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感情をコントロールしたい!と思ったら「この判断に自信はある?」と考えよう

   

 

感情に任せて余計なことを言ってしまうことは誰にでもあるもの。あなたが仲のいい友人からドタキャンされ、そこで勢いにまかせて、「もう誘わない!」みたいな文章を送信しちゃう………みたいな話ですな。誰でも「怒っているときは深呼吸!」ぐらいには思ってるはずなんだけど、実際に感情が高ぶっていると、それがなかなかできないんですよね。

 

では、具体的にどうすればいいのか?ということで、シドニー大学が面白い研究(R)を発表しておりました。

 

ここで研究チームが注目したのは、「メタ認知的モニタリング」って能力であります。ご存じのとおり、メタ認知は「自分の考え方を一段上から眺める力」のことで、たとえば新しい楽器を練習しているときに、

 

  • 自分はどこまで理解できているか?
  • どの部分がわかっていないか?
  • この練習法で本当に上達しそうか?

 

と確認するのも、これに相当します。

 

でもって、研究チームは、この能力が感情のコントロールにも使えるんじゃないの?と考えたんですよ。感情に対してメタ認知を使う時ってのは、

 

  • いま何を感じているのか?
  • 感情の強さはどれぐらいか?
  • 何がこの感情を引き起こしたのか?
  • いま考えている対応は本当に適切か?

 

といった点をチェックするイメージですね。怒りや不安を消そうとするのではなく、「この感情に対して、自分はいまどんな判断をしようとしているのか?」を観察する感じであります。

 

ということで研究チームは、最初に「一般的なメタ認知能力が高い人ほど、感情的な場面でも適切な対応を選べるのか?」ってところをチェック。参加者に2つの四角形を一瞬だけ見せ、「どちらに多くの点が入っていたか?」を判断してもらいまして、そのうえで「自分の判断にどれぐらい自信がありますか?」と評価させたんだそうな。

 

すると、この実験でわかったのは、

 

  • 一般的なメタ認知能力と、感情管理の関係は弱かった。なので、メタな視点から自分の正しさを把握できる人が、必ずしも人間関係でも適切な判断をできるわけではないっぽい。

 

って感じだったんですな。自分の思考を客観視できても、それが感情的な場面にそのまま応用されるわけではないってことで、不思議なもんですなぁ。

 

そこで次の実験では、研究チームは、参加者に感情的な場面を読んでもらい、「どの対応がもっとも効果的か?」を選ぶように指示したとのこと。たとえば、

 

「アンドレは友人や家族がいる街を離れたが、思っていたほど友人たちが連絡してくれなかった。どう対応するのが効果的か?」

 

みたいな問題を読ませ、どのような対応が適切だと思うかを選んでもらったらしいんですよ。

 

すると、この実験で何がわかったかと言いますと、

 

  • 上記のような場面では、「旧友に連絡しつつ、新しい街でも人間関係を作る」という対策が最善と評価された(古い人間関係を維持しながら、新しい環境にも適応できるから)
  • 回答したあとで参加者に、「その選択が正しいという自信は、どれぐらいありますか?」と評価させてみると、参加者が選ぶ対応の質が向上した

 

って傾向があきらかになったんですな。

 

研究チームいわく、

 

自分の判断への自信を評価するよう求められた参加者は、自分の回答を深く考え直し、その場面に含まれる感情的な手がかりや、選んだ対処法の適切さを確認するようになった可能性がある。

 

とのこと。要するに、「私はこの判断に、どれぐらい自信があるだろう?」と自分に尋ねるだけで、ある程度まで感情の勢いにブレーキをかけ、より適切な対応を考えやすくなるってことですな。

 

たとえば、冒頭のドタキャンの例なら、メッセージを送る前に、

 

「この返信が最善だという自信は、100点満点で何点だろう?」

 

と考えてみる感じっすね。ここで、もし30点しかないなら、いま送るべきではない可能性が高いと判断できるし、「本当に相手は私を軽く扱っているのか?」「怒りをそのままぶつけるのが最善なのか?」「明日まで待ったほうが、言いたいことが正確に伝わるのでは?」といった別の可能性も見えやすくなるわけです。

 

そんなわけで、この手法を実際に試してみたい時は、以下のような質問を自分に投げてみるのがいいんじゃないでしょうか。

 

  • この反応が最善だという自信は何点か?

  • 明日の自分も同じ対応を選ぶだろうか?

  • この対応は、自分が本当に伝えたいことを表しているか?

  • 感情を伝えることと、相手を攻撃することを混同していないか?

  • ほかにもっと効果的な対応はないか?

 

感情知性というと、長年のトレーニングを必要とする高度な能力のように思えちゃうんだけど、今回の研究を見る限り、まずは大がかりなトレーニングを始めなくてもよさげ。怒りや不安が湧いた瞬間に正解を出そうとせず、

 

「この判断、本当に自信ある?」

 

と問い直すだけでもいいんじゃないでしょうか。

 

ちなみに、いまブロマガのほうでは「AI時代にこそ必要な「感情知性」を、あらためて学び直そう!」ってシリーズをやってまして、さらに使える感情調整の方法を紹介してますんで、興味がある方はあわせてどうぞー。

 

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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