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今週半ばの小ネタ:映画とホルモン、美男美女の人間破綻、ペース呼吸の威力

Summary

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

ゴッドファーザーⅡでテストステロンが上がる

映画によってホルモンバランスが変わる!ってなおもしろいデータ(R)が出ておりました。これはミシガン大学などの研究で、60人の男女に以下の映画のいずれかを見てもらったんだそうな。

 

  1. 「マディソン郡の橋」の、メリル・ストリープがイーストウッドに惹かれ始めるシーン
  2. 「ゴッドファーザーⅡ」の、デニーロが悪党を殺害するシーン
  3. アマゾンの森林に雨が降るシーンをとらえた環境ビデオ

 

その上で、映画を見る前後のホルモンレベルを測定したところ、こんな変化が確認されました。

 

  • 森林に雨が降るシーングループにはなんの変化も見られなかった
  • 「マディソン郡の橋」を見た場合、男女ともプロゲステロン(女性ホルモン)の上昇が見られた。また、男性のみテストステロン(男性ホルモン)が減少した
  • 「ゴッドファーザーⅡ」を見た場合、男性のみテストステロンが30%増加。女性はテストステロンが減少した

 

ってことで、ロマンチックな映画では女性ホルモンが増え、攻撃的な映画では男性ホルモンが増えるという、いかにもな結果になってますね。

 

 

研究者いわく、

 

映画によるホルモンの変化は、ある人が特定の映画を好む理由を説明するのに役立つかもしれない。コミュニティへの所属欲求が強い人々はロマンチックな映画が好きだし、権力志向の人はアクションやバイオレンスが多い映画を好む。誰かの性格を知りたければ、ビデオのコレクションや本棚を見るといい。

 

ただし、カップルがデートする際は、間違いなくロマンチックな映画を見るべきだ。テストステロンが高い男性には我慢が必要かもしれないが、ロマンチックな映画は二人の関係を促進するのに役立つ。

 

ってことで、やはり「意中の相手とは恋愛映画を見とけ!」という無難な結論になってましたね。まぁ確かにプロゲステロンが増えたほうが恋愛はスムーズに行きそうですから、アクション映画好きは我慢するしかないっすな。

 

 

 

美男美女、恋愛関係が破綻しやすい問題

ハーバード大学のチームが、「美男美女ほど恋愛が破綻する!」みたいなデータ(R)を出しておられました。どんな研究だったかと言いますと、

 

  1. Ancestry.comに登録した男性のデータを使い、30年におよぶ結婚と離婚の変遷をチェックする

  2. IMDB.comに掲載されている男優/女優のトップ20と、Forbesに掲載されている世界のセレブ100人の離婚と結婚のデータをチェックする

 

って感じで、全体的なルックスと離婚の関係を調べたところ、こんな結果になりました。

 

  • 魅力度で高く評価された男女ほど離婚率が高く、結婚期間も短い!

 

ということで、どうも魅力的な人はパートナーとの人間関係がうまくいかない傾向があるらしい。

 

 

では、なぜこういう傾向が見られるのかってことで、さらにチームは2つの追試をしてるんですが、こちらの結果がどうだったかと言いますと、

 

  • ルックスが魅力的な男女は、ルックスがイケてない男女よりも、美男美女を魅力的だと評価する傾向が強かった
  • ただし、上記の傾向は、自分がすでに特定のパートナーと交際している場合に限られていた

 

だったそうです。要するに、特定のパートナーがいる美男美女は、他の美男美女により大きな魅力を感じてしまうのではないか、と。

 

 

まぁ実際の浮気率などを確かめたわけではないので、今回の傾向がどこまで正しいのかは謎なんですけど、なんか納得感のある結果っすね。

 

 

 

マインドフルネス+呼吸法=血圧低下

腹式呼吸って大事よねー」みたいな話をよく書いてますけど、新しいレビュー研究(R)は「ペース呼吸とマインドフルネスを組み合わせると効果が上がりやすいかもよー」って話になってました。

 

 

ペース呼吸がなにかと申しますと、

 

ペース呼吸とは、通常の呼吸数が12~14回なのに対し、1分間に5~7回以下の呼吸数で行われる深い横隔膜呼吸のことである。

 

って感じだそうです。だいたい「5秒で吸って5秒で吐く」とか「4秒で吸って8秒で吐く」ようなイメージですかね。

 

 

チームいわく、過去の研究などを見ると、ペース呼吸とマインドフルネスの組み合わせは血圧に効く可能性が高いそうで、

 

そのメカニズムとして最も考えられるのは、ペース呼吸が副交感神経系を刺激し、脳内のストレス化学物質を減少させ、血管を弛緩させるからだろう。結果として血圧の低下につながる可能性がある。 

 

ペース呼吸とマインドフルネスは、短期的な効果はもちろん長期的には脳卒中のリスク低下につながるかもしれない。

 

と申しておられます。毎度おなじみ副交感神経がここでも出てきましたねー。本来のマインドフルネス瞑想は「普通の呼吸を意識せよ!」ってやり方が王道なんですけど、手っ取り早くストレスや血圧を改善したいならペース呼吸を意識する方向でよろしくどうぞ。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。