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結局、eスポーツにもカフェインが最強なのか問題


「eスポーツ選手のパフォーマンスって、サプリで上げられるの?」という、面白いテーマを調べた研究(R)が出ておりました。eスポーツといえば、筋力や持久力もある程度は重要なものの、それ以上に反応速度、情報処理スピード、ワーキングメモリ、メンタルの安定性などが勝敗を分ける世界。なので、従来の「スポーツに効くサプリ」とは、違う成分が必要なのだろうと考えられるわけですね。

 

では、この研究がどんなことを調べたのか? まず前提として、eスポーツは見た目以上に疲労感が強いことが知られてまして、過去の調査によれば、

 

  • 長時間の集中による精神的疲労

  • 反応速度の低下

  • 目の不快感

  • 燃え尽き症候群

  • コルチゾール(ストレスホルモン)の上昇

 

といった問題が指摘されてたりします。eスポーツとまではいかずとも、皆さまも長時間ゲームやデスクワークを続けたあとは「脳が焼き切れた感じ」になった経験があるはず。このような“神経疲労”をどう抑えるかが、eスポーツでは超重要になるわけですな。

 

そこで研究チームは、まいどおなじみの「PRISMAガイドライン(システマティックレビューの報告基準)」に従って系統的レビューを行いまして、eスポーツに関する研究2,180件から最終的に13の研究をピックアップして、すべてのデータを分析して大きな結論を出しております。参加者は合計466人で、そのうち85%が男性。エリートレベルの選手を対象にした研究は3件で、残りはアマチュア中心だったそうな。なので、かなり参考になるデータだとは思いつつも、系統的レビューとしてはまだ規模が小さい感じっすね。

 

では、分析の内容を見てみましょう。まず大事なポイントとして、ここで検討されたサプリは18種類なんですが、そのうち14種類がカフェイン単独またはカフェイン入り製品の効果を検討しております。まあ、カフェインの集中力アップ効果はすでによく知られた話ですから、そりゃあそうなりますよね。

 

ここでは複数の研究を分析したうえで、カフェインの効果を以下のようにリストアップしております。

 

  • 反応時間の短縮
  • 命中率の向上
  • キル確率の増加
  • スコア向上
  • 覚醒度アップ
  • 疲労感の軽減
  • ワーキングメモリの改善

 

ってことで、いかにもeスポーツに効きそうなメリットが並んでおりました。まあカフェインの効果が高いのは当然で、カフェインはアデノシン受容体をブロックして眠気を抑制し、ドーパミンやノルアドレナリン活性を高める働きがあるんですよ。そのおかげで、脳のアクセルを踏む作用がめっちゃ高いんですな。

 

ただし、カフェインには副作用の報告もありまして、

 

  • 不安感
  • 動悸
  • 血圧上昇
  • コルチゾール増加
  • 頭痛、めまい

 

といったあたりは注意したいところです。一方で、カフェインによる激しいデメリットは報告されていないので、「使いすぎるとメンタルが不安定になるかもだから注意しとこう!」ぐらいのスタンスで構わないと思いますが。

 

続いて、カフェイン以外のサプリも見ときましょう。まだまだ研究数は少なめですが、いくつか面白い成分も話題に上がっておりました。

 

  • イノシトール強化アルギニンケイ酸塩:ゲーム内エラー率の低下と活力スコアの向上が見られた。
  • GABA(ギャバ):疲労感の抑制とスコア向上が見られた(日本の研究)。

  • ガラナ:ごく一部ながらポジティブな報告が上がっている。

 

ここらへんは、いずれも研究数が少なくて再現性はまだ不明ながらも、それなりに見込みがあるのかもしれません。

 

ということで、つまり現段階では、「とりあえずカフェインを適切に使う。あとはお守りとしてイノシトールを使う?」ぐらいになりましょう。私自身、原稿を書く時にカフェインを使うことがありますが、あんま使ってると耐性がついちゃうし、睡眠の質を削ることもあるんで常用はしておりません。eスポーツでもそこらへんの心得は同じでしょうね。

 

もしカフェインを実践に使うなら、

 

  • 常用しない
  • 大会や重要試合の前のみ
  • 体重1kgあたり2〜3mg程度から試す
  • 不安が強い人は避ける

 

といったあたりを心がけておくのが大事でありましょう。ちなみに、睡眠や食事といった生活の基礎が崩れている状態でカフェインを飲んでしまうと、脳機能のブーストどころか副作用のほうが強く出がちなので、ここも注意しておきたいところです。

 

最後にまとめておくと、今回の系統的レビューから言えるのは、だいたいこんな感じです。

 

  • カフェインは、eスポーツに対して一定の効果が示唆されている
  • 他の成分はまだ研究不足で、あんまり飲む必要はない
  • 重篤な副作用は報告されていない
  • ただしサンプルサイズが小さく、バイアスも多い

 

もうちょい時間がたてば「eスポーツ特化型サプリ」も登場するのかもしれませんが、現時点では「カフェインは使い方次第でアリ!ただし万能ではない!」という、わりと地味な結論に落ち着く感じっすねー。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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