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今週の小ネタ:「SNSとゲームがメンタルを壊す!」は本当か?1日10分の「庭いじり」で心と体が整う?ポルノを観る理由で「性の健康」が決まる?


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

 

「SNSとゲームがメンタルを壊す!」は本当か?

「スマホは子どもの心を壊す」「SNSがうつの原因だ」「ゲーム漬けは脳に悪い」みたいな指摘は昔からありまして、特に「スマホは10代のメンタルヘルスによくない」みたいな話は死ぬほど耳にするところです。

 

では、この説はどこまで正しいのかってことで、新しい大規模研究(R)がそのへんをガッツリ調べてくれておりました。これはイギリス・マンチェスターの10代25,000人超を対象にした研究で、同じ子どもたちを3年間追跡して、「SNSたくさん使ってる子」と「そうでない子」のメンタルを比較し、さらには「ある子どもが去年よりSNSにハマった時、その子のメンタルは悪化したのか?」という“本人内の変化”もチェックしております。なかなか信頼度の高い研究でいいですな。

 

その結論がどうだったかと言いますと、

 

  • SNSやゲームに使う時間が増えても、その後のメンタルヘルスにはほとんど影響がなかった。ここでいう「メンタルの悪化」とは、いわゆる「内在化症状」のことで、不安、抑うつ気分、自己否定など、自分の内側に向かうネガティブ感情を指す。

 

  • 「SNSやゲームに使う時間が増えた年」と「その翌年のメンタル状態」を分析しても、SNSとゲームに使う時間の増加がメンタルの悪化につながる傾向は見られなかった。

 

  • SNSやゲームの使い方を「アクティブな使い方(投稿、会話)」と「パッシブな使い方(ただのスクロール)」などに分けて分析してみても、SNSとゲームでメンタルが悪化する傾向が確認されなかった。つまり、「SNSの使い方が悪いからメンタルが落ちる」ってわけでもなさそう。

 

ってことで、基本的にはSNSやゲームでメンタルが悪化することはないんじゃないかって結論っすね。ホント、SNSやゲームは評価がころころ変わりますねぇ。

 

まぁ、実際のところはもうちょい調査が進まないとわからんとこがありますが、この研究だけを見る限りでは「スマホが原因で子どもが病んでる!」みたいな話には、「相関と因果の混同」が関わってる可能性もありましょう。たとえば、ある子がSNSをたくさん使っていて、同時にメンタルが不調だったとしたときに、「この子はSNSのせいで心が病んだのだ!」ってことではなく、「心がしんどい子どもがSNSに逃げ込んでいただけかも!」みたいな話ですな。

 

もちろん、ネットいじめや睡眠不足、有害コンテンツへの接触など、短期的に悪影響を与える要素は確かに存在するんだけど、とりあえず「SNSの使い方が悪いからメンタルが落ちる」みたいに単純なことは言えなそうっすね。個人的にも、デジタル機器が悪いというより、背景にあるストレスや環境のほうが重要な気がしております。

 

 

 

1日10分の「庭いじり」で心と体が整う?

毎日ガーデニングしてる人は健康だ!」って調査(R)が出ておりました。この研究は、シンガポールで暮らす386名に調査を行ったもので、くわしくは以下のポイントをチェックしております。

 

  • ガーデニングをしているかどうか
  • どれくらいの頻度でやっているか
  • なぜガーデニングをしているか(または、していないか)
  • 心身の健康状態(歩行や荷物運びができるか、不安感の有無など)

 

そのうえで、参加者を「毎日ガーデニングする人」と「それ以外(たまにやるか、まったくやらない)」の2グループに分けて比較したところ、結果はこんな感じになりました。

 

  • 毎日ガーデニングしている人は、健康面の問題(不安や身体機能の制限)が出る確率が43%も低かった

 

どうやら、ガーデニングをする人は、年齢や性別、収入、慢性疾患などにかかわらず、体も心も健康だったみたいなんですな。これは、「たまたま健康な人がガーデニングしてた」という話ではなさそう。

 

では、なんでガーデニングにここまでの効果があるのかってことで、研究チームは以下の推測をしておられます。

 

