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超加工食品は、カロリーとは無関係に健康を悪化させるのか?問題

 
 

ここ数年、「超加工食品(UPF:ultraprocessed foods)」という言葉を聞く機会が増えまして、このブログでも頻繁に取り上げております。超加工食品ってのは、いわゆるコンビニ飯やスナック菓子、冷凍食品などのことで、「原材料にどんな素材が使われているのか、さっぱりわからない食品全般」を意味しております。健康オタクの世界では、めっぽう評判が悪い存在で、「超加工食品は太る!」「超加工食品で寿命が縮む!」などと言われてるんですな。

 

では、なぜ超加工食品は体に悪いと言えるのかってことで、そこら辺を具体的に掘り下げた最近の研究(R)を見てみましょう。

 

この研究は、43名の男性を対象に行われたクロスオーバー試験。 クロスオーバー試験ってのは、同じ参加者が両方の食事パターンを体験する実験デザインのことで、個人差の影響を排除しやすいのが良いところであります。

 

研究チームは、参加者に以下の2つの食事を、それぞれ3週間ずつ指示しております。

 

  • 超加工食品:総カロリーの77%を超加工食品にする

  • 非超加工食品:超加工食品を1%未満にする

 

さらに、それぞれを「体重維持カロリー」と「+500kcal(カロリー超過)」の条件で行いまして、食事はすべて自宅に配送したとのこと。摂取カロリーは体重・年齢・活動量から計算して設定したそうで、 なかなか手間のかかった研究ですなぁ。

 

では、結果を見てみましょうー。超加工食品を食べた時期と、超加工食品を減らした時期を比べると、参加者にはこんな違いが確認されました。

 

  • 体重・体脂肪:超加工食品を食べた時期は、体重が1.3〜1.4kg増えた。また、体脂肪は約1kg増加した。一方、超加工食品を食べた時期には、体重の増加は見られなかった。

  • 心血管系マーカー:カロリーを適度に制限しつつ超加工食品を食べた場合、総コレステロールは+21mg/dL、LDL/HDL比は+0.39ずつ増加した。カロリー超過の状態で超加工食品を食べた場合、拡張期血圧が+4.8mmHg上がった。

 

ということで「やっぱり超加工食品は危険じゃないか!」と叫びたくなる結果ですが、それだけだと面白くないので、もうちょい内容を掘ってみましょう。

 

まず前提として、「なぜ超加工食品は良くないのか?」って疑問について、これまでの主流の仮説はシンプルなものでした。簡単にまとめると、

 

  1. 超加工食品は食べ過ぎにつながりやすく、その結果としてカロリーを多く摂りすぎてしまう
  2. カロリーの摂りすぎで体重が増えてしまう
  3. 体重が増えたせいで健康が悪化してしまう

 

みたいになります。超加工食品が体に悪いのは、基本的にカロリーオーバーのせいだと考えられてきたわけですね。実際、過去の試験では、超加工食品を自由摂取した人たちは、1日あたり数百kcalレベルで摂取量が増えたなんて報告もありますからね。

 

では今回の研究のように、カロリーをコントロールしても悪影響は出るのか? を見た時の結果がどうだったかと言いますと、一見すると「同じカロリーなのに超加工食品で太った」ように見えるんだけど、よく内容をチェックしてみると、

 

  • 超加工食品を食べてた期間 → 体重はほぼ横ばい

  • 超加工食品を減らした期間 → 体重が減った

 

って感じになってるじゃないですか。つまり、これは「超加工食品で太った」というよりも、「非加工食で痩せた」結果として差が出た可能性が高いんじゃないかってことです。

 

ここで考えられる理由は主に3つでして、

 

  1. カロリー推定の誤差:研究では予測式で必要カロリーを計算しているんだけど、この手の式は実際より少なめに出ることが多め。すると、非加工食では「実質的に軽いカロリー不足」になっていた可能性がある。

  2. 食物繊維の影響:非超加工食品は繊維が多いため、超加工食品よりも満腹感が大きい。そのぶん無意識に食事の量が減るし、そもそも繊維が多いとエネルギーの吸収率が下がることもある。 つまり、「計算上は同じカロリー」でも、実際の吸収カロリーは違った可能性が高い。

  3. 脂質組成の違い:超加工食品は飽和脂肪酸が多く、繊維が少ない傾向があるため、LDLコレステロールや血圧の上昇が起きやすい。つまり、今回のコレステロールや血圧の変化は、加工そのものではなく栄養組成の違いで説明できる可能性がある。

 

みたいな感じでしょう。なので、この研究を見て「超加工そのものが、カロリーとは無関係に健康を悪化させる」と断言するのは難しいっすね。 カロリー推定のズレや、食物繊維・飽和脂肪の差など、従来の栄養学的要因で説明できちゃうところが多いんで。

 

じゃあ、私たちが超加工食品に対してどう向き合うべきかってことですが、確実に言えるのは、超加工食品は「過食を誘発しやすい」「食物繊維が少ない」「飽和脂肪が多い」「エネルギー密度が高い」ってところですんで、「加工のレベル」がどうこう考えるよりは、以下の指標を見たほうが実践的かもしれません。

 

  • 食物繊維が足りてるか
  • 飽和脂肪を摂りすぎてないか
  • エネルギー密度は高すぎないか(サイズが小さいわりに高カロリーじゃないか)
  • 食欲のコントロール性はあるか(止めたい時に止められるか)

 

せんじつめれば、問題は加工そのものより栄養バランスだよなーって話なんで、上記のポイントをチェックしておけば、まあ大きく外すことはないでしょう。

 

最後に話をまとめておくと、

 

  • 確かに、超加工食品を食べると、体重や心血管マーカーが悪化するが、カロリー推定誤差・繊維・飽和脂肪などの影響が大きそうなので、その原因が「加工そのもの」とは言い切れない

 

みたいになります。割と当たり前の結論ではありますが、超加工というラベルに振り回されるより、ざっくりした成分をチェックするほうが現実的かもですねー。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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