今週の子ネタ:セフレ関係はどこまで幸せなのか?「住みやすい街」ってどんな街?男女の差を調べた研究って怪しくない?

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
セフレ関係はどこまで幸せなのか?のメタ分析
「セフレの関係は、普通の恋愛と比べて何が違うのか?」ってのを調べたメタ分析(R)が出ておりました。
研究チームは、セフレ(Friends with Benefits=FWB)を扱った過去の論文を検索し、基準を満たした38件の研究を分析。恋人がいる人や独身者と比べて、以下の5つがどう異なるのかをチェックしたんだそうな。
- 性的な行動や満足度
- 性感染症などの健康リスク
- 暴力や攻撃性
- 不安やうつなどの臨床的なメンタルヘルス
- 孤独感や嫉妬などの日常的な心理状態
で、分析の結果がどうだったかと言いますと、セフレには「気楽で安全な面」と「健康上のリスクが高い面」の両方があったらしい。具体的には、
- 性的な特徴については、セフレ関係のほうが他の関係よりも全体的に多様だった。普通の恋人同士は、深いキスや愛情を伴うスキンシップが多かったのに対し、セフレではもっと過激なプレイの割合が高め。これは、恋愛上の役割が少ないぶん、性的な実験をしやすいってことなんでしょうな。
- セフレ関係は、恋人がいる人や完全な独身者よりも性の健康リスクが高く、これは一度きりの相手とセックスする人と同じぐらいだった。まぁ、これはそうだろうなって感じですね。
- セフレ関係は、正式な恋人関係よりも、身体的暴力や感情的な虐待などが少ない傾向があった。これは、セフレのほうが関係をすぐ断ち切りやすいのに対して、恋人関係は問題が起きても簡単には別れられないのが原因だと思われる。
- メンタルヘルスについては、セフレ関係は、恋人がいる人や独身者より、不安、うつ、ストレスなどの問題がわずかに多かった。ただし、相関は弱いので、セフレ関係でメンタルが悪化すると断定できるほどではない。
って感じっすね。あくまで横断研究ではありますが、この研究を見る限りは「セフレ関係は拘束や暴力は少ない可能性があるが、性の健康リスクは高く、心理的にも少し不安定になりやすいかも」とは言えますかねぇ。
「住みやすい街」ってどんな街?
「住みやすい街ってどんな街?」ってのを調べた研究(R)が出ておりました。
これはウィスコンシン大学マディソン校などの研究で、チームは、2019年のアメリカ本土にある3,100郡のデータをチェック。住民が「自分が住んでいる土地に対してどんな選択をしたか?」ってのを、大きく次の3つに分けて分析したんだそうな。
- 移る:その地域にどれだけ人が入ってきて、出ていくか
- とどまる:転入した住民が、その後も住み続けるか
- 関与する:家を買う、会社を作る、家庭を築くといった長期的な行動を取るか
さらに、通勤時間、持ち家率、起業件数、出生率などを組み合わせ、地域ごとの「生活の質指数」を作ったらしいですな。一般的な「住みやすい街ランキング」とかだと、家賃、治安、交通の便、自然の多さなどを点数化することが多いですけど、ここでは「そこに住んでいる人がどんな行動を取ったか?」を目安にしたわけっすね。確かに、口では何とでも言えても、実際に住み続けるかどうかはごまかしにくいですから、こっちのほうが正確な情報が得られそうな気がしますな。
で、その結果、「生活の質が高い!」と判断された地域には、以下の傾向が見られたらしい。
- 転入と転出がともに多く、人口の動きが活発
- 引っ越してきた人が、その後も住み続けやすい
- 通勤時間が短い
- 持ち家率が低い
- 起業家が多い
- 子どもがいる家庭が多い
ってことで、どれも納得感がありますけど、なかでも「居住者の定着率」「持ち家率」「転入率」「通勤の短さ」の4項目だけで、指数の重みの87%を占めてたってのが面白いところ。簡単に言えば、「人が入ってきて、住み続け、職場にも通いやすい」という状態が、地域の魅力を強く表してたってことですな。これはたぶん、日本でも同じでしょうねぇ。
