今週の小ネタ:クレアチンは「飲んだその日」から筋トレに効くのか問題、魚を食べる人ほどメンタルが安定しやすいのか問題、筋トレ後の冷水浴は、本当に「回復に効く」のか問題

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
クレアチンは「飲んだその日」から筋トレに効くのか問題
クレアチンといえば、このブログではかなり定番の筋トレサプリ。筋力アップに効いたり、トレーニングのパフォーマンスが上がったりと、いろんなメリットが確認されてるもんで、私も当然のように毎日摂取しております。
そこで新しい研究(R)では、「クレアチンの効果って飲んだ当日から得られるの?」って問題を調べてくれてて面白かったです。「クレアチンは、飲んですぐに筋トレのパフォーマンスを上げるのか?」みたいな問題っすね。
実験の対象は若い男性10人で、過去にクレアチンは使ったことがない人を選んだとのこと。全体の流れをざっくりまとめると、
- まず初日に、参加者に体重1kgあたり0.3gのクレアチン、またはプラセボを摂取してもらう(体重60kgなら18gぐらいになるので、だいぶ多め)。
- それから2時間後に、ベンチプレスとバックスクワットをそれぞれ3セットずつ行う(負荷は1RMの60%、70%、80%)。
- その後、参加者はクレアチンかプラセボを2日間続けて摂取し、3日目に同じテストをもう一度実施。さらに7日間のウォッシュアウト期間を挟んで、条件を入れ替える。
って感じのクロスオーバー試験になってます。要するに、クレアチンを「1回飲んだだけでどうなるか?」と「3日間飲んだらどうなるか?」の両方を見たわけですね。
その結果はなかなか興味深くて、クレアチンを摂った場合、プラセボに比べて、
- ベンチプレスの総レップ数が増えた
- バックスクワットの総レップ数が増えた
- 1日目にも3日目にも効果が見られた
- テスト間の回復もよさそうだった
という結果だったんだそうな。これを見ると、クレアチンは「数週間飲み続けないと何も起きない」ってわけではなくて、短期間でも筋トレの出力を底上げする可能性があるみたいっすね。
これはなかなか良い話で、それというのも、筋トレの成果って結局は「良いフォームで、どれだけ質の高い反復を積めるか」に左右されるじゃないですか。そこで、クレアチンを飲めば、いつもなら8回で限界のところが9回できたり、セット後半でもうちょい粘れるようになるわけですから、こういう小さな差が長期的には大きいんじゃないかと。
もちろん、今回の研究には注意点もありまして、参加者が10人しかいないし、クレアチンの摂取量は体重1kgあたり0.3gなので、一般的な「毎日3〜5g」の維持量よりかなり多めである点は頭に置いといてください。短期的な効果を見るための設定としては意味がありますが、日常的に同じような量を続ける必要があるかは別問題なんで。
個人的には、私たちがクレアチンを使う際には、1日3〜5gを毎日飲めば十分でしょう。早く筋肉内のクレアチンを満たしたいなら、短期間だけローディングする方法もありますけど、胃腸が弱い人はお腹がゆるくなることもあるので、無理にやる必要はないでしょうな。それぐらいでも、クレアチンのパフォーマンス改善メリットは得られると思いますんで。
魚を食べる人ほどメンタルが安定しやすいのか問題
「魚はメンタルにいい!」なんてことをよく言うわけです。魚にふくまれる脂肪が脳機能を上げて、これがメンタルの改善につながるよーみたいな話で、健康クラスタなら一度は聞いたことがあるでしょう。
そこで新たに出たメタ分析(R)では、魚の摂取量とうつリスクの関係をガッツリ調べてくれてて参考になりました。ここで対象になったのは44件の観察研究で、合計36万4187人のデータをまとめた、かなり大規模な試験になっております。だいたいの研究では、魚の摂取量をアンケートでチェックし、これをうつ病の有無と比較してる感じですね。
で、その結果がどうだったかと言うと、
- 魚を多く食べる人は、うつリスクが21%低く、周産期うつのリスクも22%低かった!
- 1日あたり魚を15g多く食べるごとに、うつリスクが6%低い傾向があった!
