上司との関係をガッツリ良くする『感情承認』の使い方を調べたぞ!という研究
「相手の感情を言葉にしてあげると、人間関係が良くなるぞ!」って話は、心理学の世界ではよく知られた話。たとえば、仕事でミスをして落ち込んでいる部下に、上司が「この結果には納得できないよなぁ」みたいに声をかけてやると、声をかけられた部下は、上司に対する信頼感が高まることが知られております。
こいつは、心理学では「感情承認(emotional acknowledgment)」と呼ばれる現象で、このような対応が信頼感を高めるのはわかりやすいでしょう。自分の気持ちに気づいてもらえれば、「この人は自分をちゃんと見てくれている」と感じるものですからね。
では、上の例とは逆に、上司がイライラしているときに部下が「部長、かなり不満そうですね」と指摘したらどうなるか?ってのを調べた面白い研究(R)が出てましたんで、中身をチェックしておきましょう。ちょっと考えると、上司に「生意気な!」みたいに思われそうな気もしますけど、果たして上下関係が逆になったときでも、感情承認は効くのかってことですね。
私たちは上司の感情を見て見ぬふりする
これはボストンカレッジなどの研究で、研究チームは3つの研究を行っております。最初の実験では、フルタイムで働く340人を対象に、
- 上司の感情に言及する場面
- 同僚の感情に言及する場面
- 部下の感情に言及する場面
のいずれかを想像してもらったそうな。その結果、どんな現象が見られたかと言いますと、
- どの参加者も、上司の感情を言葉にすることには消極的だった。
- その理由は、「部下は上司の感情に触れるべきではない」という暗黙のルールを感じていたからだった。
ってことで、これはわかりやすい結果でしょう。たいていの職場では、「上司は部下の気持ちに配慮すべきだが、部下が上司の気持ちに触れる必要はない!」っていう空気感があるでしょうからね。
部下が上司の感情を認めると何が起きるのか?
では、上記のような暗黙のルールを打ち破って、部下が上司の感情を言葉にしたらどうなるかってことで、続いて研究チームは、573人を191チームに分けて実験を実施。各チームにリーダー1人と部下2人を割り当て、20分間の交渉課題に取り組んでもらってまして、その際に、チームを次の3グループに分けております。
- 部下がリーダーの感情を言葉にする
- 部下がリーダーの感情に言及しない
- 特に指示を与えない
すると、こちらの実験ではどんな結果が出たかと言いますと、
- 部下から感情を認められたリーダーは、今度は部下の感情にも注意を向けるようになった!
- さらに、上司と部下のあいだで感情承認が行き来するようになったチームは、交渉課題の成績まで向上した!
って感じだったんですな。要するに、部下が上司の感情を認めたことで、上司も部下の感情を認めるようになり、そのおかげでチームの成績が上がったってことですな。上司も人間なんで、自分の感情を理解してもらえると、「部下の感情にも注意を向けよう!」という気持ちになるんでしょうな。
感情を「当てる」必要はない
で、この研究を見て「大事だなー」と思ったのは、感情承認においては「相手の心を正確に読み取らなくても問題ない」って傾向が見て取れるとこですね。感情承認ってのは、他人の感情を言い当てるスキルってわけではなくて、あくまで、
- 「少し困っているように見えましたが、大丈夫ですか?」
- 「この結果には納得しにくい感じでしょうか?」
- 「かなり大変そうに見えます」
- 「うまくいって、少し安心されたように見えました」
ぐらいのフワっとした表現で十分な効果が出るものらしいんですな。逆に、「部長は怒っていますよね」「いま機嫌が悪いですよね」などと決めつけると逆効果になりかねないので、気づいたことを控えめに言葉にするぐらいのさじ加減がいいんでしょうな。
まぁ、この実験で使われたのは架空の交渉なので、現実の職場で同じような現象が起きるのかは謎。上司と部下の関係が悪い職場だと、同じ対応が逆効果になる可能性は十分にあるんで気をつけたいところです。
とは言いつつも、感情承認は下から上に向かっても効きそうだなーとは思いますんで、上司が困っているように見えたら、「大変そうですね」とひと言伝えるぐらいは心がけてみると、組織全体のパフォーマンスが上がっていいかもですな。どうぞよしなにー。



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