生成AIは仕事を奪う?とか悩む前に、もっと考えることがあるだろう!みたいな話
「生成AIって、実際の職場ではどれぐらい使われてるの?」って問題を調べた研究(R)が面白かったのでメモ。「AIで何をできるか?」じゃなくて、あくまで現実の職場で、みんなどんな作業にAIを使っているのか?を調べたのがポイントっすね。
約5000人ずつに「仕事のどこでAIを使ってます?」を尋ねる
これはハーバード大学などの研究で、研究チームは5000人の回答者に対して、
- 普段どの作業をしているか
- その作業に生成AIを使っているか
をひとつずつ答えるように指示。しかも、その際に、各参加者の職業を特定したうえで、「あなたの仕事では、こういう10個の作業が重要ですよね?」という具体的なタスクリストを示しつつ、答えを考えてもらったンだそうな。
たとえば、回答者がプログラマーだったら、「プログラマーってどの作業にAIを使ってるの?コードを書くとき?バグを探すとき?」ってとこまで見たわけですね。こいつは手が込んでますなぁ。
AIはかなり広まっている。でも、使われ方は意外と浅い
で、分析の結果がどうだったかと言いますと、
- 生成AIそのものは、かなり広い職業に浸透しており、80%以上の職種で、少なくとも誰かは生成AIを使っていた。さらに、40%以上の仕事上のタスクで、AI利用者が存在していた。
- しかし、同時にひとつの職種の中を見ると、AIがそこそこ普及している仕事でも、実際にAIを使っている人は半分以下であるケースが多かった。
- AIが使われやすい仕事にはかなり偏りがあり、特に利用率が高かったのは「マネジメント」「金融」「コンピューター関連」などだった。
- 仕事内容で見ると、データ分析、レポート作成、情報の解釈あたりでは、AI利用率が約60%まで上がっていた。反対に、肉体労働、機械のメンテナンス、患者への直接的なケア、対面サービスなどでは利用率がかなり低めだった。
だったそうな。つまり、少なくとも現状では、どの業界でも生成AIは広く浅く使われており、情報を扱う仕事から先に入り込んでいるって感じですな。
「AIに奪われやすい仕事」の予測は、けっこう外れる
でもって、研究チームは、さらに「AIに奪われやすい仕事の予測ってどこまで当たるの?」ってのも調べてまして、これがなかなか面白いところ。これまでのAI研究では、「この仕事内容ならAIにできそうだから、AIの影響を受けやすいだろう」みたいに予測を立ててたんですけど、これを実際のAI利用データと比べてみたんですな。
その結果がどうだったかと言いますと、
- 従来の予測は、現実のAI利用率をあまりうまく説明できなかった。
- 特に予測が外れていたのは事務・管理系の仕事で、保険請求の処理、医療文書の作成、各種事務処理などは、従来のモデルでは「このへんはAI化が進むだろう!」と予測されていたが、現実の利用率はそれほど高くなかった。
逆に、AI利用率が予測より高かったのが、CEO、研究者、情報セキュリティ専門家などだった。これらの仕事は、AIに丸ごと置き換えられるようなものではないにも関わらず、実際には生成AIがかなり使われていた。
だったそうな。従来のAI予想がよく外れるのは周知の事実ですけども、予想以上に予測と現実にはズレがあったんだ、と。
こういう状況になった理由はハッキリしてませんけども、研究チームの推測としては、
- 事務や管理系の仕事では、企業のコンプライアンス、個人情報保護、社内規定などが、AI利用を邪魔をしているのかも?
- 逆にCEOとか研究者は、仕事の仕方を自由に選べるので、自分の判断で新しいツールを試せるのでは?
みたいになってます。生成AIと仕事の問題を考えると、私たちはつい「その仕事AIでもできるか?」ばかり考えがちですが、実際には「本人が自由に試せる環境か?」も同じぐらい重要なんじゃないの?って話ですな。それはそうかも。
とりあえず「自分の仕事を10個に分ける」ところから始めるとよさそう
ちなみに、個人的に今回の研究から使えそうだと思ったのは、研究チームが使った研究の方法そのものであります。つまり、自分の仕事を「職業」という大きなくくりで見るンじゃなくて、具体的なタスクに分解してみるって考え方ですな。
たとえば、私の仕事である「ライター」について考えてみるなら、
- ネタを探す
- 論文を読む
- 情報を整理する
- 構成を考える
- 下書きを作る
- 文章を編集する
- ファクトチェックする
- タイトルを考える
- HTMLを整える
- 読者の質問に答える
みたいに10個ぐらいのタスクに分解して、「この中でAIに手伝わせられるものはどれだろう?」と考えるわけです。
生成AIについて考えると、つい「自分の仕事はAIに奪われるのでは……」みたいに無闇におびえがちなんだけど、現実にはAIが仕事をすべて置き換えるケースは少なくて、仕事を構成する小さなタスクの一部に入り込んでくるほうが一般的なんで。
となれば、現時点では「AIで仕事が奪われるか?」と悩んでもあんま意味がなくて、「今日やる10個の作業のうち、どれをAIと一緒にやればラクになるか?」みたいに考えたほうが実りは多いでしょうな。



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