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LDLコレステロールが高いせいで病気になりそうな人は、どんな食事をすればいいのか?問題

 

「LDLコレステロールは食事が大事!」ってのはよくきく話。かくいう私も生まれつきLDLコレステロールが高くなりやすい傾向があるため、定期的にオオバコのサプリを飲んで対策をしております。

 

では、実際のところ、「LDLコレステロールは食事の改善でどれぐらい下げられるのか?」ってことで、カナダの研究チームが行ったランダム化クロスオーバー試験(R)を見てみましょう。

 

ここで対象になったのは、家族性高コレステロール血症に悩む19〜58歳の男女50名。家族性高コレステロール血症ってのは、ざっくり言えば「血液中のLDLを肝臓が回収しづらい体質」のことです。そのせいで、若い頃からLDLが高くなりやすく、動脈硬化性の心血管疾患リスクも上がりやすいんですな。

 

でもって、この研究では、参加者を、

 

  1. 西洋型の食事
  2. 健康的な植物性食品中心の食事

 

の2パターンに割り当て、それぞれ4週間ずつ試すように指示。ありがたいことに、ここでは研究チームが必要な食事をすべて用意する「完全給食型」を採用してまして、「頑張ってるなぁ」って印象の実験デザインになっております。この手の研究って、だいたい食事については自己申告制だったりするんで、今回の結果は、食事の影響をかなり正確に見られるんじゃないかと。

 

そこで、なにがわかったかと言いますと、

 

  • 植物性食品中心の食事をしたグループは、西洋型の食事をしたグループに比べて、

    • LDLコレステロールが18%低下(約50mg/dL低下)!
    • アポリポタンパクBが15%低下!

 

という結果になったんですな。アポリポタンパクB(ApoB)は、動脈硬化を起こしうるリポタンパク質の「粒子数」を大まかに反映する指標であります。LDLコレステロールだけでなくApoBも下がったのは、なかなか「おっ!いい感じじゃない!」ってポイントでしょう。

 

で、この結果を見ると、「肉をやめればいいのか!」って印象を持ってしまうかもですが、今回のポイントは、単に植物性食品を増やしたことではなく、食事全体の中身が変わったところにあるんでしょう。というのも、植物性食品を中心にした食事では、1日2500kcalあたりで見ると、

 

 西洋型の食事植物性食品中心の食事
食物繊維22g48g
飽和脂肪酸総カロリーの12%総カロリーの6.5%
一価不飽和脂肪酸14%16.5%
多価不飽和脂肪酸7%10%
食事由来コレステロール366mg203mg

 

みたいな感じになってるんですよ。なかでも重要なのは、飽和脂肪酸を減らし、そのぶん不飽和脂肪酸を増やした点でして、今回のデータを見てみると、

 

  • 飽和脂肪酸は、バター、脂身の多い肉、加工肉、全脂乳製品、ココナッツオイルなどに多く含まれる。

  • これを、ナッツ、種子、魚、植物油などに多い不飽和脂肪酸に置き換えると、LDLは下がりやすい。

  • さらに、置き換え先が一価不飽和脂肪酸よりも、多価不飽和脂肪酸に寄っているほうが、LDL低下は大きくなりやすい。

 

ってのは言えるでしょうね。多価不飽和脂肪酸ってのは、もちろんサバやイワシなどの青魚が代表例ですけども、LDLを下げることに限れば、菜種油や大豆油なども十分に有力な選択肢になるでしょうな(もちろん、めっちゃ新鮮であることが条件ですけど)。

 

でもって、もうひとつ大事なのが、植物性食品中心の食事では、食物繊維が22gから48gへと大幅に増えてるとこでしょう。食物繊維のなかでも、LDLコレステロールの低下で特に期待できるのは、水に溶けて粘りを出すタイプの水溶性食物繊維であります。代表例は、オート麦や大麦のβグルカン、オオバコ由来のサイリウム、豆類、果物などで、私はサイリウムを使ってますね。この手の食物繊維は、胆汁酸の排出を促し、結果として肝臓が血液中のLDLを回収しやすくなる方向に働くと考えられてますんで。

 

さらに言えば、おそらくLDLを下げる食事法としては、現時点では「ポートフォリオ食」が最も良いでしょう。これは、複数のLDLコレステロール対策をまとめて実行する方法で、基本的には、

 

  • ナッツを毎日ひと握り程度
  • 大豆製品や豆類などの植物性たんぱく質
  • オート麦、大麦、サイリウムなどの粘性水溶性食物繊維
  • 植物ステロール入り食品

 

を組み合わせる感じっすね。実際のところ、過去に出たメタ分析(R)によれば、ポートフォリオ食によってLDL-Cは約17%、ApoBは約15%下がっております。今回の植物性食品中心の食事と近い数字ですが、ポートフォリオ食の試験では、比較対象も「低飽和脂肪・低コレステロール食」であるケースが多いんで、西洋型の食事からポートフォリオ食に変えた場合は、さらにメリットが大きくなる可能性があるんじゃないかと。

 

まぁ、注意点としては、今回のデータの参加者は、植物性食品中心の食事を4週間続けても、LDLコレステロールが理想的な範囲まで下がったわけじゃないってところは頭に入れておきたいっすね。そもそも家族性高コレステロール血症は、そもそもLDL受容体の働きがトラブってることが多いんで、食事だけで十分なメリットを得られない人も多いんですよ。

 

とはいえ、それでも食事の改善には価値がありますんで、

 

  • 飽和脂肪酸を減らし、不飽和脂肪酸に置き換える

  • 水溶性食物繊維を増やす

  • ナッツ、豆類、全粒穀物を食事の土台にする

  • 必要なら薬物療法も使う

 

という形で、複数の手法を段積みしていくのが現実的でしょう。コレステロールに関しては「やれることはすべてやる!」って発想が大事になるんでしょうなぁ。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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