  • 適度な身体活動になる:ガーデニングは、掘る・植える・水やり・剪定など、全身を使った中強度の運動で、有酸素運動 + 筋トレ + ストレッチの効果をまんべんなく得られる。

 

  • 太陽光に当たることでリズムが整う:外に出るので、自然と日光を浴びることになり、おかげで体内時計が整い、睡眠の質やメンタルが改善する。

 

  • 自然とのふれあいがストレスを減らす:緑を見たり、土に触れたりすることで副交感神経が優位になり、不安やうつ症状が緩和される。

 

  • 「育てる」ことが心に効く:植物を育てることによる達成感・自己効力感・没頭(フロー)が、心の回復力を高めてくれるのかもしれない。

 

いずれも納得の理由でして、ガーデニングは「体を動かす+自然と触れる+達成感がある」みたいなあたりが、心と体の改善に役立ってるかもしれないんですな。そう考えると、心身の調子を整えるために、ベランダ菜園や室内プランター、スマート水耕栽培なんかに手を出してみるのもいいかもしれませんな。

 

 

 

ポルノを観る理由で「性の健康」が決まる?

「エロ動画は『どのくらい見てるか?』よりも『なぜ見てるのか?』のほうが、ずっと重要だ!」って話(R)が出ておりました。こちらは18〜64歳の男女890人(平均34歳)を対象にした調査で、オンラインで匿名アンケートを実施し、以下のような点をチェックしたんだそうな。

 

  • どのくらいの頻度でポルノを見るか?

  • なぜポルノを見ているのか?

  • ポルノの使用に問題が出ているか?(依存や苦痛の有無)

  • 性の機能やパートナーとの関係に変化があるか?

 

さらに、ここでは「ポルノ視聴の動機」を大きく2つに分類しております。

 

  • ポジティブな動機
    • 単純に楽しみたい
    • 性的な好奇心を満たしたい
    • ファンタジーを探求したい
  • ネガティブな動機
    • ストレスを紛らわしたい
    • 感情的なつらさを逃れたい
    • 退屈をまぎらわせたい

 

このうち、どちらのモチベーションでポルノを見ているかで、セクシャルヘルスへの影響が変わってくるんじゃないかと、研究チームは考えたわけですな。

 

で、上記を分析してみたところ、結果はこんな感じになりました。

 

  • ポジティブな動機でポルノを見ている人たちは、視聴頻度が高くても、ほとんど問題がなかった。むしろ、性的な自己調整がうまくいっていたり(=パートナーとの性生活も良好)、性的な欲求を健全に扱っていたり、性的ファンタジーの探求にも前向きだったりといったポジティブな傾向が見られた。つまり、ポルノを「楽しみたいから見ている」場合は、性の健康に悪影響を及ぼすどころか、逆に性機能の柔軟性が高まるっぽい。

 

  • 一方で、ネガティブな動機(「嫌な感情を消したい」「孤独を埋めたい」など)でポルノを視聴している人たちは、ポルノ使用が制御できず依存傾向があったり、使用後に自己嫌悪や苦痛を感じたり、実際の性生活で感情的な切断が起きたりといった問題が起きていた。

 

ってことで、ポジティブな動機ならエロ動画は良い影響をもたらすし、ネガティブな動機ならエロ動画は悪い影響が出るという傾向が見られたわけですな。「ポルノの使用頻度が多い」ってだけで問題が起きるわけじゃなくて、「自分を癒すための逃避」でポルノを使う場合に限って、心理的・性的な問題が起きやすいってことですね。これは、あらゆる事象に当てはまりそうな話じゃないでしょうか。

 

というわけで、これからエロ動画を見る時は「自分の動機」を振り返ってみるといいかもしれませんね。「これは単なる楽しみか?それとも何かイヤな気分をまぎらわせたいからか?」みたいな感じっすね。そのうえで、エロ動画を見たあとにスッキリして前向きな気分になるんならOKだし、自己嫌悪や空虚感が残るならNGって感じでしょう。感情のケアとしてのポルノ視聴が“完全にダメ”というわけじゃないんだけど、そればかりに頼ってしまうのは要注意ってことですね。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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