全米「最高の食事法はこれだ!」ランキングのワースト3位ざっくり紹介するエントリ
昨日は「全米健康的な食事ランキング」のトップ3を紹介したので、今回はワースト3を見てみましょう。
簡単におさらいすると、これはUSニューズ&ワールド・レポートさんが毎年やってる「最高の食事法」の格付けみたいなもので、有名な食事法の効果をランキングにしてるんですよ(R)。医師、登録栄養士、疫学者を含む43人の専門家の意見をもとに、「最高の食事法はなに?」を決めてくれたんですな。
では、そのなかで「最も体に良くない」と判断された下位3位は、以下のようになりました。
28位:デュカン・ダイエット
1970年代にフランスの栄養学者ピエール・デュカンが提唱した食事法。日本ではマイナーな方法ですが、すごーく簡単に言えば、低炭水化物+高タンパク質を目指す食事法になってます。
デュカンダイエットは、体脂肪を減らしつつリバウンドを食い止めるようにデザインされていて、まずは低糖質ダイエットでおなじみのケトーシスを目指します。いわゆる体が脂肪をエネルギーとして燃焼する代謝する状態ですね。
そのために、この食事法では、「68種類の肉なら好きなだけ食べてもよい」「1日大さじ1.5杯のオートブランを摂取する」ってやり方を1週間ほど続けることを推奨しております。日本の肉食ダイエットにも、ちょっと近い内容ですね。
ただし、この考え方には昔から批判が多くて(R)、クリーブランド・クリニックなどの指摘では、
- デュカンダイエットの減量効果を指示するようなデータがないよ!
- そもそも、食事のルールが厳しすぎて、だいたいの人は失敗か挫折しちゃうでしょ!
- タンパク質だけを1週間摂り続けたら、炭水化物が不足して疲れちゃうし、野菜を摂らないせいでビタミンも不足しちゃうでしょ!
といったあたりが批判されてますね。ちなみに、2015年の研究(R)では、デュカンダイエットを実践した女性は、ビタミンCの値と葉酸の数値が低くなってまして、「このダイエットを続けると、腎臓病や肝臓病、骨粗しょう症、心血管疾患などの健康上のリスクが生じる」と指摘されてたりもします。ダイエット法に限らず、極端なものからは距離を置くのが得策っすね。
第29位:ハーバライフ・ダイエット
こちらは1980年代に流行した食事法で、サプリの販売メーカーが開発したもの。体重を減らすことを目指してデザインされてまして、
- 1日2000キロカロリーを超えないように食べる。
- 朝食と昼食に無脂肪牛乳を使ったハーバライフのミール・リプレースメント・シェイクを2杯飲む
というルールで構成されてたりします。日本で言う「置き換えダイエット」に近いですね。
完全に商品マーケティングのために開発されたダイエット法でして、2種類のシェイクとわずかな夕食だけではタンパク質が不足しちゃうので、ハーバライフ社は、追加でプロテイン・パウダーも買うように勧めてたりします。がめついですねぇ。
ハーバライフのサプリメントは、それぞれ独自の機能が主張されていて、「水分によるむくみを減らす」「血糖値のコントロールを助ける」「活力が上がる」と言ってたりするんですが、いまのところこれらの主張を確認した研究はゼロ。個人的にもサプリやシェイクで痩せようとするのは、おすすめしないですね。
まぁ1日の食事のうち2食を無脂肪牛乳とシェイクに置き換えれば、トータルの摂取カロリーは減るでしょうが、安全性についてはかなり疑問符がつくダイエットと言えますね。日本の「置き換えダイエット」あたりも、同じような結論になるでしょうな。
第30位:ローフード・ダイエット
ローフード・ダイエットは、「調理した食品(特に野菜)は栄養価が下がる!」「だからこそ野菜は生で食べるのが至高!」って考え方の食事法です。
なんだか悪くはなさそうな気もしますが、いまのところの研究データは、以下のようになります。
- 2022年の研究(R)では、16人のローフードダイエッターと32人のベジタリアン、27人の雑食主義者を比べたところ、ローフドダイエッターは、平均してBMIと体脂肪率が低かったが、どっちかと言えば低体重のほうに分類され、ビタミンB12の欠乏や栄養失調の兆候も見られた。
- 1999年の研究(R)では、ほぼ4年間ローフードダイエットを続けた500人を対象とした男性の15%、女性の25%でBMIが正常値を下回り、45歳以下の女性の30%で生理がなくなっていた。
ということで、どうやらローフードダイエットは、栄養不足になりやすいダイエット法だと言えそうであります。まぁ調理をしないのだから仕方ないところっすね。
こうして見ると、ランキングの下位に入ったダイエット法は、「特定の栄養素を減らして体重を減らそうぜ!」(糖質とか置き換えとか)って考え方を重視しているのが問題になってますね。当然のことながら、特定の栄養素を削ると、なんらかの健康問題や低体重が発生しちゃうので、やらないほうが無難でしょう。特定の栄養や調理法をやたら悪者にするような食事法からは、距離を取るのが吉であります。