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「週末だけ運動」でも健康になれるのか?問題を5,000人調査した研究の話

   

「運動は毎日こまめにやらないと意味がないのでは?」みたいな質問をたまに受けるわけです。「平日は仕事が忙しくて運動するヒマがないんですけど、だからって週末だけ頑張っても意味ないですかねぇ?」みたいな質問っすね。いかに毎日の運動が大事とわかってはいても、なかなか実行できる人はいないでしょうからねぇ。

 

ってことで、新しい研究(R)では、そんな「週末だけしか運動できない派」の方には希望がある内容になってたんで、内容をチェックしておきましょう。

 

これは香港の大規模調査をベースにしたもので、「世界保健機関(WHO)の運動ガイドラインはまとめてやってもいいのか?」ってところを調べてくれております。WHOの運動ガイドラインで「中〜高強度の運動を週に150分以上行うべし!」って提案をしているわけですが、「それを毎日ちょこちょこ分けてやるのか?」「まとめて一気にやってもいいのか?」という点については、特に明言してないんですよ。ちなみに、アメリカのスポーツ医学会(ACSM)は「できれば週5日に分けて運動しましょう」と推奨してるんですけども、これも絶対のお勧めではなかったりするわけです。

 

しかし、現実問題として、仕事や家事で平日が潰れてしまう人も多いので、「週末にガッとまとめて運動するやり方でもいいんじゃないか?」ってところを、ガッツリと調べてみることにしたんだそうな。なんともありがたい研究ですねぇ。

 

具体的には、研究チームは17~59歳の男女約5,000人を対象に分析を行ってまして、ここでは参加者の身体活動の習慣と「健康関連の体力」指標をチェックしております。その際に、研究チームは、参加者を以下のように4タイプに分類したらしい。

 

  1. 非活動群(17.5%):週にほぼ運動していない人たち

  2. 身体活動不足群(47.3%):ちょっと運動するが150分未満の人たち

  3. 週末戦士群(7.8%):週150分以上の運動を1~2回で実施する人たち

  4. 継続的運動群(27.4%):週150分以上を3回以上に分けて実施する人たち

 

でもって、それぞれのグループがどれぐらい身体能力が高いのかを調べてまして、たとえば心肺機能や握力(筋力)、柔軟性、体脂肪の量などに違いが出るのかを分析したんですな。

 

では、結論です。分析の結果をひとことで言うと、

 

  • 週末だけ運動する人でも、VO₂max以外の体力指標は運動していない人たちより明らかに良かった!

 

って感じだったそうです。つまり、週末だけの運動ってのは、心肺機能の改善はやや弱いけれど、それ以外の筋力・柔軟性・筋持久力・体脂肪率では、ちゃんとプラスの効果が出ていたってことですね。さらに、高強度の運動(HIITとか)を週75分以上実施している人は、週末だけ運動をしている人でも、継続型と同様にすべての体力指標が良好というデータもありまして、こうしてみると「週に2日だけ固めて運動をする」ってやり方でも、十分に意味があるんじゃないかと思うわけですね。これは「平日には運動の時間がない!」って人には良いニュースじゃないでしょうか。

 

ということで、この研究結果から、私たちが実践に活かせそうなポイントをまとめると、こんな感じになります。

 

  • 平日は無理でも、週末に150分まとめて動けば体力はアップする
    • 週末しか動けないから…」とあきらめる必要はなし。土日で150分以上の中〜高強度の運動をまとめて行えば、筋力・柔軟性・筋持久力・体脂肪の改善にはちゃんと効果がある。
    • 1日で150分はキツいという方は、土曜・日曜に75分ずつでもOK。運動後の疲労感やモチベ維持の観点からも、この分け方が現実的かも。
    • 中〜高強度の運動とは、「息が少し上がるレベル〜息が切れるレベル」を目安に。たとえば、速歩き、インターバルウォーキング、サーキットトレーニングなど。
    • 時間が取れるなら、筋トレを組み合わせると、体組成や筋力にもよりプラスになる。
    • 1日でやるのが大変なら、土曜と日曜に75分ずつでもOK

 

  • VO₂maxを改善したいなら、有酸素トレーニングも忘れずに
    • VO₂max(最大酸素摂取量)は心肺機能のバロメーター。これが上がると、日常の疲れにくさや健康寿命にも直結する。
    • この指標は、有酸素系の運動じゃないと伸ばせず、筋トレやプランクだけでは不十分。
    • VO₂maxを伸ばすには、以下の方法がお勧め。
      • ジョギング:1回20〜30分、心拍数を60〜80%の間で維持
      • インターバルトレーニング(HIIT):20秒全力 → 10秒休憩 × 8回など
      • スピンバイクやエアロバイクを使った30分間の中強度セッション
      • スロージョギング×ウォーキングの交互インターバル
    • 「短時間でも効果を得たい」という人には、HIITを10〜15分やるだけでもVO₂max改善に一定の効果ありとの報告もある。

 

  • 時間が足りなければ「75分未満」でも意味はある
    • 「150分なんて無理…」という方でも、週75分未満の運動でも体力指標は有意に改善していたというデータがある。特に、柔軟性・筋持久力・体脂肪率などは少ない運動量でも改善が見込める。
    • なので、たとえば以下のようなスキマ運動でも効果はあるっぽい。
      • エレベーターではなく階段を使う(1日10分×週5日)
      • 1駅分を歩く(15分×週3日)
      • 昼休みに5分だけラジオ体操第1+スクワット10回

 

そんなわけで、話をまとめると、この研究を見る限りは「運動は毎日でなければ意味がない」という考えは支持されないようですんで、平日にどうしてもヒマがないという方は、「週末に集中してやる!」と決めたほうが現実的かもしれません。もちろん、VO₂maxまでガッツリ高めたい場合は、平日にも軽く体を動かす習慣を取り入れたほうがベターなんだけど、「週末にまとめて運動」でも十分に健康を維持することは可能みたいなんで。どうぞよしなにー。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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