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在宅ワークと出社はどう使い分けると生産性が上がるの?を調べた研究の話

   


在宅ワークはアリかナシか?」って問題には諸説ありまして、

 

  • 完全リモートのほうが、人間関係のわずらわしさがないから幸福度が上がるのだ!(実際、そういうデータもある)
  • 在宅ワークは、孤独感が増えるし、職場への帰属意識も下がるのだ!(実際、この見解を支持するデータもある)

 

といった両極の意見があったりします。確かに、どちらも納得できる意見ですわな。

 

というわけで、この問題については、いまのところ「結局は、仕事の内容や本人の性格によって使い分けるのが良さそう」ぐらいのあいまいな見解しか出せない感じですが、新しい研究(R)では、

 

  • 出勤における最大のメリットは「雑談」なのだ! こいつが失われるデメリットは、在宅ワークのメリットを上回るのだ!

 

って結論になってまして、「なるほどなー」とか思ったりしました。

 

これはコンスタンツ大学などの研究で、ハイブリッド勤務をしている会社員を対象に、毎日の働き方と心理状態を追跡したもの。研究チームは2つの調査を行ってまして、

 

  • 研究1:イギリスのハイブリッド勤務者119人を5日間追跡
  • 研究2:ドイツのハイブリッド勤務者171人を10日間追跡

 

という感じになっております。いずれの調査も、参加者に1日に何度かアンケートに答えてもらい、

 

  • 今日は自宅勤務かオフィス勤務か?
  • 同僚とどれぐらい雑談したか?
  • 同僚との会話で元気が出たか?
  • 職場の一員だと感じたか?
  • 自分らしさや能力を認めてもらえていると感じたか?

 

といったポイントをチェックしたんだそうな。「在宅ワークをする人」と「出社する人」を単純に比べるのではなく、同じ人でも、在宅の日と出社の日ではどう変わるのか?を調べてるのがいいところですね。これだと、性格や社交性の違いをそこそこ取り除けるんで。

 

で、分析の結果はわりと明快でして、

 

  • 在宅ワークの日は、オフィス勤務の日より同僚との雑談がかなり減る(まあ、これは当然)

 

  • この雑談の減少により、同僚との交流から得られるエネルギーが下がり、職場への帰属意識が下がるという現象も見られた

 

みたいな感じだったそうな。雑談って、思ったより大事なんだなーって話っすね。

 

研究チームは、この「人と話したあとに、なんとなく元気になる感じ」を「関係性エネルギー(relational energy)」と呼んでおります。在宅ワークの問題ってのは、この雑談による関係性エネルギーが減るところにあるんじゃないか、と。

 

でもって、さらに研究チームが全体をまとめて分析したところ、

 

  • 在宅ワークは、確かに仕事の集中力を上げてくれるが、雑談が減ることによる社会的コストのほうが大きかった!

 

って結果だったそうな。つまり在宅ワークは、個人の生産性は上げるかもだけど、組織全体の生産性は下げるかもしれないわけっすね。

 

ちなみに、ここで研究チームは、「在宅ワークでも、カフェの店員さんなどと話せば問題ないのでは?」って疑問についても調べてまして、こんな結果を報告しております。

 

  • 職場外の人との雑談は、仕事上の関係性エネルギーの代わりにはならなかった!

 

これはちょっと意外な結果で、どうも私たちは「誰かと話せばいい」ってわけではなく、自分が所属している集団のメンバーと交流することに独自の意味を見いだしてるっぽいんですな。まぁ、同僚と話をしないと会社への帰属感は高まらんでしょうな。

 

では、在宅ワークのデメリットはどう補えばいいのか?ってことで、研究チームは「オンライン会議でちょっとした雑談をすれば?」と指摘しておられます。たとえば、会議の冒頭で「最近どうです?」と聞いたり、仕事以外の近況を少し話したり、みたいなことですな。

 

研究では、こうした習慣を「社会的なオンライン会議の儀式social virtual meeting rituals)」と呼んでおります。何でも、この習慣を取り入れている職場では、在宅ワークによる社会的な悪影響が小さかったんだそうな。オンライン会議の前に、2〜3分しゃべるだけでもいいんだそうで、これは手軽でいいですな。

 

なので、このデータを見て、個人的には「在宅ワークと出勤のメリットを活かすのが良さそうだなー」と思いまして、たとえば、

 

  • 一人で集中して資料を作りたい → 在宅
  • 面倒な分析を片づけたい → 在宅
  • チームとの関係を作りたい → 出社
  • 新人を育てたい → 出社
  • アイデアを交換したい → 出社

 

みたいな感じで使いわけるといいんじゃないかと思った次第です。在宅ワークは「集中」に向いてるし、一方でオフィス勤務は「社会的な接触」が大事なんで。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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