「バズれば幸せ」は本当か?フォロワーが増えるほどクリエイターは壊れるぞ!みたいな研究の話
「フォロワーの増加は新しい苦しみの始まりだ!」みたいな話(R)が出ておりました。現代のSNSでは、多くの人が、いかにフォロワーを増やし、再生数を伸ばし、ファンを獲得するかにチャレンジしているわけですが、これが実は成功のゴールどころかメンタル崩壊の入り口になってるんじゃないか、と。
これはニューヨーク大学などの研究で、Instagramで活動するビジュアルアーティストと、YouTubeで活動するミュージシャンを対象にした質的研究になっております。調査の対象になったのは社会的に成功している人がメインで、アーティストは平均50万人以上のフォロワー、ミュージシャンは平均28万人近い登録者を持っていたそうな。つまり、「これから売れたい人」ではなく、すでに客観的にかなり売れている人たちを調べたわけですな。
で、みんなに74回の詳細なインタビューを行って、どんな傾向が見えてきたのかと言いますと、
- SNSで大きなオーディエンスを獲得したクリエイターは、単に「たくさんの人に見られてうれしい!」とはならない。
- むしろ多くの人は、「機能不全な心理」にハマってしまう。
って感じです。「機能不全な心理」ってのがどういう状態かと言いますと、
- コメントが気になって仕方なくなる
- いいね数や再生回数で自分の価値を判断しちゃう
- アルゴリズムの変化に一喜一憂しちゃう
- 投稿が伸びないと、自分そのものが否定された気がしちゃう
- ファンを失う恐怖で、作りたいものが作れなくなる
みたいな感じです。要するに、自分のクリエイティブの主導権が、いつの間にか観客とプラットフォームに握られちゃうような状態です。
これはまさに“SNSあるある”でして、SNSをやってる人なら、規模の大小にかかわらず心当たりがあるんじゃないでしょうか。
「この記事はけっこう自信あったのに伸びないな……」
「この投稿、いつもより反応が悪いけど、何か間違えたかな……」
「最近フォロワーが増えない。もう飽きられたのか?」
みたいな気持ちにとらわれちゃうことって、現代人ならわりと普通にありますからね。この研究に参加した人のなかには、「機能不全な心理」にハマった状態を「絶望の部屋にいる感じ」とか「丸められた紙くずみたいな気分」と表現した人もいたそうです。うーん、こいつはかなりしんどい。
ここで重要なのは、彼らが「売れてないから苦しい」のではない点でしょう。みんな客観的には十分すぎるほど成功している人たちばかりでして、むしろ売れたからこそ苦しくなっているんですよね。
もちろん、フォロワーを増やすことは悪いことじゃないんだけど、ここで問題なのは、一般的な「フォロワー」ってのが「混乱の発生源」になっちゃうところです。当然ながらフォロワーってのは移り気な存在でして、昨日まで伸びていたネタが今日はまったく伸びなかったり、前回と同じクオリティで出したのになぜか反応が半分になったり、みたいなことが当たり前に起きますからね。そのせいで、クリエイターの脳内には、「これはウケるのか?」が常に居座るようになりまして、どんどんクリエイティブが自分のものではなくなっていくわけです。これも、よく見る現象だぜ……。
では、フォロワーが増えたクリエイターは、みんな病むしかないのかって気になりますが、もちろんそんなことはございません。研究チームによれば、一部のクリエイターは、フォロワーとの関係をうまく管理して、機能不全な心理から抜け出していたんだそうな。
具体的にどんなことをやっているのかと言いますと、大きく3つの戦略がよく使われていたらしい。
- 観客の声から距離を取る:まず大事なのが観客の声を浴びすぎないことで、メンタルを病まないクリエイターたちは、投稿後24時間はコメントを読まなかったり、コメント欄を見る時間を決めたり、信頼できる人にコメントをフィルタリングしてもらったり、数字を見る頻度を減らしたり、といった方法を採っていたとのこと。SNSのフィードバックは人間の脳には過剰すぎるんで、これはかなり重要なことでしょうな。
- 批判を自分から切り離す:2つ目は、批判を人格攻撃として受け取らないことでして、たとえば、ひどいコメントが来たときに「自分には価値がないんだ」と考えるのではなく、「この人は今日は機嫌が悪かったのかもしれない」「これは作品への反応であって、自分の人間性への判決ではない」みたいに捉え直すわけです。もちろん、これは「批判を全部無視しろ」という話ではなく、批判を受けたときに「これは改善情報か? それともノイズか?」を分けることであります。批判を人格に直結させず、情報として扱うってことですね。
- 自分の基準を蒸留する:3つ目は、自分の創作基準を明確にすることでして、この研究では「自分の基準を蒸留する」と表現しております。こいつは、「自分はなぜ創作を始めたのか?」「自分にとって良い作品とは何か?」「どんな反応がなくても守りたい基準は何か?」「バズらなくても作る価値があるものは何か?」「自分が長く続けられる表現は何か?」を自己分析していく作業のことで、こいつは本当に大事でしょうな。これがないと、再生数が多かったり、シェアされたものに引っ張られて、自分にとって意味があるものを追えなくなっちゃうんで。
いずれも納得の対策ですが、ここで誤解してはいけないのは、この研究が「ファンなんか気にするな!」と言っているわけではないとこです。むしろ、健全なクリエイターってのは、観客とのつながりから「クリエイティブの意味」を得ていたそうで、そこから創作を続ける大きなエネルギーを蓄積していたとのこと。こうやってフォロワーと健全な付き合い方ができるかどうかが大事ってことっすね。
ということで、現在では「どうバズるか?」ばかりが語られがちなんだけど、この研究を見てると「伸びた後に自分を壊さないためにはどうするか?」ってのも考えておくべきなのかもですな。フォロワーが増えるほど、他人の期待、数字の圧力、炎上リスクとかで創作の自由が狭まるリスクはめっちゃ高そうですからねぇ。


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