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「なんかこの人、感じ悪いな……」と思われないために、文章表現で気をつけることを調べたぞ!という研究の話

  
 

文章で印象を判断されるケースが増えてきた昨今。SNSはもちろん、オンライン授業やSlack、Discordなどの利用が当たり前になった今では、「文章だけでどんな印象を持たれるか?」って問題はかなり重要になってきております。

 

そこで大事なのが文章表現で、「これは明らかに正しいです」と言うのと「まあ、たぶん正しいと思います」と言うのでは、内容としては同じことを言っていても、使う単語によって「この人、詳しそうだな」と思われたり、「なんか感じ悪いな」と思われたりすることってあるじゃないですか。私たちは発言の内容だけで他人を判断するわけではなく、その人がどんな言葉づかいをしているかでも印象は変わるんですよね。

 


では、「どんな言い回しを使うのがいいのか?」ってことで、カリフォルニア大学などのチームが面白い実験(R)を見てみましょう。この研究は大学生245人を対象にしたもので、Discord風のオンライン掲示板でのやり取りを読んでもらい、それぞれの書き込み主にどんな印象を持ったかをチェックしております。

 

その際、研究チームは、掲示板のやり取りをしているキャラを3パターンにわけてまして、

 

  1. 教授
  2. TA、つまり授業アシスタント
  3. クラスメイト


そのうえで、掲示板のコメントの中に、以下のような「交渉語」を入れたんだそうな。

 

  • kinda / sort of:ちょっと、まあ、ある意味
  • basically:基本的には
  • absolutely / certainly:絶対に、確かに
  • clearly / obviously:明らかに、当然
  • totally:完全に、マジで


ここで言う「交渉語」ってのは、「自分の発言にどれぐらい確信を持っているか」を示す言葉のことです。たとえば、「これは絶対に正しいです」は自信満々っぽいし、「まあ、たぶん正しいです」みたいな言い方だと自信がなさげに聞こえるじゃないですか。こういう表現の使い方によって、文章の印象が変わるんじゃないかと、研究チームは考えたわけですな。

 

で、分析の結果がどうだったかと言いますと、ざっくりこんな風になりました。

 

  • kinda や sort of のような曖昧な言葉を使うと、知識がなさそうに見られやすい:たとえば、「fMRIってのは、まぁ脳の血流を測る技術みたいなものです」と言われると、「この人、本当にわかってるのかな?」と思われる。これは、自信がなさそうにしゃべってるわけですから、まぁわかりやすいですね。
  • absolutely や certainly のような強い言葉を使っても、知識がありそうには見られなかった:たとえば、「これは絶対に正しいです」や「これは確実にそうです」みたいにガンガン言い切っても、知的に見えるわけではないってことですね。というか、むしろ「この人、自信満々でちょっと嫌だなぁ……」とか思われてしまうだけで、知識の評価は上がらなかったそうで、特にメリットがなかったんだそうな。

 

ってことで、「自信なさげな言葉」も「自信ありげな言葉」も、どちらも知的に見せる効果はあまりないんだってことでして、これは日常でもありそうな話ですな。自信満々で断言しまくるような人って、必ずしも詳しいとは限らないですもんね。

 

ちなみに、この研究では、「clearly と obviously はかなり危険ワードだ!」って結果も出てまして、これも面白いところですね。なんでも、この2つを使うと、教授でもTAでもクラスメイトでも、「親しみにくい!」「失礼に見える!」「プロっぽさが下がる!」という評価が出やすくなったんだそうな。日本語で言えば、

 

  • 「明らかにそうです」
  • 「当然そうなります」
  • 「普通に考えればわかります」

 

みたいな感じでしょうか。言っている本人は「わかりやすく断言している」つもりなんだけど、受け手からすると「え、そんなこともわからないの?って言われてる感じがする……」みたいな印象を与えちゃうらしい。もちろん、これはアメリカの実験ですけども、感覚的には日本で同じ実験をしても似たような結果になりそうな気がしますな。なので、とくに指導者や上司の立場にある人ほど、このへんは注意したほうがよさげです。

 

逆に、個人的に意外だったのが、「totally は教授やTAをちょっと親しみやすく見せた!」って結果が出てるとこですね。「完全にそうなのよ!」みたいなカジュアルな表現は、上の立場の人が使うと少し距離が縮まったような印象をあたえるみたいなんですな。ただし、この言葉については、クラスメイトが使ってもそこまで効果はなかったそうなんで、同じ言葉でも、

 

  • 偉い人が使うと「親しみやすい」
  • 同格の人が使うと「普通」
  • 場合によっては「軽い」


みたいに、話し手の立場で印象が変わるってことなんでしょうな。ここらへんは、自分の立ち位置も把握しとく必要があるんでしょう。

 

ということで、この研究から実用的なポイントを抜き出すなら、

 

  • 知的に見せたいなら、「ちょっと」「まあ」「ある意味」は減らす
  • ただし、「絶対に」「確実に」を増やしても知的には見えない
  • 「明らかに」「当然」は、親切さと礼儀正しさの印象が減りやすい
  • 権威がある人ほど、カジュアルな言葉を少し混ぜると親しみやすくなる可能性がある

 

みたいになりますかね。いずれにせよ、文章ってのは、その内容だけでなく「断言のしかた」も個人の印象を左右してるものなんで注意したほうがよさげです。チャットやメールで信頼されたい方は、「強く言えば説得力が増す」と考えないほうがよさげっすね。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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