年に4冊以上の自己啓発書を読む人は、普通の読書好きより「ストレス」に弱くて「うつ傾向」が高いんですってよ
「自己啓発書が好きな人はストレスに弱くてうつ傾向!」って論文(1)が面白かったんでメモ。
自己啓発書ファンは「成長志向型」と「問題解決型」にわけられる
これはモントリオール大学の実験で、18名の自己啓発書ファン(年に4冊以上を読む人)を対象にしたもの。まずは参加者の好みに合わせて、全員を以下の2グループにわけたんですね。
- 成長志向型:人格やスキルの成長にフォーカスした本を好むタイプ。「積極的考え方の力 」や「道は開ける」みたいなやつ。
- 問題解決型:特定の問題解決にフォーカスした本を好むタイプ。「結局、自分のことしか考えない人たち 」みたいなやつ。
ちなみにここで言う自己啓発書の定義は、「人生を変えたり、幸福を得たり、真実の愛を見つけたり、体重を減らしたりなど、さまざまな問題へのアドバイスを与える本」だそうな。この定義だと、ライフハック系や意識高い系も当てはまりそうっすね。もちろん自分もふくめて。
自己啓発書のファンが他の読書好きと違うのは「ストレスへの弱さ」と「うつ傾向の高さ」
で、すべての参加者のストレスレベルやパーソナリティ、うつ傾向を計るテストを行ったところ、
- 成長志向型はストレスに弱く、ちょっとしたトラブルでもコルチゾール(ストレスホルモン)が増えやすい
- 問題解決型はうつ傾向があり、「うつ病自己評価尺度」(臨床でも使われる「うつ度」テスト)で平均より高い得点を取りやすい。
といった結果が出たそうな。研究者いわく、
この実験を行う前までは、自己啓発書を好むかどうかは、その人の性格や自尊心、自己コントロール感などの違いによって決まるのだと考えていた。しかし、自己啓発書のファンとそれ以外の読者層では、性格や自尊心のレベルに大きな差はなかった。
今回の実験によれば、自己啓発書のファンが他と違うのは「ストレスへの弱さ」や「うつ傾向の高さ」だ。自己啓発書好きは、ストレス下でコルチゾールの分泌量が増えやすく、うつ症状が起きやすい傾向があった。
とのこと。わたしも問題解決型の本を好むタイプですし、うつ病傾向についても自覚がありますんで、この結果にはちょっと納得であります。
さらに研究者いわく、
もちろんさらなる研究は必要だが、今回の結果は「自己啓発書には効果がない」ことを示しているように思える。また、たいていの自己啓発書ファンが年に数冊もの本を買うという事実を見ても、その効果に疑問がわくのは当然だろう。
論理的に考えれば、本当に自己啓発書に効果があるなら、1冊を読むだけでも問題を解決するには十分だからだ。
うーん、ド正論。個人的にも「認知行動療法実践ガイド」みたいな専門書が一冊あれば大抵の問題は解決するんじゃなかろうか?とか思うわけですが、それでもいろいろ読んじゃうんだよなぁ…。
そんなわけで、意識高い系や自己啓発系の業界が嫌いな方におかれましては、「『人生が変わった!』とか言ってても、その裏ではストレスと不安でいっぱいなんだな…」と優しい目で見ていただければと思います(笑)