「パレオダイエットは高齢女性のアンチエイジングにもいいよー」という長期実験
高齢の女性が2年のパレオダイエットを実践
女性がパレオダイエットを2年続けたらどうなる?って論文(1)が出てたんでメモ。パレオダイエットの長期研究はまだまだ少ないんで、貴重なデータになってるかと思います。
これはスウェーデンの大学が行った実験で、閉経後の女性70名を対象にしたもの。みんなBMIが30以上の肥満体型だけど、特に血糖値には問題がない人を選んだみたい。
ゆるめのパレオダイエットと低脂肪食を比べた
で、実験では参加者を2つのグループに分けたんですね。
- パレオダイエット:タンパク質30%、炭水化物30%、脂肪40%
- 低脂肪食:タンパク質15%、炭水化物55%、脂肪30%
パレオダイエットのガイドラインは「パレオダイエットの教科書」とほぼ同じで、
- 魚、肉、脂肪の少ない肉、野菜、フルーツ(とくにベリー類)、ナッツを食べる
- アボカドやオリーブオイルのような健康的な油を使う
- 乳製品、精製油、添付塩、砂糖は避ける
みたいな感じ。ゆるめのパレオダイエットに地中海式ダイエットのいいとこを合わせたようなイメージと言いますか。
いっぽうで低脂肪食グループは三大栄養素のバランス以外に縛りはなし。両グループとも特にカロリー調整は行っておりません。
体重の減り方はどちらも同じだったが…
これで24カ月後にどんな変化が出たかというと、
- 両グループとも体重や体脂肪の減り方は同じぐらいだった(体重はパレオダイエットが11%、低脂肪食は8%の減少)
ってことで、このへんは「どんなダイエットも1年続ければ結果は同じ!」っていう過去のデータと同じ結論ですね。
体内の脂肪酸バランスが大きく改善
ただし体内のバイオマーカーには大きな差が出まして、
- パレオダイエットは、
- デルタ9デサチュラーゼの活性が減少!
- 体内のオメガ3とオメガ6のバランスも改善!
- インスリン抵抗性のリスクも大幅に減少!
って結果だったんですね。いずれも体内の炎症などに関わる指標で、やっぱアンチエイジングによさげだなーという感じがいたします。
アンチエイジングには脂肪が超大事
研究者いわく、
パレオ式と低脂肪食は、どちらも体重を減らす効果は変わらない。しかしパレオ式の食事には、特定の脂肪酸を減らし、インスリン抵抗性に関わるデサチュラーゼ酵素の活性を減らす働きがあった。
多価不飽和脂肪酸の摂取量が多いパレオ式の食事法は、糖尿病や心疾患といったメタボによる慢性疾患に長期的なメリットをもたらすかもしれない。
とのこと。参加者の食事記録をみてると、
- 一価不飽和脂肪酸の摂取量が47%増えた
- 多価不飽和脂肪酸の摂取量が71%増えた
って違いが出てまして、どうもパレオ食の健康効果ってのは、健康な脂肪の増加によるところが大きいみたい。当然といえば当然ですが。
高齢者ほど脂肪バランスに気を使いたい
さらに研究者いわく、
閉経後の女性はエストロゲンのレベルが下がり、インスリン抵抗性も悪化しがちになる。これが体重と腹部脂肪の増加をもたらす。
そのせいで全身に慢性的な炎症が起こり、さらなるインスリン抵抗性の悪化と心疾患リスクの増加につながっていくのだ。
とのこと。高齢の女性はホルモンバランスのせいで体を壊しがちなので、さらに脂肪の摂取に気を使ったほうがいいんだ、と。もっとも、このへんは男性も同じかもしれませんが。
ってことで、あらためて「脂肪は大事だなー」と思ったことでありました。特に私ぐらいの年齢のご同輩は、くれぐれもご注意ください。