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筋トレはフルボディとスプリットのどっちが体脂肪が減るのか?問題

 


筋トレの世界では、昔から「スプリット・ボディとフル・ボディのどちらを使うべきか?」って論争があるわけです。この問題については、以前にも「筋トレはフルボディとスプリットのどっちが筋肉が育つのか?問題」ってのを書いてまして、そこからセルフ引用してみましょう。

 

(スプリット・ボディとフル・ボディは)トレーニングの方法を示す言葉で、だいたい以下のようになります。

 

  • スプリットボディ=特定の日に、特定の筋肉群を集中してトレーニングする。例えば、月曜日は胸と背中、火曜日は肩と上腕二頭筋、水曜日は脚と上腕三頭筋を鍛え、木曜日はトレーニングを休む、みたいな感じ。

    また別の例としては、月曜日から土曜日まで、それぞれの日に各筋肉をトレーニングして日曜日は休むパターンもある。

 

  • フルボディ=それぞれの主要な筋肉を1日でまとめてトレーニングする。通常は、週に2~4回のトレーニングを行うのが一般的。

 

ぱっと見では、2つのプログラムは構成が激しく違うので、効果の出方にも違い出るんじゃないかと思われるわけです。私は1日のうちにいろんなトレーニングをするほうが好きなので、フルボディのパターンを使っていますが、効果に違いがあるのなら気になっちゃうところです。

 

ということで、1日のトレーニングで全身の筋肉を鍛えるのがフルボディ、日替わりで鍛える部位を変えるのがスプリットボディと考えていただければ良いでしょう。

 

でもって、上述のエントリでは、いろいろ調べた結果として「スプリットボディとフルボディは筋肉の増え方が同じぐらい!」って結論だったわけです。筋肉を増やすのが目的だったら、どっちを使っても問題ないわけですね。

 

といったところで、新しいデータ(R)では、今度は「スプリットボディとフルボディはどっちが体脂肪が減るの?」って問題を調べてくれてます。体脂肪を減らすために筋トレをやる人も少なくないでしょうが、果たしてどっちのルーチンが効果的なのかってことですね。

 

この研究は、最低でも3年間の筋トレ歴がある23人の男性を対象にしたもので、全員をランダムにフルボディグループ(11名)とスプリットグループ(12名)に分類。どちらのグループとも、1RMの70〜80%ぐらいの強度で、1セット8〜12回のレップ数、週に75セットのボリュームで、8週間のトレーニングを行ったそうな。

 

フルボディグループは、毎日全身を使う複数のエクササイズを少量ずつ行い、スプリットグループは、週に一度だけ特定の筋肉グループを集中的にトレーニング。体組成はDXAを用いて測定し、ついでにトレーニング中の総ボリュームや筋肉痛の有無も比べたところ、結果は以下のようになりました。

 

  • フルボディグループは平均0.775kgの脂肪が減り、一方でスプリットグループは平均0.317kgの脂肪が増えた。

 

  • 部位別の脂肪減少でも、フルボディグループのほうが優れており、フルボディグループは上半身の脂肪が0.085kg、下半身の脂肪が0.197kg減っていたが、スプリットグループはそれぞれ脂肪が増加した。

 

  • 食事についてはグループの間に目立った違いはなかったが、フルボディグループは総トレーニング量がスプリットグループより16%多かった。

 

  • 筋肉痛は、スプリットグループの方が強くなる傾向があった。

 

ということで、全体的には、フルボディのほうが脂肪が減りやすく、さらには筋肉痛も少ないという結果でした。このポイントについては、完全にフルボディのほうが有利なのかもですな。

 

フルボディのほうが良い結果が出た理由はいくつか考えられまして、

 

  • トレーニングの質が高い:フルボディはデカい筋肉をターゲットにしているため、より高い質のトレーニングができた可能性がある。

 

  • 代謝による熱産生:フルボディはより多くの熱を生じたおかげで、食欲減退に影響を与えたのかもしれない。

 

  • サンプリングエラー:なんせ小規模な実験なので、たんにそのせいでフルボディに有利な結果が出たのも否定できない。

 

みたいな感じになるでしょう。まぁ個人的には、体脂肪と筋肉痛についてフルボディのほうが有利っぽいのは、理にかなった結果のような気もしてますが。

 

あと、これに加えて言うならば、体脂肪を削る目的で筋トレをしてもあまり意味がないんで(筋トレによる体脂肪の減少率はめっちゃ低いので)、そもそも「脂肪を減らすためにはフルボディか?それともスプリットか?」とか悩んでも、あんま意味がないかもしれません。実際、今回の研究とでも、脂肪が減るレベルはかなり限定的ですしね。

 

そんなわけで、とりあえず現状では、いろいろ考えるのが面倒だったら、とりあえずフルボディを選んでおけばよさげ。「俺はこの部位を重点的に鍛えたいんだ!」みたいな希望がある方は、スプリットを選んでみるのも良いかもしれません。どうぞよしなに。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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