って感じだったそうです。これまでの評判通り、やはり魚はメンタルに効く可能性が高いわけっすねぇ。あと個人的に素晴らしいと思ったのは「1日15gを食べるごと」ってところで、これぐらいの量でいいなら、焼き魚を毎日一切れ食べなくても、「週に何回か魚を足す」ぐらいで長期的なメンタルに差が出るかもしれないわけですからね。こいつは素晴らしいんじゃないでしょうか。
魚がメンタルに良い理由は、当たり前ながらオメガ3脂肪酸のおかげだと考えられてまして、特にDHAやEPAは脳の細胞膜や神経伝達に関わるんですよ。こいつはセロトニンやドーパミンといった物質の働きにも影響するんで、そりゃあメンタルにも関わるだろうと考えられるんですよね。
ついでに、魚には、ビタミンD、ビタミンB6、ビタミンB12、セレンなども入ってまして、いずれも脳の神経伝達物質の生成に関ってたりするんですな。なので、魚ってのはメンタルに関係しそうな栄養素が詰め込まれてる感じなんすよね。
まぁ、このメタ分析は、あくまで観察研究がベースなので、「魚をよく食べる人は、そもそも健康意識が高いのでは?」って可能性も否定できないんですけど、とりあえず週2〜3回ぐらい魚を食べてみるのは、メンタル改善の一歩としてとっつきやすくていいんじゃないでしょうか。特にサバ、イワシ、鮭、サンマ、アジあたりがオススメですかねー。
筋トレ後の冷水浴は、本当に「回復に効く」のか問題
「筋トレ後に冷水に浸かったらどうなるか?」を調べたメタ分析(R)が出ておりました。ネットでもアスリートが氷風呂に入っている映像なんかがよく流れてまして、「やっぱ冷水浴はいいんだなぁ」って気がしてくるわけです。
では、「その効果はどんなもんか?」というわけで、この研究では「運動後の冷水浴は、筋肉ダメージや筋肉痛の回復に効くのか?」ってとこをガッツリ調べてくれております。この研究は、過去に行われた30件のランダム化比較試験をまとめて分析したもので、参加者は男性498人、女性32人で、18件はアスリート、12件は一般人を対象にしていたとのこと。対象が幅広くていいですね。
で、実験の流れは単純で、参加者に高強度インターバルトレーニングや筋トレをしてもらい、その後で、
- 下半身だけ冷水に入る
- 腰より上まで冷水に入る、いわゆる全身に近い冷水浴をする
- 冷水には入らない
といった条件に分けて、最大72時間後までの回復具合を調べたんだそうな。冷水浴の時間はだいたい10〜15分ぐらいっすね。
で、結果をざっくりまとめると、冷水浴はいくつかの指標では効果があったらしい。
- クレアチンキナーゼという筋肉ダメージのマーカーは低下していた。クレアチンキナーゼは、筋肉がダメージを受けたときに血中で増えやすい物質なので、「冷水浴によって筋肉ダメージっぽい反応が少し抑えられたかもね」と解釈できる。
- 筋肉痛についても、運動直後と24時間後には軽くなる傾向が見られた。
これは冷水浴が好きな人にはうれしい結果で、たしかにハードな運動の後に冷水へ入ると、炎症感や熱っぽさがスッと引く感覚がありますからね。この実感とも合致した結論じゃないでしょうか。
ただし、この研究では冷水浴にとって良くない結果も出てまして、
- 冷水浴は運動直後のカウンタームーブメントジャンプの高さを悪化させることもわかった。
って感じだったんだそうな。カウンタームーブメントジャンプは下半身のパワーを見るテストで、ざっくり言えば「瞬発力がどれぐらい出るか」を測るものっすね。なので、冷水浴をすると筋肉痛はちょっと軽くなるかもしれないけど、直後のパワー発揮は落ちるかもしれないんだ、と。
これはなかなか大事なポイントで、たとえば、
- トレーニング後にまだスキルの練習が残っている
- 翌日に爆発的なパフォーマンスが必要
- 筋肥大や適応を最大化したい
みたいな人にとっては、「とりあえず冷水浴!」が必ずしも正解とは限らないってことになりますからねぇ。冷水浴は、体の炎症反応や筋肉の熱を抑えてくれる一方で、筋肉の適応シグナルまで弱める可能性があるってことなんでしょう。こりゃ悩ましいっすね。
なので、冷水浴が向いていそうな場面は、トレーニングの後で筋肉痛を早めに軽くしたいときとか、翌日のコンディションを少しでも整えたいとき……ってことになるんでしょうな。要するに、「今ある疲労感をとにかく下げたい!」って場面だと、冷水浴は有効なのかもっすね。

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