AIに悩み相談すると、逆に孤独が深まるかもだぞ!という研究の話
AIチャットボットを「調べもの」だけじゃなく、「話し相手」として使う人が増えております。「今日あった嫌なことを聞いてもらう」「人生相談をする」「仕事や恋愛の悩みを整理してもらう」みたいな使い方ですな。
これは実に納得できる話でして、AIは基本的に否定してこないし、深夜でも返事をくれるし、こちらの話を途中で遮ったりもしないですからね。AI相手なら心理的コストはめっちゃ低いわけです。
となると、ここで気になるのが、「AIを“心の支え”として使い続けたら、長期的にはどうなるのか?」という問題であります。AIに悩みを打ち明けていたら、短期的にはラクになるとしても、長い目で見たら、かえって人間関係から遠ざかるんじゃないの?みたいな疑問ですな。
AIに相談する人は、その後もっと孤独になるんじゃないか?
ってことで、この問題を調べたのが、ブリティッシュコロンビア大学などの研究(R)であります。ここで研究チームは、イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリアに住む成人2,000人以上を対象に、12カ月間のオンライン調査を実施。調査は4カ月ごとに合計4回で、参加者には、そのたびに以下のようなことを尋ねたんだそうな。
- 過去4カ月で、AIチャットボットを社会的な目的でどれぐらい使ったか?
- 仕事の昇進を受けるかどうかなど、人生の意思決定についてAIに相談したか?
- その日あったことをAIに話すような、日常会話をしたか?
- 離婚や引っ越しなど、大きな生活ストレスがあったか?
- どれぐらい孤独を感じていたか?
でもって、これらのデータをまとめて分析してみたら、こんな傾向が見られたというんですな。
- 全体の4分の1強の人が、過去4カ月のあいだに「コミュニケーション目的」でAIチャットボットを少なくとも数回は使っていた。
- 孤独を感じている人ほど、その後の4カ月でAIを話し相手として使うようになりやすかった(これは当たり前ですな)。
- AIをコミュニケーション目的で使うようになった人は、その4カ月後にさらに孤独感が高まる傾向があった。
ってことでして、つまりこの研究によると、「AIに話しかけることで、長期的にはさらに孤独が強まるかもしれない」ってことですね。
長期の孤独を和らげるには、人間関係の面倒くささが必要なのでは説
もちろん、これは「AIに相談するのは危険!」って話ではなく、あくまでこの研究は観察研究なので、「AIを使ったから孤独になった」と因果関係を言えるわけじゃないのでご注意あれ。ただし、今回のデータを見る限り、AIと孤独に関係性が見られたのは「AIが人間関係の代用品になってしまうからじゃないか?」ってのは、十分あり得るんじゃないでしょうか。
人間関係の代用品ってのがどういうことかと言いますと、
- 友人に相談するときは、相手の都合を考えないといけないし、返事が遅いこともあるし、こちらの話をうまく理解してくれないこともある。一方で、AIはすぐ返してくれるし、話を整理してくれるし、だいたい肯定的。
- なので、AIとの会話に慣れすぎると、人間とのやりとりが相対的に面倒に感じられてしまう。
- が、人間関係には、「相手の反応を読む」「自分の言葉を調整する」「少し気まずい沈黙を共有する」「互いに助け合った記憶が積み重なる」みたいな要素があり、ここらへんはまだAIで代替しにくい(そのうちなんとかなるかもですが)。
- その結果、AIに頼りすぎてると、人間関係の面倒くささに耐える力が落ちて、リアルな交流からじわじわ遠ざかってしまう。
みたいな感じです。AIとの会話は、気持ちを一時的に整理するには便利なんだけど、孤独を和らげるために必要な人間関係の面倒くささまでは代替してくれないということですな。
個人的に、この研究でおもしろかったのは、AIの問題が「感情知性がないから」とかじゃなくて、「ラクすぎるから」って原因で起きてるとこですね。人間関係ってのは確かに面倒なんだけど、おそらく本当に孤独を和らげるためには、その面倒くささが必要なんだろうなーと思ったりするわけです。AIは会話の相手にはなってくれるものの、今のところ「相互に人生へ関与する存在」とは言いにくいんで、そこらへんが「なんか軽いなー」って感覚を生んじゃって、長期的な孤独には効きにくいのかもしれないと思っております。
AIを人間関係の代わりにしない
では、AIとの付き合い方はどうすればいいのか?ってことですが、今回の研究から考えるなら、
- AIを人間関係の代わりにしない!
ってのが最大のポイントになりましょう。AIに相談するのが悪いって話じゃなくて、むしろ考えを整理したり、感情を言語化したりするにはかなり便利なんですけども、ここでAIだけで完結させちゃうと、孤独のループに入りやすい可能性があるんで注意したいところです。
なので、AIを使うなら、こんな感じがよさそうであります。
- 「この悩みを友人にどう話せばいいか?」をAIに整理してもらう
- 愚痴をAIに吐き出したあと、信頼できる人に短いメッセージを送る
- AIに相談して出てきた気づきを、人間との会話のネタにする
- AIに「誰に連絡すべきか」を一緒に考えてもらう
みたいな使い方です。要するに、AIを「友人の代用品」にするのではなく、人間関係を育てるためのサポートとして使うわけですな。
ってことで、今回の研究をざっくりまとめると、
- 孤独な人ほど、その後AIを話し相手として使いやすい
- AIを社会的な目的で使うようになった人は、4カ月後にさらに孤独を感じやすい傾向があった
- AIは短期的には気分をラクにするかもしれないが、長期的には人間関係の代替にならない可能性がある
という感じです。まぁ、AIに話しかけること自体は現代人にとって普通の行動になってるんで、ガンガン使っていただければいいと思いますが、その一方では、「孤独を本当に減らすには、面倒な人間関係が必要かも」って視点は押さえておきたいところっすね。


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