疲労に強い脳を作る「ブレイン・エンデュランス・トレーニング」の効果をチェックしてみよう!
「メンタル疲労を防ぐ方法を探したぞ!」みたいな研究(R)がタメになったので、内容をチェックしておきましょう。
まず前提から説明しとくと、メンタル疲労ってのは、長時間にわたって集中したり、判断を繰り返したりした結果、頭がぼんやりして、やる気や注意力が落ちた状態のこと。睡眠不足や筋肉の疲労とは別物で、脳を使う作業を続けたあとに生じる一時的な疲労を指しております。
仕事や勉強で頭を使いすぎたあとに筋トレをすると、いつもより筋トレを辛く感じたり、持久力が落ちたりすることがあるじゃないですか。これは単なる気のせいではなくて、「メンタル疲労」が運動パフォーマンスを下げる現象は、過去の研究でも報告されております。
特に影響を受けやすいのが、
- 長時間のランニングやサイクリング
- 限界まで回数をこなす筋トレ
- 複雑な判断や技術が必要なスポーツ
などが典型例。頭が疲れていると、筋肉そのものが弱っていなくても、
- 運動がいつもよりキツく感じる
- 長時間の運動を続けにくくなる
- 筋トレの反復回数が減る
- 複雑な判断や技術の精度が落ちる
といった問題が起きやすくなるんですね。
なんとも困った問題ですが、となると頭が疲れてから対処するのではなく、「そもそもメンタル疲労が起きる前に予防できないのか?」って希望が出てくるわけです。そこでこの研究では、近年注目されている「ブレイン・エンデュランス・トレーニング」の効果を調べてくれたんですよ。
「ブレイン・エンデュランス・トレーニング」は、直訳すると「脳の持久力トレーニング」みたいな意味になります。基本的な考え方は、運動と認知課題を組み合わせることで、具体的には、
- 集中力や判断力を使う課題に取り組む
- 同じトレーニング内で運動も行う
- これを数週間にわたって繰り返す
というものです。簡単に言えば、あえて頭と体を同時に疲れさせる訓練を繰り返し、メンタル疲労がある状況でも動き続ける能力を鍛えるわけですな。
研究チームは、過去の研究から9つのデータをピックアップし、すべての参加者を、
- 運動と認知課題を組み合わせるグループ
- 通常の運動だけを行うグループ
に分類。数週間後の持久力や疲労下でのパフォーマンスを比較したら、どのような結果が得られるかをチェックしたんですよ。
その結果、なにがわかったかと言いますと、
- 9件中8件の研究で、ブレイン・エンデュランス・トレーニングを行ったグループのほうが、通常の運動だけをしたグループよりも持久力が大きく伸びていた!
って感じだったんだそうな。ここで使われた運動の種類はさまざまで、
- 自転車運動
- ランニング
- 自重トレーニング
- 筋力トレーニング
などが含まれていたらしい。たとえば、ブレイン・エンデュランス・トレーニングが最初に提案された研究では、参加者が自転車をこぎながら、60分間の認知課題を実行。これを12週間続けたところ、普通の持久力トレーニングだけを行った人よりも、限界まで自転車をこげる時間が大きく伸びたというんですな。これを見ると、やはり「ブレイン・エンデュランス・トレーニング」には効果があるんでしょうな。
まぁ、残念ながら、ここでピックアップされた研究は、「ブレイン・エンデュランス・トレーニングでメンタル疲労による成績低下を防げたのか」を厳密に調べる設計にはなっていないのが難しいところ。そのため、ブレイン・エンデュランス・トレーニングによって、運動成績は伸びるとは思うものの、本人が「頭が疲れなくなった」と感じるかどうかは謎だったりします。
そこは注意したいところですけども、とりあえず「ブレイン・エンデュランス・トレーニング」で運動の成績が上がるのは間違いないっぽいので、試してみる価値は十分にあるんじゃないでしょうか。
では、どのようなやり方が効果的なのか? ってことで、この研究チームが重視しているのが、運動と認知課題を同時に行う方法であります。ブレイン・エンデュランス・トレーニングには、大きく分けて、
- 認知課題を行ってから運動する
- 運動と認知課題を同時に行う
という2つのタイプがあるんだけど、認知課題と運動を別々に行った研究では、メンタル疲労への耐性が高まらないケースが多いんですよ。
一方で、運動中に認知課題を行うパターンでは、身体に負荷をかけることに加えて、注意力や判断力も使わねばならないですからね。この状態に繰り返し慣れることで、運動の負担と認知的な負担が同時にかかった場面でも、努力を維持しやすくなるのではないか、と考えられるわけです。たとえば、
- エアロバイクをこぎながら簡単な計算をする
- ステッパーを踏みながらストループ課題を行う
- ランニング中に音声で出される課題に答える
- 自重トレーニングの休憩を認知課題に置き換える
みたいな感じっすね。また、この方法を実践する際は、
- 安全性の高い運動を使う(エアロバイクみたいな)
- 最初は10〜20分程度から始める
- 認知課題は簡単なものにする
- 高重量や複雑な技術を必要とする運動では行わない
- 通常のトレーニングとは別枠で少量だけ取り入れる
ってあたりを押さえておくのが無難でしょうな。
さらに、ブレイン・エンデュランス・トレーニングが有効そうな人もチェックしておきましょう。この訓練でメリットを得やすそうな人ってのは、
- 仕事のあとにトレーニングすることが多い
- 長時間の競技に参加する
- 競技中に判断力と体力の両方を使う
- 疲労した終盤でも集中力が求められる
- メンタル疲労による成績低下を防ぎたい
みたいな人でしょうな。本番でも、体だけでなく頭まで疲れた状態でパフォーマンスを維持しなければならない場面が多いと思われますので。
そんなわけで、話をまとめますと、
- ブレイン・エンデュランス・トレーニングは、運動と認知課題を組み合わせる方法で、通常の運動よりも持久力が大きく改善するっぽい
- 認知課題と運動を別々に行うより、同時に行う方法のほうが有望
といったところになります。現時点では、「ブレイン・エンデュランス・トレーニングで脳疲労を克服!」と言える段階ではないものの、頭と体を同時に使うトレーニングを続けることで、疲れた状況でもパフォーマンスを保ちやすくなる可能性は高いんじゃないかと。自分でもやってみるかなー。


.jpg)
