地中海食、“細胞の中のタンパク質”をいじって私たちを健康にしていた説
「地中海食は体にいい!」なんて話は皆さますでに周知かと思います。このブログでも、
- 全米「最高の食事法はこれだ!」ランキングのトップ3
- 地中海食の「グリーンバージョン」なら、さらに健康効果がはね上がるんじゃないの?説
- 子供の体型と運動力を改善する(かもな)「地中海食採点ガイドライン」の話
みたいな話をしてまして、もはや健康ネタの定番中の定番みたいな存在なんですよ。
で、地中海食が体に良い理由はいろいろありまして、抗酸化作用が強いとか炎症を抑える働きがあるみたいに言われてるわけですが、近ごろ新しい切り口から地中海食の効果を調べた研究(R)が出てきまして、これがなかなか勉強になるんですよ。なんでも、地中海食みたいにオリーブオイルや魚を中心とした食事は、「細胞の中で作られる超ミニタンパク質」を通じて、私たちを健康にしてくれるんだと言うんですな。
これがどういう話かと言いますと、まず前提として、人間の細胞には「ミトコンドリア」という器官がありますわな。こいつはいわゆる細胞の発電所みたいなやつで、ここがエネルギーを作ってくれてるおかげで、私たちは日々の活動や生命維持を行うことができているわけですね。なので、健康を維持するためにはミトコンドリアの機能を高める作業が必須。
でもって、このミトコンドリアってのは、じつは独自のDNAを持ってまして、こいつは核DNAとは別に独立して存在する遺伝情報だったりするんですよ。しかし、その遺伝子の多くは非常に短い配列で構成されているので、昔は「たいした役に立たない遺伝子も多いんじゃない?」なんて思われてたわけです。いわゆる“ジャンクDNA”みたいなものの集まりだろう……みたいな。
ところが面白いことに、近年になって、その中から「マイクロプロテイン」と呼ばれる超小型のタンパク質が見つかってきまして、「これが実はめっちゃ大事なんじゃないの?」と言われるようになってきたんですね。研究で注目されてるのは大きく2つでして、
- Humanin(ヒューマニン)→ 心血管疾患の予防、インスリン感受性の改善、細胞の生存率アップなどに関わってる
- SHMOOSE(シュムース)→ 脳細胞を守る働きがあり、アルツハイマー的なダメージの軽減に関わってる
って感じになります。要するに、これらのマイクロプロテインは「細胞レベルで老化や病気を防ぐ働きをしてるんじゃないの?」と考えられてるわけで、こいつがしっかり分泌されているほど、健康状態が良好に保たれている可能性が高いと考えられるんですよ。こいつは大事ですねぇ。
ということで、このマイクロプロテインを調べるために、研究チームは平均78歳の高齢者49人を対象にこんなことを調べております。
- みんなが普段どんな食事をしているのかを調べ、これをもとに参加者が「どれぐらい地中海食っぽい食事をしているか?」をチェックして、全体を「地中海食をガチで守ってる人」と「地中海食を守ってない人」の2グループに分ける
- 血液検査で、みんなのHumaninとSHMOOSEを調べる
これによって、食事パターンとマイクロプロテインの関係を比較するということで、果たして地中海食がこれらのタンパク質に影響するのかを調べることができるんですね。
そこでどんな結果が出たのかと言いますと、だいたいこんな感じになります。
- 地中海食をしっかり守っている人は、Humanin & SHMOOSEの機能が高かった
- 地中海食をあまり守っていない人は、Humanin & SHMOOSEの機能が両方とも低かった
ってことで、おおかたの予想どおり、地中海食に近い食事をしているほど細胞レベルで有利な状態になっていたみたいっすね。やっぱ健康的な食事はミトコンドリアの機能アップに欠かせないんだ、と。
でもって、この研究ではHumaninが多い人ほど、酸化ストレスの原因(Nox2)が低いって結果も出てまして、これもなかなかナイスな知見じゃないでしょうか。要するに、なんで地中海食がアンチエイジングに良いのかというと、「食事改善 → マイクロプロテイン増加 → 細胞ダメージ減少」みたいな流れが起きているからだってのが見えてきたんじゃないか、と。
となると、じゃあ具体的に何を食えばいいのか?というところが気になりますが、データを見るとこんな感じです。
- SHMOOSEが増えやすい食事
- オリーブオイル:毎日大さじ1以上
- 白いパン(精製炭水化物):少なめ
- Humaninが増えやすい食事
- オリーブオイル
- 魚
- 豆類(週に数回)
ってことで、完全に教科書どおりの地中海食ですなぁ。では「なぜこの食事が効くのか?」ってことで、研究者の解釈をざっくりまとめると、
- 植物由来の抗酸化物質がダメージを減らす
- 同時にマイクロプロテインが増える
- ミトコンドリアの働きが改善
- 老化と病気のリスクが低下
という「二段構え」の仕組みになってるっぽいですな。もちろん栄養そのものも大事ながら、それによる体内での反応の変化が大事だってことみたいですね。
まー、この研究には限界もありまして、被験者が少ない(49人)し、高齢者に限定されている研究なので、果たして若者にも同じことが言えるのかは謎だったりします。ただし、ミトコンドリアは全年齢で重要だし、酸化ストレスは誰でも起きる現象なので、若い人にもある程度は当てはまる可能性は高いんじゃないでしょうか。
なので、今回の研究を日々の暮らしに役立てるならば、
- オリーブオイルを主脂肪にする。サラダ油をオリーブオイルに置き換える。
- 魚を週2〜3回食べる。肉料理を週1〜2回は魚に変えるといいかも。
- 豆類を増やす(納豆でもOK)
- 白いパン・精製炭水化物を減らす。白パンより全粒系に
この程度でも、細胞レベルではけっこう差が出る可能性がありますんで、お試しください。単に「健康にいいから食べましょう」ではなく、
- ミトコンドリアが変わる!
- タンパク質が変わる!
- 老化スピードが変わる!
といった、生物学的なストーリーまで見えてくると、またモチベーションが上がってよいのではないでしょうかー。


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