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夜勤のダメージをやわらげるのは難しいが、この食事法ならある程度はなんとかなるかも!という実験の話




シフトワークが体に悪いってのはそこそこ確実な話で、「科学的な適職」にもくわしい話を書いてたりします。睡眠時間がお日様の運行とズレると、どうしても体内のストレスレベルがあがっちゃうんですよね。


そんなわけで、いまシフトワークに従事している方から「なんかダメージをやわらげる方法はないですか?」みたいなご質問をよく受けたりもするわけですが、なかなかこれといった対策がないのが現状ではあります。結局のところ、日ごろの睡眠の質を高めるしかないよなぁ……ぐらいの結論だったんですよね。


といったところで、「夜勤の人はこんな風に食事をしよう!」みたいなデータ(R)が出まして、ちょっと参考になりそうでした。


これは南オーストラリア大学などの研究で、「夜勤の人はどんな風に食事をしたら眠気や疲労感が悪化しないで済むの?」ってポイントを調べたものです。夜勤のあいだにガッと食事をすると、どうしても眠気が起きたりパフォーマンスが下がったりするもんですが、この問題を緩和する方法はないのか?ってことですね。


参加者はシフトワークをしたことがない健康な男女44人で、全体を3つのグループに分けてます。

  1. 夜の0時半にしっかりした食事をとる(1日に必要なエネルギーの30%)
  2. 夜の0時半に軽い食事をとる(1日に必要なエネルギーの10%)
  3. 夜食は取らない

でもって、全員をラボに呼んで7日間だけ模擬のシフトワークにチャレンジしてもらい、

  • 眠気
  • 胃の不調
  • 空腹感
  • パフォーマンス(ドライブシュミレーターで測定)

ってポイントを21:00、23:30、2:30、5:00の4ポイントでチェックしたそうな。ちなみに軽食を割り当てられたグループには、リンゴとミューズリーバーが配給されたとのこと。


で、どんな結果が出たのかと言いますと、

  • 夜食を抜いたグループは食欲が増加したが、その他の2グループには有意差がなかった
  • 胃の不快感についてはどのグループも差がなかった
  • パフォーマンスについては、軽食グループがもっとも反応スピードが速く、安全に運転を行うことができた(ちゃんと食事したグループの成績が一番悪かった)

みたいになってます。夜勤のときはフルーツをちょっとぐらいの軽食が、もっともパフォーマンス維持に役立つんじゃないか、と。


研究チームいわく、

夜勤で軽食を食べることにより、あなたの注意力とパフォーマンスは最適化され、目立った悪影響も確認されなかった。今後は、さらにどのような軽食が良いのかを深く調べるつもりだ。

というのも、多くのシフトワーカーは夜勤で何度も不健康な軽食を食べており、ポテトチップ、チョコレート、ファストフードといった高脂肪食を多く食べる傾向がある。果たして、健康的な軽食と不健康な軽食のどちらがパフォーマンス向上に役立つのかを今後は評価するつもりだ。

とのこと。今回の研究では、とりあえず「夜勤中は必要なカロリーの10%ぐらいの軽食がいいよ!(だいたい200~300kcalぐらい)」って結論が出たわけですが、具体的にどんな食事がいいのか?ってとこは今後の課題っすね。


もちろん、これはシフトワークに慣れてない人が対象なんで、夜勤慣れしてる人だとどうなのかはようわからんですし、軽食が長期的にあたえる影響も謎のままではあります。そこらへんは注意が必要ながら、夜勤が多い方はお試しいただくといいかもしれません。

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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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