超加工食品より怖い?「超嗜好性食品」について調べた研究の話
「甘いものがやめられない!」
「ポテチを開けると、なぜか袋が空になる!」
「ダイエット中なのに、夜中に菓子パンを食べてしまった!」
みたいな話は、ダイエットあるあるでしょう。このような問題が起きちゃう理由はいろいろ考えられますけども、新しいデータ(R)では「超嗜好性食品が最大の原因なのだ!」って話になってて面白かったです。「超嗜好性食品」とは、人間の食欲システムを強めに刺激するよう設計された食品のことで、
- 脂肪+砂糖:ケーキ、チョコ菓子、アイス、ドーナツ系など
- 脂肪+塩分:ポテチ、ピザ、チーズ系スナック、ファストフード系など
- 炭水化物+塩分:クラッカー、プレッツェル、塩味の加工パン系など
みたいに、複数の報酬成分が組み合わされた食品のことです。いわゆる「超加工食品」に近いジャンルなんですけども、ポイントは「加工度」そのものよりも、脂肪・糖・塩分などが食欲を刺激しやすい比率で組み合わされているかどうかにあるってことですな。
今回のレビューは、1973年から2023年までに発表された37本の研究をまとめたもので、研究チームは、過食エピソード中に実際に食べられた食品を158品目まで整理したんですよ。過食エピソードってのは、ざっくり言えば、
短い時間のあいだに、明らかに多い量の食べ物を食べてしまい、その最中に「自分では止められない」という感覚がある状態
のことでして、単に「食べすぎた」ではなく、コントロール不能感があるところがポイントになっております。たとえば、
今日は焼肉でテンションが上がって、いつもよりかなり食べた!苦しいけど、楽しかったし、自分で選んで食べた感じがある!
みたいな状態は「ただの食べ過ぎ」に分類されるんだけど、
夜中に菓子パン、アイス、チョコ、ポテチを次々食べてしまった……。途中で「もうやめたい」と思っているのに止まらず、食べ終わった後に強い後悔や恥ずかしさが残った。
みたいなのは「過食エピソード」だと言えますね。なので、要するにこの研究では、「過食が起きたとき、人は実際にどんな食品を食べているのか?」ってところを調べたわけです。
で、分析の結果がどんなものだったかと言いますと、
- 過食エピソードで報告された食品の約9割が、超嗜好性食品の基準を満たしていた。
- しかも、37本すべての研究で、少なくとも1つは超嗜好性食品が登場していた。
みたいな感じだったそうな。つまり、過食って現象は、単に「たくさん食べる」だけではなく、かなりの確率で特定タイプの食品に引っぱられているってことですな。
もちろん、私は「不健康な食事は一口でもアウト!」みたいな食事観には反対でして、食品に「清い/汚い」みたいなラベルを貼ると、食事が宗教化しちゃうから良くないよなーと思っているわけです。それだと、健康のために始めた食事管理が、メンタルを削る修行になっちゃうんで注意したいところっすね。
ただし、今回のレビューを見ると、「悪い食品とまでは言わないものの、今の自分にフィットしない食品はあるよなー」ぐらいには考えたほうがよさそうでして、たとえば、
- 減量中でカロリー制限が長引いているとき
- 体型のメンテナンス後で食欲が暴走しやすいとき
- 睡眠不足で判断力が落ちているとき
みたいなときは、チョコ菓子やポテチを家に置いておくだけで、かなり難易度が上がっちゃうのは間違いないところです。つまり、意志が弱いから食べすぎるというより、食欲を暴走させやすい食品環境に置かれているってことですね。
ちなみに、この研究にはまた別に興味深い指摘がなされてまして、それは、
- 現代に超嗜好性食品が生まれたのは、タバコ企業のせいだ!
というものです(R)。この資料を見てみると、なんでも1980年代から2000年代にかけて、アメリカの大手タバコ企業が「人間はどんな感覚に反応しやすいのか?」ってのを調べ上げ、その知見を食品に応用したというんですな。実際のところ、フィリップモリスやR・J・レイノルズは過去に食品会社を買収してまして、そこで開発された食品は、脂肪と塩分が多い超嗜好性食品である確率が高かったんだそうな。うーん、怖い。まぁ、これだけで「タバコ会社が私たちを中毒にしようとしている!」とまで言うのは陰謀論になっちゃうんだけど、少なくとも「現代の食品は徹底的なマーケティングの産物だ」ぐらいは言えそうっすな。
じゃあ、この知見を現実に活かすにはどうすればいいのか?ってことですけども、とりあえず以下のようなポイントを守っておくのが良いんじゃないでしょうか。
- 超嗜好性食品は減量中だけ「家に置かない」:ポテチ、チョコ、菓子パン、アイスなど、自分が暴走しやすい食品は、減量中だけ家に置かない。食べたいなら外で1個買う。家にストックしない。あくまで減量中だけ。
- 「一口だけならOK」が危険な食品を把握する:人によって食欲を暴走させる食品は異なっており、ある人はチョコで暴走するし、ある人はナッツで止まらないし、ある人はグラノーラで一袋いっちゃうかもしれないわけです。なので、「これは食べると止まりにくいな」という食品をまとめて、自分用のリストを作っておくといいでしょう。ここでは、「これは悪い食品だ!」ではなく、「これは現在の状態では扱いにくい食品だなー」って姿勢を養うのがポイントっすね。
- ダイエット後の回復期こそ警戒する:減量が終わった直後の時期は、「もう終わったし!」という開放感と、長期間のカロリー制限の反動で食欲が暴走しやすい時期。なので、減量終了後もしばらくは、超嗜好性食品をいきなり解禁しすぎないほうが無難。体重、空腹感、睡眠、メンタルが落ち着いてきたら、少しずつ戻すぐらいでいいでしょう。
ってことで、いずれも平凡な対策ではありますけども、食事管理においては、「何を禁止するか」ではなく、「どの時期に、どの食品との距離を取るか」のほうが大事なので、そこさえ押さえておけば大きく間違えることもないでしょう。ポテチもアイスもチョコも人生から永久追放する必要はなくて、ただ減量中の深夜に、それらを家に大量に置いとかないようにしましょうねーぐらいの話であります。これぐらいの地味な環境調整が、実は最も効果があったりしますからねぇ。


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