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今週末の小ネタ:不安と抑うつにビタミンD? ベータアラニンで気分と認知機能が改善? オーガニックでがんリスクは減る? プロテインで筋肉痛が改善?


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

  

 

 

 

不安と抑うつにビタミンDサプリが効く?

ビタミンDのサプリがうつ病と不安の症状を軽減するかも?」ってデータ(R)が出ておりました。毎度おなじみビタミンD が、高齢者のメンタルに効くかも?みたいな話であります。

 

 

これは、糖尿病予備軍の高齢者90名(平均74歳)を対象にした試験で、平均ビタミンD濃度は20ng/mLだったとのこと。試験期間は12ヶ月で、全体を2つのグループにわけた後で、

 

  1. 毎週25,000 IUのビタミンDを摂取するサプリメントグループ
  2. 何も飲まないコントロールグループ

 

といういずれかへランダムに割り当てたそうな。そのうえで、6ヵ月後と12ヵ月後に全員のメンタルを評価したところ、結果は以下のようになりました。

 

  • コントロールグループと比較して、ビタミンDのサプリは、6ヶ月後および12ヶ月後の両方において、不安およびうつ病の症状を改善さした。

 

  • 血中のビタミンDレベルも、サプリグループのほうが、6ヶ月後(27ng/mL vs. 20ng/mL)および12ヶ月後(29ng/mL vs. 20ng/mL)に高かった。

 

そんなわけで、どうやらビタミンDはメンタルに良さげな雰囲気ですね。ただし、この研究は、試験がスタートした時点で、参加者のうつ病スコアは中等度から重度だったそうなんで、おそらく現時点でメンタルが安定した人がサプリを飲んでも、あんま意味はないでしょうが。

 

 

 

 

ベータアラニンで気分と認知機能が改善?

運動サプリとして有名なベータアラニンに、「脳の働きと気分を改善する働きがあるかも?」ってデータ(R)が出ておりました。




こちらは、健康な79名の高齢者(60~80歳、ほとんどが女性)を対象とした試験で、

 

  1. 1日あたり2.4gのベータアラニンを飲む

  2. プラセボを飲む

 

 

って2つのグループにランダムに割り付け、10週間ほど飲み続けてもらったそうな。そして、ベータアラニンの効果がどうだったかと言いますと、

 

 

  • ベータアラニンのサプリは、プラセボと比較してうつ病の症状を改善した。

 

  • ただし、それ以外の指標においては、グループ間に差は認められなかった。

 

  • また、軽度の認知障害に悩む参加者にサブグループ分析を行ったところ、ベータアラニンを補給した参加者は、認知スコアが最大14%改善した。

 

 

みたいになります。食事の内容などはモニタリングしていないので、そこらへんは「どうなのかなー」と思うところがありつつも、脳の働きが鈍ってきた高齢者の方であれば、ベータアラニンはアリかなーと思っております。個人的にも、運動用サプリとして使い始めようかな……。

 

 

 

 

オーガニックでがんリスクは減るか?

有機食品って『がん』の予防になるの?」って観察研究(R)が出ておりました。オーガニックフードというと、いかにも体に良さそうなイメージがありますが、果たして『がん』についてはどうなのか、と。

 


こちらはデンマークの成人41,928人(58~66歳)を対象にした調査で、みんながどのような食事をしているのかを調べ、

 

  • 普段オーガニックフードを食べているか?
  • 全員がどれぐらいがんになったか?

 

ってところを比較したんだそうな。調査の期間は中央値で15年間だったとのことで、なかなか大規模な研究ですね。

 

 

で、結果はこんな感じです。

 

  • 追跡した期間のあいだのがん症例は9,675件だった。

 

  • オーガニックフードを食べても、がんリスクが減るわけではなかった

 

  • 唯一、胃がんのみオーガニックフードによってリスクが50%下がるという結果が見られたが、これはおそらく偶然だと思われる(p値がアレなので)。

 

ってことで、私としては「がん予防にオーガニックフードを食べるのは、おそらく無意味なんだろうなぁ……」という印象を新たにしたことでした。

 

 

 

 

プロテインで筋肉痛が改善?

プロテインで筋肉痛は改善する?」って問題を調べたメタ分析(R)が出てたりしました。

 


こちらは673名の健康な成人が対象で、筋トレとプロテインに関する先行研究から40件を分析。筋トレの後にプロテインを飲むことで、その後の運動のパフォーマンスや筋肉のダメージにどんな変化が出るのかを調べて、参考になる結果を出してくれてます。

 

 

では、細かいところは飛ばして、結果をざっくり抽出してみましょうー。

 

 

  • 運動の前か後にプロテインを飲むと、プラセボの飲料と比較して、筋トレ後のパフォーマンス低下を、中から大程度の効果サイズで抑制した。

 

  • ただし、プロテインを飲んだところで、筋トレ後の筋肉痛は改善しなかった。

 

  • とはいえ、プロテインを飲むことにより、筋トレから72時間が過ぎた後のクレアチンキナーゼの上昇を、中から大程度の効果サイズで抑制した(つまり、筋肉のダメージが減少した)。

 

 

とのことで、これを見る限り、筋トレの前後にプロテインを飲むことで、筋肉の客観的なダメージが減り、それによって運動のパフォーマンスが上がりそうではあります。

 

 

まぁ、全体のデータを見てみると、ここに含まれる研究の質は決して高くないので、上記の結論はやや信頼性が低いものとお考えください(サブグループ分析もないですしね)。とはいえ、筋トレ前後のプロテインは割とよさげなので、試してみてもいいかもですねー。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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