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あらためて「マインドフルネス」の科学的なメリットをならべてみる

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先日「サルでもわかる『マインドフルネス』入門」を書いたら、「マインドフルネスはオカルトだと思ってました!」や「もっと宗教臭いもんだと思ってました!」といった感想をいくつかいただきまして、「そりゃそうだよなぁ」と思ったりしました。なにせ、わたし自身が最初はそう考えてましたので(笑)。


確かに、マインドフルネスの解説には「いまここ」や「気づき」や「かけがえのない瞬間」なんてワードが頻出するし、そもそもお釈迦さんが編み出した瞑想法がベースになってるんで、引き寄せの法則みたいなオカルトやスピリチュアルに近いイメージが強いんですよね。


というわけで、ここでは、マインドフルネスの現実的なメリットを片っ端からならべてみることにします。もちろん、いずれも完全に科学的に証明された話じゃないんですが、現時点では「瞑想にはこういった可能性もあるよー」ってぐらいの気持ちで参考にしていただければ。


非常に俗っぽい話なんで、仏教よりの瞑想家には「効能を求めた時点でマインドフルネスではない!」と言われそうですけど、やっぱりご利益がわからないと、やる気も起きないですからねぇ。



身体面のメリット 
  • 免疫力がアップする:2003年の論文(1)で、8週間のマインドフルネス瞑想により免疫力が上がった!ってデータが出ております。なぜか、瞑想をすると体内にインフルエンザの抗体が増えたりするんだそうな。不思議。
 
  • 白髪が減る:ヨーロッパでの研究ですが、マインドフルネス瞑想を行うと、なぜか白髪が減ったというんですね(2)。どうも、瞑想でストレスが減るせいで、こういった現象が起きるみたい。これはちょっと怪しいかな。
 
  • 見ためが若返るかも:瞑想を行うと、DHEAってホルモンが40〜90%もアップすることが知られております(3)。これは、すべてのホルモンのもとになる「マザーホルモン」で、年をとるとドンドン減っていって老化が進んじゃう。そこを防いでくれるんですね。
 
  • 寿命を伸ばすかも:長期にわたる瞑想研究(5)によると、瞑想は寿命にかかわるテロメア(染色体を保護してる)を回復したうえに、細胞のダメージも修復する効果があるとか。その結果、長寿につながるみたい。まぁ、これで実際に寿命が伸びるかは不明ですが。
 
  • 心臓病を予防する:2009年の実験(6)では、マインドフルネス瞑想でストレスが減ったおかげで、心臓病にかかるリスクが半分にも減ったそうな。
 
  • よく眠れるようになる:ユタ大学の研究(7)では、マインドフルネス瞑想に熟練した被験者ほど、睡眠の質がアップする傾向があったみたい。これも感情やストレスをコントロールする能力が上がるせいなんでしょうな。


頭脳面のメリット 
  • テストの点数が良くなる:2013年の研究(8)では、テストの前にマインドフルネス瞑想を行った学生ほど、成績が良かったそうな。瞑想のおかげでワーキングメモリの能力がアップしたのが原因らしい。
 
  • 脳の情報処理スピードが上がる:オレゴン大学の研究(9)によれば、2週間のマインドフルネス瞑想を行った被験者をMRIにかけたところ、脳神経の情報伝達スピードがアップしてたとか。
 
  • 集中力が上がるかも:1日に20分の瞑想を週に4回やれば、集中力が最大で50%もアップするってデータがあったり。注意力を持続させる能力も上がるんだそうな。
 
  • 脳の灰白質が増える:ある実験(10)では、1日30分の瞑想を8週間つづけたところ、脳の灰白質(神経細胞が集まるエリア)の厚みが増してたそうな。おもしろいですねー。


精神面のメリット
  • ストレスや不安が減る:これは山ほど実証例があって、最近の研究(11)でも、マインドフルネス瞑想で実際にストレスホルモンの量が減った!なんて効果が確認されたりしております。近ごろは、アメリカ海軍も、兵士のストレスを減らすために瞑想を採用してるとか。
 
  • 自己分析が上手くなる:2013年の研究(12)によれば、マインドフルネス瞑想で客観的な視点が鍛えられることで、思い込みに左右されずに、本当の自分の能力や感情に気づけるようになるとか。
 
  • メンタルがタフになる:こちらは2010年の論文(13)で、8週間の瞑想トレーニングにより扁桃体(感情をつかさどるエリア)の感受性が変化。困難が起きてもめげにくくなったみたい。
 
  • 性格が良くなる:ハーバード大の研究(14)によれば、やはり8週間の瞑想トレーニングを行うことで、被験者の多くが他人に親切な行動を取るようになったそうな。これも、脳の扁桃体が変わることで、他人への共感能力が上がるのが原因らしい。
 
 
  • 音楽がより楽しめるようになる:上述のとおり、マインドフルネス瞑想は集中力を上げてくれるので、より音楽にのめりこめるようになるんだとか(13)。研究者いわく、「瞑想には生活の質を上げる効果もああるよ!」とのこと。


まとめ

そんなわけで、あらためてマインドフルネスのメリットをずらずらと挙げてみました。わたしの場合は、瞑想を始めて2年ぐらいたちましたが、ひとまず頭のなかでネガティブな記憶や思考が止まらなくなる状態に関しては、だいぶ良くなった実感があります。


といっても、いずれも本当にジワジワとした改善なんで、「数週間で人生が劇的に変わる!」みたいなのを期待すると肩すかしで終わっちゃうはず。また、上記のデータはあくまで一例でして、今後の研究次第では否定される可能性も少なくないことはございます。そのへんはご容赦ください。


いずれにせよ、瞑想でパニック障害を克服したダン・ハリスさんのように、あくまで「10%だけ人生がラクになればいいや」ぐらいの気構えで実践するのがよさげです。


credit: AlicePopkorn via FindCC


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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