず、毎日同じ時間だけ熟睡し、朝はすっきり目覚める……こういう人を「よく眠れる人」だと考えがちである。

    しかし、実際には、健康な人でも夜中に目を覚ますし、寝つきに時間がかかる日もある。ストレスが強ければ眠りは浅くなるし、旅行や体調不良があれば睡眠時間も変わる。毎晩まったく同じように眠れる人など、ほとんど存在しない。本当に良く眠れる人とは、毎晩完璧に眠れる人ではなく、眠れない夜があっても、それを大きな問題として扱わない人である。

    そのような人は、たとえば、一晩よく眠れなかったとしても、「今日は少し眠いかもしれないが、まあ何とかなるだろう」と考え、普段どおりに起きて生活を続ける。翌日の予定をすべてキャンセルしたり、昼まで寝たり、夕方から布団に入ったりしない。つまり、睡眠が毎日変化することを受け入れ、少し乱れたからといって慌てて修正しようとしない。そのおかげで、一時的な睡眠不足が慢性的な不眠に発展しにくい。

 

  • 逆に、「必ず8時間眠らなければならない」「夜中に目を覚ましてはいけない」「毎朝すっきり起きるべきだ」と考えていると、普通の睡眠の変動まで異常に見えてしまう。たとえば、夜中に一度目が覚めただけでも「睡眠が壊れた」と判断し、6時間半しか眠れなかっただけで「今日は使いものにならない」と予測するような状況である。こうした解釈のほうが、実際の睡眠時間以上に日中の調子を悪くすることもある。そのため、睡眠を安定させたいなら、睡眠の基準を高くするよりも、むしろ「多少の変化は普通である」と理解したほうがいい。

 

  • そもそも睡眠は、年齢や生活環境によって変わる。20歳のころと50歳のころでは睡眠のパターンが違うし、妊娠、育児、病気、ストレス、悲しみ、旅行などによっても変化する。大事な仕事の前日に寝つけなくなることもあれば、体調を崩したあとに長く眠ることもある。

    しかし、私たちは睡眠が変化すると、すぐに「何かがおかしい」と判断してしまう。実際には、睡眠が状況に応じて変わるのは、睡眠システムが弱くなったからではなく、むしろ環境や体の状態に適応している証拠とも考えられる。そのため、昨夜の睡眠だけを切り取って、「深い睡眠が少なかった」「夢を見る時間が短かった」「いつもより30分早く目が覚めた」と評価しても、あまり意味がない。

 

 

ということで、今回は『考えすぎず、もっと眠ろう!』って本のお話でした。ざっくりまとめると、「眠れないときに必要なのは、もっと上手に眠る方法を探すことではない!睡眠を管理しようとする行動を少し減らすことだ!」みたいな感じですね。まさに現代人には“あるある”のお悩みですんで、

 

  • 夜中に何度も時計を確認していないか。
  • 睡眠スコアに一喜一憂していないか。
  • 眠れなかった翌朝に、起床時間を大きく遅らせていないか。
  • 眠くないのに、早い時間から布団に入っていないか。

 

みたいなとこはチェックしてみてもよさそうですなぁ。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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