「ムダな時間」の科学的に正しい過ごし方
ここんとこ、心理学の世界でちょっとブームなのが「ムダな時間」の使い方に関する研究であります。
たとえば、ちょっと前にメルボルン大学が出した「仕事の合間にガンガンネットを見なさい!」って論文(1)。なんでも、仕事の合間にちょこちょことYouTubeでかわいい猫の動画でも見たほうが、生産性が9%もアップするんだとか。
つい最近も、カリフォルニア大から「注意が散漫なほうがクリエイティビティは上がる」って論文(2)を出してまして、これがなかなか面白い。まず被験者たちを3つのグループにわけて、以下のパターンで時間をつぶしてもらったんですね。
- 注意力を使う作業をする(電話番号をおぼえて書き写したりとか)
- 注意力を使わない単純な作業をする(ひたすら封筒をのり付けしたりとか)
- 何もせずにただボーッとする
12分後、被験者たちにクリエイティブテスト(「レンガの別の使い方を考えてください」みたいなやつ)を受けたもらったところ、2番の単純作業グループがもっとも良い成績を残したんだそうな。
研究者いわく、
この実験で驚くべきは、単純作業を行ったグループのほうが、何もしなかったグループより成績が良かったところだ。その理由はハッキリとしていないが、おそらく単純作業をするほうが、ダラダラとした長い思考を続けずに済むからだろう。
とのこと。単純な作業をはさむことで注意が分断されて、型どおりの考え方におちいるのを防ぐんだ、と。
この現象については、カーネギーメロン大も面白い実験をしていて、意思決定をする際の脳の活動をfMRIで調べたんですな(3)。すると、人の脳は単純作業をしている間も、無意識に情報を処理する能力が動いていることがわかったんだとか。ざっくり言えば、企画書を作る作業をしたあとに、息抜きでYouTubeのネコ動画を見ている間も、脳は勝手に企画書の続きを考えてくれてるって感じですね。
で、ここで気になるのは、「じゃあ、どんな息抜きがベストなの?」ってとこですが、研究者の意見はわりと明快であります。
無意識に脳に処理してもらいたい作業から、できるだけかけ離れた内容の息抜きを選ぶのがよい。数学の問題を解きたければ、テニスのようにまったく違う息抜きをすべき。パズルなんかを選んではいけない。
とのこと。とにかく、解決したい問題から内容が離れれば離れるほど、脳が勝手に働いてくれるようになるみたいっすね。これを基準に、今後も積極的にムダな時間を過ごしていきたいところです。
credit: maritahodges74 via FindCC