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ウォーキングだけで健康に?日常活動の総量がもたらす驚きの効果


ウォーキングだけで健康になれるのか?」ってのは、割と昔から議論が続いているテーマであります。この問題については、いまのところ2つの立場がありまして、

 

  1. そんなにハードな運動は必要ない!人間は歩くだけでも健康に過ごせるのだ!

  2. いや、ハードな有酸素運動は、ウォーキングでは不可能なレベルの急性ストレスを心血管系に与える!当然、ハードな運動のほうが体に良いはずだ!

 

って陣営に分かれて議論を続けている感じなんですよ。いまのところは、どちらの陣営にも主張をサポートするようなデータがありまして、なかなか判断が難しいんですよね。

 

そんな状況で、新しいデータ(R)は、この問題を深掘りしてくれていて勉強になりました。

 

これはオーストラリアで行われた健康調査のデータを分析したもので、1946~1951年生まれと1973~1978年生まれの女性20,588人を、21年間にわたって観察し続けたものになっております。

 

データでは、みんなの普段の活動を3年ごとに評価し、1週間の活動量をMETで算出。これに加えて、1週間にエクササイズをした数などにもとづいて参加者をグループ分けし、高血圧または肥満の発症率との関係を調べたそうな。

 

でもって、21年間の観察期間のあいだにどんな違いが確認されたかと言いますと、

 

  • 普段からよく体を動かす人は、その頻度や強度にかかわらず、高血圧や肥満の発症確率と逆相関していた(つまり、よく動く人ほど健康だという当たり前の話)。

 

  • だいたい、身体活動量が週に1000MET以上の参加者は、身体活動量の少ない参加者に比べ、高血圧のリスクが16%低く、肥満のリスクが27%低かった。

 

  • ただし、体を動かす量が一定を超えると、身体活動の“頻度”と“強度”は、高血圧や肥満の発症確率に実質的な影響を与えなかった

 

って感じだったそうです。要するに、日ごろの活動量が増えるごとに高血圧および肥満の発症率は下がるんだけど、別にハードなトレーニングをしなくても良いのでは?と思わせる結果ですね。

 

というと意外な結果に思うかもですが、「そんなに運動をしなくても健康にはなれるんじゃない?」って報告は他にもあるので、今回の内容も、実はそこまで驚くものではなかったりします。たとえば、このブログでも「1日8,800歩ぐらいの活動量でもかなり健康になるのでは?」みたいな話をしたことがありましたからね。

 

また、カリフォルニア大学が行った別の調査(R)では、5,633人の女性に調査を行ったうえで、「 軽い身体活動とハードな身体活動は、どっちも健康に良い効果があるから、運動の総量を気にした方がいいよー」と結論づけてたりします。これは、今回の研究と似たような結論でして、研究チームはこんな風に言っておられます。

 

この分析結果は、頻度や強度ではなく、(身体活動)の全体的な量の重要性を支持するものである。 みなの生活の制約や好みに合った様々な頻度や強度の活動を組み合わせて、身体活動のガイドラインを達成するよう奨励すべきだ。

 

ハードな運動をしなくても意味はあるんだから、もっと簡単な運動をたくさんやるようにしたほうが良いのでは?って提案ですね。もちろん、ハードな運動が好きな人はそちらを続けてもらえればOKですが、キツいエクササイズが嫌いな人には良いニュースじゃないかと。

 

では、具体的にどうすべきかって話ですが、この研究で示された「週1000 MET」って数字に従うのならば、

 

  • 1回60分のウォーキング(時速5kmぐらい)を週5回行う( 3.5 MET x 1時間 x 5回 = 210 MET x 5 = 1050 MET)

 

  • 週4にしたい時は、1日75分のウォーキングを行う(262.5 MET x 4日 = 1050 MET)

 

ってあたりが目安になるでしょう。そのうえで、長時間の座り仕事は最小限にとどめればバッチリじゃないでしょうか。

 

もっとシンプルに考えたい場合は、

 

  • 少なくとも1日8,000~10,000歩は歩く。
  • もうちょい上を目指すなら1日あたり15,000~20,000歩を歩いてみる(それだけのメリットがあるかは不明ですが)。

 

ぐらいに考えても良いかもしれません。

 

話をまとめると、ハードな運動をしなくても、日常的な身体活動の総量が十分であれば、高血圧や肥満のリスクは減らせるっぽいので、あんまいろいろ考えたくない人は、週に1000 MET以上の活動を目指してみてくださいませ。無理にハードなトレーニングを行わなくても、軽い運動を細かく積み重ねるのが大事って報告が増えてきたのは、多くの人にとって励みになるのではないでしょうか。


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