あと、その他の傾向をチェックしておくと、
- 生活の質が高い地域ほど「持ち家率が低い」傾向があった。これはおそらく、魅力的な都市ほど住宅価格が高く、若者や転入者、賃貸暮らしの住民が増えやすいってことなんでしょうな。
- 平均的には都市部のほうが高スコアだったが、地方でも大学や軍事施設、大きな産業、美しい自然環境など、人を引きつける何らかの核がある地域はスコアが高かった。
- 上位の地域では、政治献金や平和的な抗議活動などの市民参加も活発だったとのこと。政治の透明性とか、住民が行政に関わりやすい環境も大事なんでしょうねぇ。
みたいな感じになってました。まぁ、この指数だけで因果関係はわからんものの、これから街選びをするなら、平均家賃や治安だけでなく、「転入した人が何年後も残っているか」「通勤にどれだけ時間を使っているか」「新しい商売や家庭が生まれているか」まで確認すると、いいかもですな。
男女の差を調べた研究って怪しくない?問題
よく「この治療は男性にだけ効く!」「ストレスへの反応は男女で違う!」みたいな話がありまして、こういった説は世間の耳目をひきやすいもんです。男女差ネタはネットの華ですからね。
が、近ごろ出た研究(R)は、「研究で確認された男女差ってホントは怪しくない?」って考え方を提示してて勉強になりました。
ここで研究チームは、過去の脳科学や行動科学の論文から、タイトルに「性別によって効果が異なる」と明記したものを検索。そのうち代表的な200本を選び、本当に男女の反応を統計的に比較しているかをチェックしたんだそうな。面白いっすねぇ。
すると、その結果は、けっこう厳しいものでして、
- 男女差の主張を裏づける、適切な統計比較があった論文は、全体の4分の1未満だった
- 半数以上の論文は、男女を直接比較していなかった
- 9%弱は、論文タイトルの主張と統計結果が食い違っていた
- 研究計画を事前登録していた論文は、200本中わずか2本だった
って感じだったんですな。つまり、「男女で効果が違う!」とタイトルに書いたのに、実際にはちゃんと男女差を調べてない論文が大量にあったわけです。ひえー。
ただ、これは昔からよく噂されてたことではあったりします。たとえば、ある治療法を試した場合に、
- 男性グループでは統計的に有意な改善が出た
- 女性グループでは有意な改善が出なかった
という結果が得られたとしましょう。これだけ見ると、つい「治療は男性にだけ効いた!」と結論したくなるんですが、これは統計学的には正しくないんですよ。「男性では有意だった」と「女性では有意でなかった」の間に、有意な差があるとは限らないんで(たとえば、男性は症状が10ポイント改善し、女性は8ポイント改善していたものの、女性グループの人数が少なくて有意差が出なかっただけかもしれない)。
この時、本当に男女の差を主張したいなら、「男性の変化」と「女性の変化」を直に比べる交互作用の検定などが必須なはず。ところが、多くの研究は男女を別々に分析しただけで、「片方だけ有意だったから男女差がある」と判断していたんですな。
ちなみに、分野別に見ると、適切な検定を行っていた割合は、心理学で約39%、脳科学では約18%だったとのこと。こいつはかなりの問題ですけども、このような分析上の問題があっても、有名な学術誌への掲載や被引用数にはほぼ影響がなかったというからビックリであります。「男女差」ってテーマは注目を集めやすいから、チェックも甘くなるんですかねぇ。
ってことで、これから「男女差が見つかった!」ってニュースが出たら、「男女を直接比較した結果なのか? 」ってとこにもうちょい注意しなきゃいかんのでしょうなぁ。


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