筋トレ時間を激しく節約できる「ドロップセット」のメリットと欠点をガッツリ調べた最新メタ分析の話
「筋トレはしたいけど、時間がない!」という問題は、いつの時代も悩ましいもの。筋肉を増やすには、ある程度のセット数をこなしたほうがいいのは間違いないものの、セット間に1〜3分ほど休憩していると、トレーニング時間がすぐに長くなっちゃうんですよね。私の場合、休憩時間に本を読んでいるので、長時間トレーニングは「逆に読書が進んで良い!」って感じなんですけど、仕事や育児が忙しい人には、なかなか厳しいところでしょう。
では、もっと短い時間で、普通の筋トレと同じぐらいの成果を出す方法はないのか? ってことで参考になるのが、新しく出たドロップセットのメタ分析(R)であります。
ドロップセットってのは、「限界まで筋トレをしたら、すぐに重量を下げて、さらに限界まで続ける方法」みたいな感じです。たとえば、10kgのダンベルでアームカールをして、もう持ち上がらなくなったところで、すぐに7kgへ変更。そのまま再び限界まで続け、さらに5kgへ下げてもう一度……みたいな感じですね。で、重量を下げる際には、ほとんど休憩を入れなくてOKなんで、そのぶんだけ短い時間でも筋肉をかなり追い込めるのが特徴であります。
でもって、今回の研究は、過去に行われた12件の臨床試験をまとめたもの。対象者は合計274人で、大半は19〜36歳の筋トレ経験がある男性だったそうな。研究チームは、
- 一般的な筋トレ
- ドロップセット
の効果を比べ、筋肉量、筋力、筋持久力などにどのような違いが出るのかを調べてまして、その結果は、以下のようになっております。
- 一般的な筋トレとドロップセットの間に、筋肉の増え方に差はない。ついでに、筋力の伸びにも差はなく、筋持久力の改善にも明確な差はない
- ドロップセットのほうが主観的にキツいが、トレーニング時間は大きく短縮できる
ということで、ドロップセットは普通の筋トレより短時間で終わるにもかかわらず、筋肉量や筋力については同じぐらいの成果が出ていたんだそうな。
研究によって差はありますが、ドロップセットにかかった時間は、一般的なトレーニングの33〜50%ほどだったとのこと。ざっくり言えば、いつも60分かかっている筋トレを、20〜30分ぐらいまで縮められる可能性があるってことですね。これは、時間がない人にはかなりありがたい話っすね。
では、なぜ重量を下げながら行うドロップセットでも、普通の筋トレと同じぐらいの成果が出るんでしょうか? ここでのポイントは、強い疲労によって多くの筋線維が動員されるところであります。
ご存じのとおり、筋トレでは、最初からすべての筋線維が使われるわけではなし。軽い力で済むうちは少しだけ筋線維を使い、疲労が進むにつれてより多くの筋線維が追加されていくんですよ。
その点で、ドロップセットでは、最初の重量で限界まで筋肉を疲れさせたあと、軽い重量でさらに運動を続けるって形で進めていくじゃないですか。なので、その時点ではすでに多くの筋線維が疲れ切っているため、たとえ軽い重量を使っても、残された筋線維が総動員されるんですよ。その結果、扱う重量は下がっても、幅広い筋線維に刺激を与えられるんですな。
さらに、ドロップセットでは、筋肉内の酸素が減って、乳酸が増えやすくなるのも大事なポイントであります。このような「代謝ストレス」もまた、筋肥大をうながす要因のひとつですからね。
ということで話をまとめると、ドロップセットってのは、短時間のうちに筋肉へ強い疲労と代謝ストレスを与えることで、通常のトレーニングに近い刺激を作り出しているのだとお考えください。
というと、めっちゃドロップセットはよさそうなんですけど、この分析では、同時にこんな結論も出てたりします。
- ドロップセットのほうが、主観的なキツさが高い
- ドロップセットのほうが、運動後の血中乳酸濃度が高い
要するに、ドロップセットは、時間を節約できるぶん、一度のトレーニングで感じる苦痛と疲労がめっちゃ大きいってことですね。なかなか、うまい話はないもんです。
これは筋トレ初心者ほど大きい問題でして、まだ筋肉を限界まで追い込む感覚に慣れていない人がドロップセットを行うと、気分が悪くなったり、フォームが崩れたり、次回のトレーニングが嫌になったりする可能性がありますからねぇ。
また、トレーニング頻度が高い人も注意が必要でして、強い疲労が翌日以降まで残れば、次のトレーニングで重量や回数が落ちたりするでしょう。1回のトレーニング時間は短くなっても、週間の総パフォーマンスまで下がったら意味がないんですよ。
また、ドロップセットでは、セットごとに重量をすばやく変更する必要があるため、種目によっては実践しにくいって問題もあったりします。マシンならピンを差し替えるだけで重量を下げられますが、バーベルスクワットやベンチプレスでは、プレートを外す作業に時間がかかりますんで。
そのため、ドロップセットは、
- レッグエクステンション
- レッグカール
- チェストプレス
- ラットプルダウン
- ケーブルカール
- サイドレイズ
みたいに、重量を簡単に変更できる種目で使うのが無難でしょう。
ってことで、以上をふまえると、ドロップセットは通常の筋トレを置き換える方法ってわけじゃなくて、時間がない日に部分的に使うのがよいんでしょうな。たとえば、普段は一般的なセット法で筋トレを行いつつ、
- 時間がない日の最後の1種目だけドロップセットにする
- 各部位の最後のセットだけドロップセットにする
- 小さな筋肉を鍛える種目だけに使う
- 週に1〜2回だけ取り入れる
といった使い方をする感じっすね。もうちょい具体的に申し上げますと、
- 通常の重量で限界近くまで行う
- 重量を20〜30%ほど下げる
- ほとんど休まず、再び限界近くまで行う
- 必要なら、もう一度だけ重量を下げる
って感じでやればOKで、最初から何度も重量を下げる必要はありません。ドロップの回数を増やすほど疲労も大きくなるため、まずは1回だけ重量を落とす方法から試すのが無難でしょう。
ちなみに、この研究では、データごとに、重量を何%下げたか、何回ドロップしたか、どの種目を使ったかにも大きな違いがあり、最適な方法も確定しておりません。なので、現時点で言えるのは、
- ドロップセットは、普通の筋トレと同じぐらい筋肉と筋力を伸ばせる可能性が高い。ただし、短時間で済むぶん、かなりキツい
ぐらいでしょう。現時点で、時間が十分にあり、普通のセット法で問題なく継続できているなら、無理にドロップセットへ変える必要はなし。その一方で、「今日は30分しかないから筋トレをやめておこう」と考えるぐらいなら、ドロップセットで短く終わらせたほうがいいでしょうな。


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