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人生を長期的に楽にするかも知れない「協調性」を伸ばす方法の話

   

「なんであの人、いつも感じがいいんだろう?」と思ってしまうような人が、皆さまのまわりにも必ず一人はいるでしょう。いつ会っても穏やかで、ちょっとしたトラブルにも動じず、なぜか周囲からも好かれているような人ですな。

 

心理学の世界では、こうした人たちのことを「協調性がめっちゃ高い」などと表現します。協調性ってのはビッグファイブ性格特性のひとつで、「思いやり」「共感性」「優しさ」「利他性」などの特徴を指してるんですな。

 

協調性はビッグファイブのなかでは割と地味な扱いをされてまして、「誠実性」とか「外向性」とか「神経症傾向」に比べるとあんま話題にならないんですけど、長期的に人生を左右する要素だと言われてまして、協調性が高い人には、以下のメリットが確認されております。

 

  • 人間関係が安定しやすい:これがもっとも一貫して確認されているメリットで、協調性が高い人は、友人関係の満足度が高かったり、恋愛関係と結婚の満足度が高かったりする。
  • 職場で信頼されやすい:過去のメタ分析では、協調性が高い人は、上司からの評価が高く、チームワークが必要な職種で成果が出やすいと報告されている。特に、医療、教育、接客業、マネジメント職など「対人ストレス」が多い仕事ではプラスに働きやすい。
  • メンタルの安定:協調性が高い人は他人への敵意が少ないため、対人トラブルによるストレスが少ない傾向がある。 ただしこれは神経症傾向ほど強い関連ではない。
  • 病気になりにくい:いくつかの縦断研究では、協調性が高い人は炎症マーカーが低く、心血管疾患になりにくく、死亡リスクもやや低い傾向も報告されている。これは、協調性が高い人は対人ストレスが少ないのと、社会的サポートを得やすい のが原因だと考えられている。

 

ということで、これを見る限りなかなか良い特性ではないかと思うわけです。まぁ、一方では協調性が高い人はサイコパスに利用されやすかったり、強い自己主張が必要な場面では不利になったりするんですが、そこらへんのデメリットをふまえても、なかなか良い特性じゃないですかね。

 

となると、「協調性を高めるためにはどうすればいいのか?」って問題が気になりますが、そこで新しい研究(R)では、ちょっと新たに面白い視点を提供してくれておりました。

 

これは大学生を対象にした研究で、まずはみんなの性格をテストで把握した上で

 

  1. みんなのエンタメの好みを尋ねる:すべての参加者に、好きな音楽や映画、テレビ番組を挙げてもらう。
  2. そのコンテンツが生む感情を尋ねる:参加者が好きなコンテンツについて、「この曲は愛情深い気持ちにさせる」「この映画は怒りを感じさせる」などを答えてもらう。

 

といったポイントを調査。その後ですべてのデータを分析したところ、こんな傾向が確認されたそうな。

 

  • 協調性が高い人は、 “優しい気持ち”になるコンテンツを好む
  • 協調性が低い人は、怒り・攻撃性を刺激するコンテンツを好む

 

この結果が何を意味するのかと言うと、ざっくりまとめると、

 

  • 「いい人」は、ますます“いい人”になる体験を選び、そうでない人は、その方向に自分を強化していく。

 

みたいな話です。つまり、周囲から良い人と言われるような人たちは、普段から優しい音楽を聴いたり、心温まる映画を観たり、思いやりのある人と付き合ったりといった小さな経験を積み重ねることで、さらに協調性をブーストしているのかもしれないわけですな。逆に、協調性が低い人は、普段から怒りを煽るニュースばかり見たり、攻撃的な議論を好んだりしているため、そっちの方向に性格が強化されているかも?ってことですね。

 

これは過去の性格研究とも整合性がありまして、たとえば、

 

  • 神経症傾向が高い人は、不安やネガティブ感情を強める体験を選びがちで、そのせいでさらに神経症傾向が高まっている

  • 外向性が高い人はポジティブな刺激を求めがちで、そのせいでさらに外向性が高くなっている

 

みたいなことは昔から言われてたんですよね。要するに、私たちは、自分の性格が好むような体験を求め、それによってさらに持ち前の性格を強化しているわけです。もちろん相関研究なので因果関係は断定できませんが、「性格と体験が相互に強化しあっている可能性」はかなり高いんじゃないでしょうか。


ということで、今回の研究を参考にするならば、

 

  • 協調性が高まりそうなコンテンツを意識して摂取する。
  • 逆に攻撃性の高いコンテンツは避ける。
  • 1日1回、誰かに小さな親切をする。

 

などを地味にやっていくと、協調性が高まってよろしいのかもしれません。なんといっても「協調性」ってのは副作用が少ない上に社会的リターンが高いし、自分の気分も上げてくれる要素ではあるんで、ビッグファイブテストで協調性が低めに出た人は、日々の実践を心がけていただくと良いのではないでしょうか。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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