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オーガニック食品は本当に良いの?をガッツリ検証してみたらどうなったかを見てみましょう

 

「健康のためにはオーガニックが一番!」という考え方は多く、いつもの野菜よりちょっと高めの“有機”トマトや小松菜を買っている方も多いはず。オーガニックには、なんとなく「農薬少なそうだし、栄養も多そうだし」みたいなイメージがありますからね。

 

が、このブログを長く読んでいる方なら、私がオーガニックにいまいち乗り切れていないのはご存じでしょう。これまでの研究を見ていると、どうにもオーガニックだから栄養価が高いってわけでもなさそうだし、オーガニックだから安全ってこともなさそうなので。

 

ということで、近ごろ発表された系統的レビュー(R)は、オーガニックのメリットをがっつり調べてくれていてとてもよろしいです。

 

これは147の研究をもとにした巨大な系統的レビューでして、研究チームは、以下のようにオーガニックと通常の食品を比べています。


 

  • 比較した項目の数は656件

  • 野菜・果物・その他の食品68種を比べている

  • 栄養の指標は22項目
  • 残留農薬や重金属の量などもチェックしている

 

ってことで、類似の調査のなかではかなり徹底した内容になってまして、非常によろしいですな。

 

でもって、結果として導き出されたポイントは4つです。

 

1.栄養価:「オーガニックの圧勝」ではない

まず1つ目のポイントは、栄養面で比べてみると、オーガニック食品が一方的に優れているとは言えないって結論になっております。たしかに一部の研究では、オーガニックのほうがビタミンCなどの栄養素が多いって結果も出てるんだけど、それと同時に、通常の野菜のほうがリコピンやβカロテンといった抗酸化物質を多く含んでいたというデータも存在するんだそうな。

 

つまり、どちらのほうが勝ちってことは言えず、食品の種類や成分によってその優劣はまちまち。全体としては、オーガニックに明確な優位性が確認されたわけではないってことですね。

 

 

2.安全性:「重金属もピンキリ、農薬も基準内」

続いて、最も気になる安全性についても、イメージと実際のデータの間にギャップがあることが指摘されております。多くの人は「オーガニック=農薬がゼロで安全」と考えがちなんだけど、実際にはオーガニックにも農薬(天然由来のものなど)が使われることがあるし、逆に通常の農業で作られた食品でも残留農薬は厳格な基準のもとで管理されているので、健康に悪影響を及ぼすようなレベルでは基本的に存在しないんですな。

 

さらに興味深いのは、場合によってはオーガニック食品の方が重金属や硝酸塩といったヤバめの成分が多く含まれることもあるんだそうな。「オーガニック=無条件に安全」という認識は、科学的には支持されていない感じっすね。

 

 

 

3.食事の質:オーガニックかどうかは“二の次”

 

3つ目に大事なのが、食事全体の質を左右するのは「オーガニックかどうか」ではなく、もっと本質的な要素だって指摘であります。具体的には、未加工または加工度の低い食品を中心に構成された食事は、オーガニックかどうかを考えるよりも、健康にとってはるかに重要であるとされてまして、この見解には私も大賛成っすね。つまり、同じ“有機”であっても、オーガニッククッキーやオーガニックスナック菓子を食べていたら意味がなく、加工度の低い通常の食品を選んでいた方が、むしろ健康になれる可能性が高いってことですな。

 

 

 

4.「オーガニック信仰」は思い込みの影響が大きい

4つ目のポイントは、「オーガニックは体に良い!」って考え方が、観察研究から導き出された結論だってとこです。たしかに、「オーガニック食品を食べている人は健康だ!」って報告はあるんだけど、いずれも観察研究なんで因果関係がよくわからんのですよね。

 

実際、オーガニック食品を選ぶ人は、もともと健康意識が高く、運動習慣があり、全体的に食生活も整っていることが多いんで、どうしても観察研究だと「オーガニックを食べる人ほど健康」という結果が出やすくなっちゃうんですよね。しかし、それってのは「オーガニック食品が健康をもたらした」わけではなく、「健康意識の高い人がオーガニックを選ぶ傾向にある」可能性が高いんで、かなり誤解を招きやすいところではありましょう。

 

ってことで、この系統的レビューの結論を一言で表すなら、

 

  • オーガニックフードに、価格差ほどの栄養差・健康差は確認されない!

 

みたいになります。特に注目したいのが以下の指摘でして、

 

「オーガニックは一部の栄養素で優れているが、他の栄養素で劣ることもある。全体的に見れば、栄養面での優位性は一貫していない」

 

ってのは大事なとこでしょう。オーガニックの価格は、通常食品の1.5倍〜2倍が一般的なんだけど、その価格差に見合うだけの一貫した栄養上のアドバンテージは示されていないって指摘は頭に入れておきたいところですね。

 

もちろん、「オーガニックを選ぶのはムダ」とまでは言わなくて、動物福祉へのこだわりや個人的なポリシーや価値観でオーガニックを選ぶのは全然アリだと思います。ただし、「なんとなく体に良さそうだから」「農薬ゼロだから安全そう」ぐらいで手をだすと、もったいない可能性があるんで注意してくださいませ。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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