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「自然セラピー」完全ガイド#1「自分に向いている自然との触れ合い方ってなに?」

  

 

「自然のなかで過ごすとメンタルが改善!」なんて話はもはや常識ですが、ここ数年は、この「自然とメンタルの関係」に関する研究がどんどん進んでまして、いよいよ疑いようのないレベルになってきてるんですよね。それも、単なる「気分がよくなる」みたいなレベルじゃなくて、実際に認知機能やメンタルヘルスに明確な効果があることが確認されてきてるわけです。

 

そのため、最近では「ネイチャーベースド・インターベンション(Nature-Based Intervention)」、略してNBIという考え方も注目されてたりします。直訳すれば「自然を使ったセラピー」みたいな感じですね。

 

そこで近ごろ面白かったのがRCSIやダブリン・シティ大学などによる系統的レビュー(R)で、過去のNBI研究61本をまとめたうえで、

 

  1. 自然ベースの介入(NBI)って、具体的にどんな種類があるの?
  2. 効果が出る人・出にくい人って何が違うの?

 

って2つの問題に取り組んでくれております。確かに「自然は良い!」と言っても、そこにはどうしても効果が出る人と出にくい人がいるんで、そこははっきりさせておきたいところですからねぇ。あと、個人的にも「森林浴とか園芸療法とか、似たようなの多すぎてよくわからんなー」って印象もありましたんで、全体像をまとめてくれたのはありがたいっすね。

 

で、ここではまず「自然セラピー」を13種類に分類してくれていて、これがなかなか使えます。

 

  1. 園芸療法:植物を育てる・世話をすることで心を整えるセラピー。ストレス軽減や気分改善、自己効力感アップに効果があると言われ、高齢者施設や精神科医療などでも多く用いられている。

  2. 自然曝露・自然観察:ただ自然にふれるだけ/自然の風景や映像を見るだけの方法。散歩、窓の外の木々を眺める、自然音を聴くといった簡単な介入で、都市部でも実践しやすい。

  3. グリーンエクササイズ:自然の中で身体を動かす運動療法。例:公園でのウォーキング、森でのジョギングなど。運動と自然の相乗効果で、気分や集中力がアップ。

  4. アドベンチャーセラピー/野外療法:キャンプや登山など、ちょっとハードな自然体験を通じてメンタルを鍛える。ストレス耐性や自己肯定感、レジリエンスを高めるのが狙い。青少年向けのプログラムに多い。

  5. 森林浴・森林セラピー:森の中で五感を使って自然と一体化するマインドフルネス。メンタルの安定や血圧の低下、免疫機能の改善が報告されている。

  6. ブルースペース介入:海、川、湖など水辺の自然と関わる療法。水の音や景色には独自の癒し効果があるとされ、例としては浜辺の散歩、水泳、SUP(パドルボード)などが含まれる。

  7. ケアファーミング:農作業をセラピーとして活用する手法。例:畑での収穫や動物の世話を通じて、心身の回復や社会的スキルを育む。

  8. ネイチャープレイ:自然の中で自由に遊ぶことで、子どもの発達を促す方法。泥遊び、木登り、水辺での探検など。創造力や協調性、身体感覚の発達に効果がある。

  9. 自然を活用した教育:自然環境を「教室」として活用する教育手法。森の中の授業、屋外科学実験など。学習効果だけでなく、注意力や感情調整力の向上も期待される。

  10. 環境ボランティア:自然保護活動を通じて、心身の健康を回復する方法。例:植林、ゴミ拾い、トレイル整備など。

  11. 没入型自然体験/文化的自然習慣:アウトドア文化をライフスタイルとして楽しむアプローチ。北欧の「フリルフスリフ」など、自然と日常的に深く関わる暮らし方みたいなのが代表例。

  12. カントリーケア:先住民文化に根ざした「土地との関係性」を回復するアプローチ。自然との霊的・歴史的なつながりを通して、コミュニティと個人の回復を目指す。特にオーストラリアの先住民に多い。

  13. 自然支援療法・エコセラピー:広義の「自然を使った心身ケア」の総称。上記のすべてを含む“総合ジャンル”的な立ち位置で、園芸・森林浴・農業などの自然介入を治療として活用するアプローチ全般を指す。

 

というわけで、ここらへんが研究の裏付けがある「自然セラピー」ってことなんで、ここから自分に合いそうなものを選んで週1ぐらいのペースでやっていただければと。

 

が、そうは言っても「自分に合うものってなに?」って疑問もわくでしょうが、この研究では、ありがたいことに「自然セラピーの効果を左右する要因」みたいなものもピックアップしてくれております。かゆいところに手が届く研究ですな。

 

研究チームは、「自然セラピーの効果に影響する因子」を、11種類にまとめております。こちらも大変役立つリストなので、ざっくり説明しときます。

 

  1.  社会的要素:誰と一緒にやるか、が効果を左右するよ!って観点。一人で自然と向き合う場合と、グループで活動する場合とで効果が異なる。


  2. 身体活動レベル:運動要素の有無でも、効果がブーストされる。自然セラピーの中でも、運動が含まれるタイプ(例:森林ウォーキング、グリーンエクササイズ)は、運動による気分改善効果も加わってナイス。


  3. 年齢:年齢によって、自然セラピーの効果の出方が変わるよ!という話。たとえば、小学生(7〜12歳)と高校生では、自然の恩恵を受ける感度が違ったりする。


  4. 自然とのつながり感:「自然が好き」な人ほど効果を感じやすく、自然との一体感・親近感が強いほど、自然セラピーの影響は大きくなる傾向ある。


  5. 継続時間と頻度:短時間でも効果はあるが、続けるほど効く。1回20分でも効果は出るものの、週2〜3回以上・5週間以上の継続で安定した改善が見られやすい。


  6. 性別:男女で効果の出方に違いがあることもある。たとえば、学校のグリーンエクササイズでは、男子より女子の方が運動のメンタル効果を得やすい傾向がある。

  7. 症状の重さ:症状が重いほど、効果が出やすいケースも。統合失調症の患者を対象にした研究では、中程度の症状の人の方が改善効果が大きかった。


  8. 自然環境のタイプ:森、海、公園…場所によって効果が変わる。たとえば、屋外での園芸は、屋内よりも大きな効果が報告されてたりする。


  9. モチベーションと好み:本人が「やりたい」と思うかどうかが超重要だよ!という観点。「自分で選んだ活動」かどうかで、自然セラピーの効果は大きく変わる。


  10. 挑戦・困難の体験:困難を乗り越えることで、自己効力感が上がる。登山やキャンプなど、ちょっとハードな自然体験は、メンタルのタフさ(レジリエンス)を高める。


  11. 自律性・責任・スキル獲得:「自分の力でやっている」感が効果を生むよ!という観点。新しいスキルを覚えたり、自分の判断で自然と関わることで、自己効力感や認知機能が高まりやすくなる。

 

ということで、ひとくちに「自然セラピー」といっても、効果を左右する諸条件がいろいろあることがおわかりいただけたんじゃないかと。ただし、これだけ見てもまだ「自分に適した手法はなにか?」ってのは見えづらいでしょうから、次回はこの文献をさらに拡張して、自分のメンタルを改善するのに向いている手法セラピーとは?を掘り下げてみましょうー。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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